第196話 みんなの水着姿

先頭を歩くのは南城さん、その後ろに我が妹

妹の隣に仁科さん、最後尾は堀北さんという順番で出てくる


3人が登場すると、男連中の目が一斉に集まる

そんな中居心地の悪そうな妹が俺を見つけて駆け寄ってくる


妹「おにぃ……何で先輩達は平気なの⁉」

ほんと堂々としてるなぁ


俺「慣れてるんだと思うぞ。学校でもあんな感じだし」

仁科さんまで堂々としてるのは、ちょっと意外だったけどな


南城「お待たせ~!」

待たせたと微塵も思ってないテンションで声をかけてくる

周りにいる男たちが俺を見て、首を傾げる

多分、こう思ってるんだろう「あいつ、名前無しのくせに何で?」と


俺だって、そっち側だったらそう思うよ

美少女が3人、冴えない名前無しmobの男子の所に集まればな


まぁ、そんな疑問に答える義理も義務もないから無視するけどな!


それはそうと、南城さんは普通のビキニだな

制服だと気にした事なかったけど……胸でかいな

まず間違いなくこのメンバーの中で一番大きい


走ったりしたら、揺れそうだな……すげー


俺「そんな待ってないよ」

たかが10分程度だよ


仁科「ねぇねぇ、今日も交代制なの?そしたら私一番がいいな!」

俺と一緒に遊ぶのを交代制にするのはどうかと思うなぁ

そんなバイトのシフトみたいな扱いは止めていただきたい


ふむ、仁科さんの水着は妹と同じような感じか

ただ、柄の主張が激しいな

向日葵に、太陽に、ハイビスカスに……ずいぶんと賑やかなデザインだ


堀北「そうね。交代制でいいと思うわ」

俺は反対だなー

多分意見なんて聞いてもらえないだろうけど


堀北さんはビキニじゃないのか

スポーティーって言えばいいのかな?

濃紺に黄色や赤の細い曲線がいくつか描かれたシンプルなデザインだ

探せばどっかにスポーツブランドのロゴが入ってそうだな


南城「えぇー!?みんなで一緒に遊ぼうよ!!その方が楽しいよ!」

ぴょんぴょん跳ねて主張する南城さん

ジャンプする度に胸も上下に揺れる

それを見た周りの男たちが「おおぉ~」と声を上げる

お前ら欲望に正直だな!?

その中の数人は彼女を連れていたのに、そんな反応するもんだから

バチン!!と頬や背中に紅葉模様を刻まれてる


ピョンピョン跳ねる南城さんの肩を抑えて止める堀北さん

流石に周りの反応に気付いたみたいだ


堀北「わかったから、落ち着きなさい。それと跳ねちゃダメ!いい?」


南城「うん?」

なんで跳ねちゃいけないのか、理解してないのか……?


堀北「跳ねるなと言ったのよ。理解できたかしら?ねぇ?」

死んだ魚の目みたいな、怖い瞳で南城さんを諭す堀北さん


南城「はる、か?」

怯える南城さん


堀北「い~い?わかった?」

さらに追い打ちをかける堀北さん


南城「は、はい……」

いつもなら“うん!”って答えるところで、“はい”って言った……


仁科「春香ちゃん落ち着いて!千秋ちゃんも、あんまりはしゃぐとケガしちゃうからね?ね?ほらプールサイドは走っちゃダメでしょ?それと同じだよ!」


南城「うん。そうだね。以後気を付けます」

なんか一気に南城さんが大人しくなったな


堀北「分かればいいのよ」

肩から手を離し、ニコニコする堀北さん


と、とりあえず堀北さんの怒りと南城さんの暴走気味のテンションは治まったみたいだな


俺「えっと、まずは何しよっか!」

空気を変えないと!!

遊び始めればきっといつも通りの空気に戻るはず!


堀北「そうね、何がいいかしら」


仁科「私は何でもいいよ!」


南城「えっと…えっと…」

何か言いたげな南城さん

しかし、さっきの堀北さんの怒りを気にして言い出せないみたいだ


こんな時こそ妹よ!お前の出番だ!


妹「千秋先輩!!」

いいぞ!うまい感じに引き出すんだ!


南城「何かな?」


妹「千秋先輩って、おっぱい大きいですね!」

はぁ……!?

お前、このタイミングでいう事か!?

何考えてんだよ!?


南城「そ、そうかな?」

自分の胸を掴んでグニグニと揉む南城さん

ちょっ、そういう事しないで!!

目に毒だから!!

こんな俺だって男子なんだよ!!

なんで俺の見てる前でそんな事するの!?


妹「おっきいですよ!ね?春香先輩?」

なんで堀北さんに聞くんだよ!!


堀北「そ、そうね。大きいわねぇ……どうやったらこんな大きくなるのかしらね……何か秘密でもあるのかしら……もしかして……いや、でも……流石にないわよね……」

途中から声が小さくて聞き取りにくいけど、何て言ってるんだろ……

なんか怖いな


南城「でも、おっきいと肩凝って大変なんだよ?」

あ~、それよく聞くなぁ

ほんとなのかな


仁科「千秋!?」


妹「ふ~ん……。だ、そうですよ?春香先輩」

だから何で堀北さんに話しを振るの!?


堀北「へ、へぇ。そう、肩凝りねぇ……」

なんか堀北さんの目から光が消えてきてる!?


俺「妹よ!何して遊びたい?そうか!ウォータースライダーだな!いいぞ!さぁ、行くぞ!ほら、一緒に滑りに行こう!」

兎に角、妹をこの場から引き離さないと……!

いつから妹は火に油を注いだ上、ガソリンぶん撒くような子になったんだ⁉


妹「え、でも、ま、いっか。それじゃ、行ってきまーす」

俺に手を引かれその場をあとにする


仁科「ちょっ、待ってよ!」


俺「仁科さん、一回滑ったらすぐ戻ってくるから!南城さんと堀北さんと一緒に待ってて!!」

二人の仲を取り持っておいてくれ!!

同じ名前持ちなら、できるよね!?


仁科「えぇ!?私一人で!?……後で埋め合わせしてもらうからねー!!」

ああ、うん!

何か奢るよ!!


それじゃ、頑張ってね!!

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