第181話 大男たちのアジトへ

南城「やっほー」

軽い感じで南城さんと堀北さんが合流する


堀北「見つかってよかったわ」


俺「心配かけてごめん!!」

妹「ごめんなさい」


堀北「いいのよ。無事見つかったみたいだし」


南城「それで、この後はどうするの?妹ちゃんタイムやり直す?」

妹ちゃんタイムって何!?


堀北「そうよね。あんまり一緒に居れなかったみたいだし」


その提案を妹は首を横に振って拒否する

南城「え⁉なんで!?」

堀北「どうしたの?具合悪い?」


俺「申し訳ないんだけど、少しの間妹と一緒に居てくれないかな?ちょっと用事が出来てさ……」


先生「A君、そろそろ行かないと逃げられるわ」

ホント、何で俺一緒に行かないといけないの?

シグマさんにお願いして、一緒に守ってもらえないかな……


南城「え?この人誰?」

誰って……なんて答えればいいのかな

先生だってことはバラしちゃダメだし……


堀北「少し、聞き覚えのある声ね……」

もう少しほっといたらバレそうだな


先生「私は、正義の味方よ。そこのA君と妹が暴漢に襲われている所を助けたの。でも、暴漢に逃げらてしまったの。逃げた暴漢は見つけたから、二度と悪さしないように成敗しに行くの。A君には証人として同行してもらうわ」

いつもより若干高い声で話す先生

それで誤魔化せるのか?


南城「正義の、味方!?」

堀北「暴漢に襲われた!?」


俺「あ~、そうなんだよね。それで、これから奴をやっつけに行くんだ。その間、妹と一緒に居てほしいんだ。そこのシグマさんと」


Σ「どうも!可愛いお嬢さんたち!私はコードネーム・Σ。正義の味方です!」

俺と会った時とは全然違うな……テンション高い


南城「え?コードネーム?しぐまさん?」

堀北「この人、大丈夫?」

なんだろ……不審がられてる


俺「とっても強いらしいから、変な輩が来たら追い払ってくれると思うよ!」

色々ダメな人だから、大丈夫って聞かれても答えられない……


先生「それじゃ、任せたわよ。シグマ」


Σ「はい!姐さん!!」


俺「南城さん、堀北さん。また後でね」

先生の後を追い祭りの中を抜けて行く














先生「ふぅ、バレなくてよかったわ……」

すっごく怪しまれてたけど、バレてはないのかな?

何か戻ったらバレてそうだけど……その時はその時か


俺「それで、アジトでしたっけ?どこにあるんですか?」

あんまり遠くないといいな


先生「割と近くの廃ビルよ。そのおかげで早く見つかったわ」

そっか、近いから早く見つかったのか……

近いならすぐ終わればまだ祭りに間に合うかな


先生の後ろについて歩き、何度か道を曲がり

普段なら絶対来ないような所に到着した

人通りの少ない裏路地を抜けて、見えたのは……元ホテルだった


先生「ほんと、最悪の連中ね……」

一瞬意味が分からなかったが、改めて考えてみて思い当たる


奴らの狙いは女の子……連れてきて、暴行するならもってこいの場所だ


俺「最悪だ……」

先生が助けてくれなかったら、妹がどんな目に遭うことだったか

助かって良かった……


男「おいおい、そこのバカップルさんよぉ!ココはもう閉店してんだ。ヤりたいなら他行けよ」

バカップル……?

って俺達かぁーー!?


俺「違う!!」

嫌だよ!!

上下迷彩服の彼女とか!!

俺はワンピースが好きなの!!


先生「お出ましのようね。それじゃ、殲滅戦開始しましょうね」

トランシーバーを取り出す


先生「総員、攻撃開始!!」

その宣言を聞いたトランシーバーの相手は静かに動き出した


ある人は路地から駆け出してくる

またある人は隣のビルから出てくる

さらに驚いたのは、向かいのビルの上からロープを使ってスルスル下りてくる人

ほんと、何者なの⁉


男「なんだ、おまえt……」

バタリとその場に倒れる男

いつの間にか背後にいた先生の仲間に手刀で意識を刈り取られていた

手刀で男を昏倒させた人は何も言わず、元ホテルの廃ビルに入っていく


先生「いい仕事するじゃない」


俺「あの人も先生の仲間、ですか?」


先生「そうよ。最近入った新人なんだけど、元々武道の心得があったみたいでね。即戦力として採用したわ」

即戦力として採用って……


俺「先生って、副業で社長とかしてるんですか?」

ベンチャー企業の女社長兼家庭科の教師?


先生「社長ではなくて、隊長をしてるわ。もうA君には話しておこうかしら、私の趣味について」

……隊長?

趣味で隊長してるって意味分かんないんだけど⁉


先生「私の趣味、それはね……サバゲーなのよ」

サバゲーってサバイバルゲーム?


先生「日々のストレスを発散させたくて始めたんだけど、気が付いたらドハマりしててね。夢中になってやってたら、いつの間にか慕ってくれる子達が集まってきちゃって」

それが、先生の仲間……?

ブラボーさんとかチャーリーさん?


先生「その子達ね、殆どの子が不登校だったのよ。学校にも家にも居場所が無いって、そういう問題を抱えてた子ばっかでね。これは一教師として助けなきゃって、そう思ったの」

おお、何かいい話っぽい!

先生が先生らしい事してる!!


先生「まずは、どうやったら救えるか考えたわ。性格を変えるのは無理だし、親御さんや学校へ文句を言うのも無理……となると、残った選択肢は肉体改造しかなかったわ」

多分、それ以外にもあったと思う!!

けど、そのおかげで助かった!!


俺「さすが先生です」


先生「でも、その……ちょーっとやり過ぎちゃってね。色々前向きになったのは良かったのよ、でも全く思い悩んだししなくなって……いわば脳筋になっちゃってね」

脳筋化した元陰キャ……


先生「力を付けすぎて暴れまわったりしないように、私のいう事をちゃんと聞くようにって教育したら……変な連帯感出ちゃって……困ったわぁ……いつクレームが来るか、ハラハラしてるわ」


先生「最初はね!サバゲーで最低限の協調性を確保して、外で元気に遊べるようになればいいなって、そう思ってたのよ?」

サバゲーで協調性を育てるって……


俺「とりあえず、先生が意図的に特殊部隊を生み出したわけじゃないのは理解しました」

わざとじゃないんだから、これは……そう不可抗力!仕方なかったんだ!


先生「当たり前じゃない!私は家庭科の先生なのよ!?」

ただの……?


俺「えっと、それでこの後どうするんですか?」

結構な人数の先生の仲間が廃ビルに入って行って、誰も出てきてないけど……


先生「あの大男を捕まえたら連絡くるから、それまで待機よ」

待機か……

早く終わってくれるといいなぁ


先生「それにしても、なんで君はトラブルを引き寄せるのかしらね」

それ、先生も含まれてるって自覚ありますか!?

真っ先に俺にトラブル持ってきたの、先生ですよね!?

四季島の差し金だとしても!!


俺「ほんと、何でなんでしょうね」

数か月前までは平凡な日々だったのに……


廃ビルの前で待機していると驚きの人物が声をかけてきた!?


四季島「よう」

なんでココに四季島が……?

ここって人通りの少ない路地の先だぞ!?

こんなピンポイントな位置で合うとか、偶然じゃないだろ⁉


俺「何用で?」

もしかして俺に用事でもあった?


四季島「ただのヒマつぶしだ。最近この辺りが物騒だと聞いて見回りにきたんだよ」

暇つぶしに見回りって、それ面白いの?

しかも女の人と一緒って……


俺「えーっと、俺は……」

隣を見ると先生が首を振って、言うなよ?と無言の圧力をかけてきている


俺「この人、正義の味方なんだよ!そのお手伝いをしてるんだ」

嘘は言ってないよ!!


四季島「正義の味方……そうか」

おお、納得してくれた!?


四季島「何か言えない事情があるんだな。深くは聞かないさ」

何か可哀そうな人を見る目してる!!

俺の発案じゃないんだ!!

自分でそう名乗ってるんだって!


俺「見回りって言いながら、何で女性同伴なんだよ」

それってデートだろ?


四季島「あれ?お前覚えてないのか?前に合った事あるだろ」

え……?

この人と?

俺が会ったことある?

注意深く観察する……

あ、わかった!


俺「四季島の家庭教師の!」




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