第207話 堀北春香の水泳講座?

堀北「まずは、どの程度泳げるか教えてくれるかしら?」


東雲「泳げないわ!」

いやいや、どのくらい泳げないのかを聞いてるんだよ!?


堀北「だから、どの程度泳げるのかを」


東雲「だから!泳げないの!」

もしかして……


俺「全く泳げないの!?」


東雲「そうよ!」

胸を張って宣言することかよ!?


堀北「所謂、カナヅチってことよね?」


東雲「そうね!」


堀北「泳げるようになりたいって、そういう事?」


東雲「最初からそう言ってるじゃない!」

マジかよ……

今日だけで泳げるようになれるわけないだろ⁉


東雲「さ、先ずは何からすればいいの?」

やる気はめっちゃあるけど、無理じゃないかなぁ


堀北「そうね……まずは、水に顔を付けてみて」


東雲「それくらい簡単よ!」

ザブン!と勢いよく水中へ潜る

1…2…3…4…5…6…7…8…9…10………

あれ?上がって来ない⁉

どうしたんだ⁉


プクプクと気泡がいくつか水面に出て弾け、それを追うように東雲さんの背中が浮いてきた⁉

慌てて南城さんが抱き上げると、真っ青な顔をした東雲さんが虚ろな目をしていた


南城「大丈夫⁉」


東雲「ふ、ふふ……ね。できた、でしょ?」

いや、出来てねーよ!?

そのままガクっと力が抜けて気を失う東雲さん


予想以上に、ダメ過ぎる!!


南城さんが頑張ってプールから引き上げて、寝かせる

動かない東雲さんを堀北さんが診察する


堀北「気絶してるわ……」

うん

死んでなくてよかったね!


俺「この後、どうするの?」


南城「とりあえず、起こす?」

ブンブンと肩を回す南城さん

起こすなら、優しくしてあげた方がいいんじゃないかな


堀北「いえ、寧ろこのまま放置しても……」

まさかの、堀北さんが諦めてる!?


仁科「さすがに、このままはダメだよ。せめて救護室に運ばないと」

そうだな

救護室に運べば、後は誰かが何とかしてくれる!

そしたら、もうお役御免でいいだろ


南城「それじゃ私が背負って行くね~」

よいしょっと気絶した東雲さんを背中に背負う南城さん


堀北「みんなで行くと大事になりそうだから、私と千秋で行ってくるわね」


仁科「うん。私たちはこの辺で待ってるね」


南城「それじゃ行ってきまーす」


南城さんと堀北さんは救護室のある方へ歩いて行く



仁科「さてと、何しよっか?」


妹「千秋先輩達、戻ってくるまで少しかかりそうですよね」

そうだなぁ


仁科「うん。でも、しょうがないよ」

東雲さん、ほんと何がしたいんだよ……


妹「戻ってこないなら、チャンスですよ」

チャンス?


仁科「何が?」


妹「ウォータースライダー」

……はぁ⁉


仁科「そ、それって……!」


妹「今なら行けます。どうしますか?」


仁科「うっ、行きたい!でも、春香ちゃん達に悪いし!でもでも、私にもそういうチャンスあってもいいよね?うん!決めた!!」


妹「それじゃ行きましょう、先輩」


仁科「うん!妹ちゃん、ありがとね!」

なぜ妹に感謝する!?


妹「いえいえ。それより早くしないと、千秋先輩達が戻って来ちゃいますよ」


仁科「そ、そうだね!よし!行こー!」

この後何が待ち受けてるのか、知る由もない俺は底知れぬ恐怖を感じていた


本能的に逃げ出そうと動いた瞬間、俺の右手を仁科さんに

左手を妹に拘束される


妹「おにぃ、どこ行くの?」

仁科「こっちだよ~」

に、逃げられねぇ……


そのまま両手を拘束され、ウォータースライダーへ連行されるのだった……

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