第230話 友達問題、解決

江藤「少しだけ、貴方が好かれる理由が分かりました」


俺「はい?」

さっきの話で、何が分かったの!?


江藤「いえ…ですが、まだ認めたつもりはありませんから悪しからず」

認めるって何!?


噛み合わない会話をしつつ

そんなこんなで皆の所に戻ってきた


南城「あ、戻ってきた!」

戻ってきたよ!


俺「お待たせ」


堀北「何してたのかしらね」

何ってちょっと話してただけだよ!?


仁科「大丈夫だった?」

そんな心配する事だった?


俺「心配かけてごめんね。ただ会話してただけだよ」

その程度のことでも、こんなに心配かけちゃうんだな……


東雲「江藤、皆さんに謝罪を」

ちょっと、顔が強張ってる?


江藤「は、はい。皆様、申し訳ございません」

深々と頭を下げて謝罪する江藤さん

その様子を見て、皆の顔色を窺う東雲さん……

コレ、俺がいない間に何かあったな!?


俺「江藤さんとはちょっと話をしてただけだからさ!何の問題もなかったよ!」

何で俺が庇わないといけないんだろうなぁ……


妹「何の話ししてたの?」

それは聞くなよ!!

わざわざ二人だけで話した意味は考えろって!!

江藤さんの方を見ると、何かを決意した表情で口を開く


まさか、さっきの話をここ東雲さんの前でするつもりか⁉

そんな事したら、東雲さんからの信用なくすかもしれないぞ!?


俺「それは、えっと……東雲さんの事なんだけど!」

なんて話せばいいかなぁ


江藤「それは」

自分で話す、か?

俺は割と事なかれ主義なんだよ!

ここで更に一悶着あるなんてゴメンだよ!


俺「東雲さんの事が心配なんだってさ、江藤さんは」

嘘ではない!


南城「心配?」

そうそう


俺「一応俺も男だし……今日合ったばっかりなのに友人になるって事が心配だったんだってさ」

多分男女関係無くアノ質問してたと思うけどね!


堀北「そういう話だったのね」

そうそう!!


仁科「ふ~ん、そっか」

あれ?信じてもらえてない!?


妹「そんな話なら二人だけでする必要なくない?」

あーっ!!

そういう事か

えっと、えっと…え~っと……


俺「いや、配慮だよ。配慮!目の前でいきなり反対するのは、さすがにね!?」

裏でこっそり友達辞めろなんて言うわけないじゃん!


東雲「江藤、事実なの?」

怒ってるなぁ


江藤「はい。勝手なことをして申し訳ございません」

ずっと頭下げたままだなぁ……

そろそろ頭を上げてほしいなぁ


東雲「そう」

あれ……?

表情が柔らかくなった……?


俺「えっと……」

どうする?


東雲「それは心から私のことを思って?それとも、お父様の言いつけ?」

あ~……なるほど、父親がそうさせたのかもしれないのか


江藤「これは私の独断でございます。お嬢様は特別な存在です、お嬢様をお守りするのが使命ですから」

一切の躊躇いも迷いもない、宣言

まるで命懸けの決意じみた強い意思を思わせる

ただの使用人が、どうしてそこまで……


東雲「そう、ならいいわ。私を思っての行動なら、その責任は私にあるわ。皆、私のメイド使用人が迷惑をかけたわ。ごめんなさい」

東雲さんが皆に頭を下げる


江藤「お嬢様!?これは私が勝手にした事です!お嬢様のせいでは」

やっと頭を上げた江藤さんが、主人東雲さんが頭を下げている所を目撃する


東雲「いいえ、江藤。それは違うわ。私の至らなさが江藤を心配させたのよ。もっと私がしっかりしていれば、江藤はそんな心配をする必要がなかったのよ。これは未熟な主が招いた失態よ」

部下の責任をとる上司……的な?


南城「二人とも仲良しだね!」

仲良しって……まぁ、悪くはないだろうけど


堀北「彼に何かするつもりはないのよね?」

なんでそんな心配するの!?


東雲「ええ。でも、友達はまた探さないとダメなのね。今度は江藤が安心できるような人にしないとね」

ん……?


江藤「お嬢様、そのことなのですが……」

俺、トモダチだよ?


東雲「もう、いいのよ。江藤は自分の仕事をしたのよ。責めてないわ」

勘違いしてる!?


江藤「いえ、そうではなくて」

話しを聞け!


東雲「何よ、何か罰がほしいの?」

どういう事!?


俺「ちょっといい?」

これは俺から言ってあげないとダメかな


東雲「ごめんなさい。不快な思いをさせたわ」

確かに少し不快だったけど、そうじゃなくて


俺「友達だよ?」


東雲「え?」


俺「俺は別に気にしてないから。まぁ、東雲さんの方がイヤならあれだけど」


東雲「許してくれるの?」


俺「別に怒ってないよ。江藤さんが心配する気持ちも理解できるし」


みんなの顔を見ると、この結果で問題がなかったことがわかる

俺の判断を優先してくれてるってのは、ありがたいな


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る