第182話 突入

俺「えっと……?」


四季島「倉戸くらと文香ふみかさんだよ」

あ~!そうだ!

確か腐女子の大学生!


倉戸「やっほー、元気してた?」


俺「まぁ、なんとか」

死にかけたり色々波乱万丈な生活してたけど……


倉戸「そっか!それはよかった!」


四季島「それで、今度はどんなトラブルの巻き添えになったんだ?」

巻き添えって……まぁ、最近そういう事ばっかだけどさ


俺「今回の被害者は俺の妹だよ」

今回はどっちかって言うと、当事者なんだよな……


四季島「妹ちゃんに何かあったのか?」

あ、一応面識あるんだっけか


俺「祭りで大学生くらいの男に絡まれてさ」

しかも変態の


倉戸「大学生かぁ、私の知ってる人かも?」

そんなに顔広いのか……名前持ちだし、当然か


俺「このキツネ仮面さんが、追い払ってくれたんだけど……報復?っていうかそうい

う事をされないように、原因を元から断つって話しになってさ」


四季島「なるほどな……。それで、ここで突っ立ってるって事は、その大学生たちは廃ビルあの中にいるって事だよな?」

おお、四季島は理解が早いな


俺「そうそう。キツネ仮面さんの仲間達が中で戦ってくれてるんだ」


四季島「仲間……全員仮面を付けてるのか?」


俺「いや……確か付けてなかったと思う」

全員がキツネの仮面なんか付けてたら、怖すぎる!


四季島「お前達は中を見に行かないのか?」

えーっと……俺行っても足手まといにしかならないよね?


俺「危なそうだからね」


四季島「なら、俺が代わりに見てきてやろう」

なんで!?


俺「いや、お前が行く必要はないだろ?何でわざわざ危ない事するんだよ」


四季島「お前の妹に手を出そうとした奴がいるんだろ?」

そうだけど


四季島「と言う事はだ。俺の知り合いに手を出したって事だ。俺はそいつを許さない」

いつからそんな熱血漢になったんだよ!?


先生「危険すぎる」

喋った!?

しかも声のトーン変えてる!?


四季島「問題ないですよ。俺、こう見えて結構強いんです」


そんなやり取りをしていると

先生のトランシーバーに緊急連絡が入る


『こちらデルタ!アルファー応答願います』

今度はデルタさんか……


先生「こちらアルファー、どうした」


デルタ『敵側に名前持ちネームドが一人います。かなりの強さです。味方の3分の1がやられました』

あの人数の3分の1がたった一人に!?


先生「即時撤退!!可能な限り急いで!!」

判断早っ!


デルタ『しかし、まだ大男の確保が』


先生「そんなの後でいいわ!!今はアナタ達の安全が最優先よ!!」


デルタ『……はい。では、これより撤退し…………』

あれ?

途中で切れた?


『よう、アンタがこいつ等の司令塔さんか?』

だ、誰⁉

それよりデルタさんは!?


先生「そうよ。貴方は?」


『オレは、用心棒の近郷だ。まさか司令塔が女だったとはな』

こんごう……って、名前持ちか!?


先生「そのトランシーバーの持ち主は?」


近郷『ちょーっと御寝んねしてもらってるよ。大丈夫、死んでないし消えてもないからさ』

こいつ……本当に名前持ちだ……


倉戸「近郷くん……?」


四季島「知ってるの?」


倉戸「直接合ってみないと分かんないけど、もしかしたら同じゼミの人かも」


四季島「直接かぁ……倉戸さんはココに居てほしいんだけど」

いやいやいや!四季島も行ったらダメだろ!?


倉戸「大丈夫!いざとなったら、太一君が助けてくれるでしょ?」

無駄に信頼が厚いな……


四季島「そりゃ助けるけど、危ない事に変わりはないんだ」

助けるって断言できるんだ⁉


倉戸「なら、みんなで行こ!」

は?


四季島「はい?」


倉戸「そこの狐仮面さんも行く気でしょ?」

えぇ!?


先生「ええ、行くわ。仲間あの子たちを助けないと」

そっか……

それじゃ、俺はココで誰か出て来ないか見張りしてるよ


四季島「そうか。なら全員で乗り込むか」

なんで全員なの⁉


俺「いや、俺は」


先生「どの程度敵が残ってるか分からないわ。一緒にいた方が安全よ」

う~ん……

もし俺が一人でココに居て、名前持ちや大男が出て来たら……死ぬな


俺「了解です」


先生「コンゴウくん。これからソッチに行くわ。首を洗って待ってなさい」

なんでわざわざ挑発すんの⁉


近郷『ああ、待ってるぜ』


俺「せn…キツネ仮面さん!?」


先生「あの子達を助けに行くわ」

それは聞いたけど、本当に大丈夫なの⁉


四季島「行こう!」

もう行く気満々だけどさ!!

俺だけ普通のmobより弱いんだから、ちゃんと守ってよね!?










廃ビルに入り最初に見えたのはボロボロの内装

そして倒れてる大男の仲間たち

あれ、動かないよね?

ホラーゲーみたいに後ろから襲ってきたりとかしないよね!?

俺はびくびく怯えながら着いて行く

先生は周囲を警戒しながら、四季島は堂々と、倉戸さんは気軽に進んでいく


そういえば、相手は何処にいるんだ?

元ホテルっぽいし、部屋多いよね?

全部確認するの?


俺「コンゴウって人、どこにいるんだろうな……」


四季島「相手は多分一番上の階だな」

なんで分かんの?


先生「そうね。その可能性が一番高いわ」


倉戸「あ~、バカと煙は高いとこ好きって言うもんね」

そういう理由!?


先生「違うわ。一番上は所謂スイートルーム、一番広いのよ」

広いとこに陣取ってるってこと?


四季島「そうだな。広ければそれだけ人を集められる。相手も俺達を迎え撃つために、対策はしてるだろう」

まだまだ相手の人数が多いって事か……


倉戸「へぇ、ちゃんと考えてるんだね」


四季島「これくらいは当然です」

いや、そんなの思いつかなかったよ?

当然って、そんなことはないと思うな!


階段を上がって行くと、所々に男子大学生が倒れている

気絶してるっぽいな

やったのは先生の仲間達なんだろうな……


いつ動くか分からないのに、倉戸さんが近づいて観察する


四季島「危ないからあんまり近くに行かないでください。俺が大家さんに怒られます」


倉戸「ん~、やっぱ見覚えあるなぁ」

聞いてねぇ!?


四季島「見覚えあるんですか?」


倉戸「うん。同じ大学の人だと思うな……って事は私の知ってる近郷くんで間違いなさそう。それなら楽でいいな」

楽って……倉戸さんより弱いって事?

それは朗報!


先生「何か弱点があるの?」


倉戸「う~ん……まぁ、弱点かな?」

ハッキリしないな……

安心したいし、弱点があるならこの場で教えてほしいな


倉戸「ま、直接合えば分かるから。先行こ」

なんだよ⁉

思わせぶりな言い方して!





倉戸さんの謎発言を気にしつつ、俺達は階段をどんどん上がって行く

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