第183話 四季島無双

途中で襲撃に遭う事もなく、最上階にたどり着く


メチャクチャ疲れた……

なんで誰も疲れてないんだよ!!

俺だけ?

俺がおかしいのか!?


俺「はぁ、はぁ……ちょっと休憩できない?」

もう足上がんないよ


四季島「なんだ、もう疲れたのか?」

もう?

もうって言った!?

疲れるに決まってるだろ!!


先生「体力ないわね」

無いけどさ!!

それでも頑張ったよ!?

何階上がってきたと思ってんの!?

7階だよ!?

それも休まずに!!


俺「俺はただの名前無しmobなんだよ……」

ちくしょー……


先生「私だって名前無しmobよ?」

メチャクチャなトレーニングなんて、俺はしてないの!!


倉戸「実は、私も少し疲れたから休憩しましょって言おうと思ってたの」

おお!ナイスです!


四季島「倉戸さんがそう言うなら、少し休むか」

なんで俺が言った時と対応が違うの!?

いや、そりゃさ……名前持ちと名前無しじゃ対応に差が出るのは当たり前だけどさ……

それでも、俺に冷たくない?


先生「仕方ないですね」

もういいよ!

休憩できるなら……それでいいよ


先生が周囲を警戒する中、階段に座って休息をとる

少しでも回復しようとじっとしてると、隣に倉戸さんが座り話しかけてきた


倉戸「ねぇねぇ」


俺「なんですか?」

疲れてるから手短にお願いしますよ?


倉戸「太一くんとの仲は進展した?」

何言ってんのこの人……?


俺「質問の意味が分からないんですけど」


倉戸「え、そのままの意味だよ?そろそろ恋人になってもいい頃かなって」

……は?


俺「すいません。俺、女の子が好きなんで」

それはあり得ません


倉戸「そうなの⁉」

何で驚くの!?


俺「そうですよ!?なので四季島とこれ以上仲良くなる事はないです!」


倉戸「な~んだ、残念……」

そんな本気で残念がらないでほしいです


俺「そんな冗談言う為に隣に来たんですか?」

だとしら迷惑です!

ちょっとドキドキした俺の純情を返してください


倉戸「半分は本気だったんだけど……ま、もう少し時間かかるよね。うん。本題は勿論別だよ。君が合った大学生って、どういう風に見えた?」

どういう風って……


俺「チャラそうに見えましたよ。遊び慣れてそうな、そんな感じに」

ああは成りたくないなぁ


倉戸「ふ~ん。面白そう……」

え゛……

もしかして、男遊びとかしてるの……?


俺「面白そうって」


倉戸「私の研究対象として、捕かk…大学に招待しようかなって」

今捕獲って言おうとした!?

拉致は犯罪ですよ!?


俺「犯罪はダメですよ!」


倉戸「ふふ、大丈夫よ。ちゃーんとを得るからね」

同意、ねぇ……

倉戸さんも案外怖い人なのかもしれないな

出来るだけ俺については話さない方が良さそうだ


俺「そうですか」

まぁ、何かしでかしても四季島が何とかするか


倉戸「さて、そろそろ休憩も終わりにして行きましょう」

もう?

実はもう少し休んでいたいんだけど……


俺「もう行くんですか?」


先生「そろそろ動かないと、危ないと思うわ。向こうが何か仕掛けてくるかも」

マジかぁ


四季島「そうですね。急ぎましょう」

そういえば、四季島は先生の事気付いてないみたいだな……

上手く変装できてるのはいいけど、全く気付かれないのはそれはそれでどうなんだろ……


先生が階段から先の様子を窺う


先生「やけに静かね……これは、罠ね」

罠……日常であんまり聞かない言葉だなぁ


四季島「罠、ですか……」

さすがに四季島も罠は警戒するのか


先生「ええ。のこのこ出て行けば、間違いなく奇襲を受けるわ」

じゃあどうすんの⁉

あ、そうだ!帰ろう!

作戦を立て直そう!そうしよう!ね⁉


四季島「奇襲か……厄介だな。でも、俺なら何とかできると思います。俺が先行しますので、背後の警戒をお願いします」


先生「危険よ!?」

そうだ!そうだ!

一時撤退すべきだ!


先生「私が先に行くわ」

なんで!?

危険なんだよ!?

危ないんだよ⁉

どうして自分から危険に飛び込むの⁉


四季島「いえ、ここは俺が。女性にそんな役目はやらせられません。大丈夫です、俺名前持ちネームドですから」

言い終わりと同時に飛び出す四季島

それを追う先生、そして俺と倉戸さん


飛び出した四季島に、左右の物陰から飛び掛かる男が2人

右から飛び出した男の鳩尾へ肘鉄を打ち込み、左から来た男の攻撃を躱す

鳩尾へ一撃をくらい蹲る男を踏み台にして、左の男へ飛び蹴りを決める

流れるような一瞬の攻防

奇襲が効かないと判断した相手は、今度は人数で攻めてくる

ぞろぞろと出るわ出るわ通路を埋め尽くすほどの人数が現れた


この人数、一体どこに隠れてたんだよ⁉


四季島「かかってこいよ。この俺、四季島太一が相手をしてやる!」

何かの武道の構えを取る四季島に対して、男たちは木刀や鉄パイプを持って襲い来る

無手の相手一人に、卑怯極まりない!!


両者がぶつかり、闘いが始まる

二人や三人で同時に殴りかかるが、四季島には一撃たりとも入らない

全てを見切って、躱し続ける

そして少しでも相手が隙をみせると、反撃のパンチ1発で倒していく

四季島のあまりの無双ぶりに相手はどんどん焦り、攻撃が単調になっていく

そんな単調な攻撃が四季島に当たるはずもなく、また一人また一人と倒されていく

通路を埋め尽くすほどいた男たちは確実に倒れていき、今立っているのは5人にまで減った

10人以上、へたしたら20人くらいを一人で相手して倒し尽くす四季島

残った5人は、さすがに勝てないと理解し奥の部屋へ撤退していく


四季島「この程度、なのか」

何その圧倒的強者のセリフ!!


俺「四季島って強かったんだな!」

今まで四季島が闘ってる姿見たことなかったけど、こんなに強いなら何も心配いらないな


四季島「お前の事件があってから、父さんがもっと強くなれって言ってきたんだよ。それでSPの人達と100人組手を毎日のようにやらされた……本気で死ぬんじゃないかって思ったぞ」

そっか、そっか……

俺のせいか


俺「すまん」


四季島「強くて損はないから、いいけどな」


先生「お見事ね。あの人数をたった一人で」


四季島「この程度余裕ですよ」

確かに息切れもしてないしな……

俺とは正反対だな


倉戸「う~ん、見覚えのある人がチラホラいるねぇ……やっぱり、あの近郷くんかも」

倉戸さんの知り合いだったら話し合いで解決できるのかな……

だとしたら良いなぁ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る