第206話 また、なのか……

次は何をするか、話し合っていると……


ギャラリーだった人集りから、野太い歓声が響く


『うおぉーーーーーーーーーー!!!』


何事かと声の上がった方を見て……後悔した



そこには今日3度目になる、東雲さんが来ていた……


東雲さんは真っ直ぐコッチへ向かってくる⁉


俺「提案!とりあえずココ離れよう!今すぐ!!」


妹「おにぃ?」

南城「どうしたの?」


俺「しのn……」

ちょっと待て!

東雲さんがコッチに向かってきてるなんて言ったら……

みんな東雲さんの方を見るよな?

目が合ってから、みんなでココを離れたら……?

絶対に追ってくるだろ!!

下手すると、目が合った瞬間声をかけてくるかもしれない⁉

ギャラリーの中には自称アイドルのファンもいるだろうし……

囲まれたら、逃げることはできない⁉


マズイ……!!

東雲さんに気付かれず、且つ迅速にこの場を離れなければならない⁉

そんなの……無理だろ!!


じゃ、じゃあ

ここはまた南城さんに頼って追い返してもらうか……?


100%追い返せるとは限らないけど、可能性が一番高いと思う



俺「南城さん。あっち」

こっちへ向かってくる東雲さんを指さす


南城「ん?あの子?」

そう!

さっき合った、東雲さん!


俺「こっちに来るみたいなんだけど」


南城「そうだね。何か用かな?」

暢気!?


俺「あんまり関わりたくないんだけど……」

というか絶対関わりたくないんだけど!!


南城「そうなの?」


俺「そりゃ、みんなと遊ぶ方が大事だからね」

勿論、“みんな”の中に東雲さんはいません!!

絶対に入らないからね⁉


南城「そっか!」

よし!よしっ!

これで南城さんが追い返してくれれば、何の問題はない!


そんな話をしているところに東雲さんがやってくる


東雲「ここにいたのね!さぁ、私に泳ぎ方を教えて!」

泳ぎ、方?


南城「え?何の話し?」

俺に聞かれても……


あっ!そうか!

フードコートで堀北さんがそんな事言ってたな……

その時、南城さんと妹はいなかったんだよな

東雲さんのせいで戻って来れなかったんだよな


堀北「まさか、本当に来るなんて……」

そうだよね

こんだけ広い施設でこう何度も会うなんて、思わないよね⁉


南城「春香?」


堀北「ごめんなさい。まさか本当に来るとは思ってなかったわ」

迂闊に約束なんてすると、大変だよね……


南城「どうしたの?」

項垂れる堀北さんを心配する南城さん


堀北「この子に泳ぎを教える約束したのよ」


南城「え⁉いつの間に⁉」


堀北「フードコートで、ね」

でも、あの場じゃそうするしかなかったよ……


南城「へぇ、そうなんだ。それじゃ教えてあげないとね!」

そうなるよなぁ

南城さんだもんなぁ


堀北「みんなは別に付き合う必要はないわ。私が約束したのだし」

そっか!

それなら俺達は、別の所で遊んで


南城「ううん!私達もやるよ!ね⁉」

デスヨネー


妹「私はおにぃと一緒にいれれば何でもいいです」


仁科「千秋ちゃんも春香ちゃんもやるなら、私も付き合うよ」

はぁ……

こうなったら、俺も参加するしかないか


俺「うん。それじゃ、みんなで教えよっか」

あ~あ、なんでこうなるのかなぁ

新しい名前持ちが増えたな……

ま、でもこの場限りだしな!

たった一日だけだ


耐えれば何とかなるか


とりあえず、妹には近づけさせないようにしないと



それにしても泳ぎ方を教えるって言っても、どうやって教えるんだ?


堀北「それじゃ、さっそく始めるわよ」


東雲「はい!」

堀北さんって教えるの上手いし、俺たちは見守ってればいいだけかな


堀北さんと南城さんと東雲さんがプールに入る







堀北さんの水泳教室が


今、始まる!!

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