第180話 もう帰りたい

先生が移動を開始する


俺「じゃ、あとはお願いします」

妹もこんなだし、南城さん達と合流して今日はもう帰ろう


先生「何言ってるの?一緒に行くのよ」

え……?


俺「何でですか!?」

必要ないですよね!?ね⁉


先生「まだ確実に安全とは言えないからよ。私から離れた瞬間を狙われるかもしれないわ」

そんなことあり得る!?


俺「でも、妹をそんな危ないトコに連れて行けませんよ!?」


妹「おにぃ」

大丈夫、俺がついてるぞ


先生「ん~、それじゃ誰かに預けて……あ、そうだわ。シグマに頼みましょう」

志熊さん?

名前持ちなら、まぁ、安心できるかな……?


Σ「姐さん!お呼びでしょうか!?」

呼んでないのに、突如現れた浴衣姿の名前無しの女性……

もしかして……この人が?


先生「ほんと、どこにでも居るわね」

まるで虫みたいな言いようだな……


Σ「はい!姐さんを陰から見守るのが私の使命です!!」

もしかして、先生のストーカーかな


先生「紹介するわ、この子がシグマよ」

そして、志熊って名前じゃなくてあだ名みたいなモノなのか


Σ「よろしく……。姐さん、この男何なんすか?」

何かスゲー嫌われてる!?

俺なんかした!?


先生「ただの生徒よ。いい加減男嫌いを直しなさいよね」

あ、なるほど!

ただの男嫌いだったんだ

じゃあ、しょうがない……しょうがないんだよ……な?


Σ「いくら姐さんの言いつけでも、男はダメです!理解できません!」

ストーカーする人も理解できないけどね⁉


先生「ほんと、勿体ないわ……家事全般できるし、気が利くし、いつも元気だし……いい子なんだけどね」

その全てを先生に向けてるんだな……

男嫌いで、シグマさんは先生の事が好きなんだな


Σ「姐さん、それでご用な何でしょう?」

まるで忠犬を思わせるシグマさん


先生「そっちの女の子を少しの間見ててほしいのよ。変な輩に狙われちゃってるから、守ってあげなさい」

なんか先生かっけぇ……


Σ「女の子……男の方は、要らないんすね?」

突然シャドーボクシングを始めるシグマさん……

何する気かな!?

その拳、俺に向けないでくれないかな!?


先生「生徒に手を出したら二度と相手しないわよ?」


Σ「……ヤダなぁ、ちょっとしたジョークです!ジョーク!」

絶対本気で殴ろうとしてたよな!?

ジョークにしては気合入れすぎだったよな!?な!?


先生「こう見えてシグマはブラボーやチャーリーより強いから、安心して任せなさい」

あの二人より……強い?

嘘でしょ!?


俺「えっと、でも初対面の人に任せっきりなのは」

妹も不安だろうし、何より信用できないし

何より、妹が心配だ……ストーカーに預けるのはちょっと……


先生「じゃあ誰か知ってる人と連絡取れない?」

連絡……あ、そうだ!

俺のスマホ!!!

吹っ飛ばされてそのままだった!!!

急いで拾いに行くと、画面に傷は出来てるけど壊れてはいなかった


俺「よかったぁ……」

頑丈なタイプを選んで正解だったな……


えーっと、着信履歴……12件!?

誰だ?

母さんか?

発信者は、全部南城さんと堀北さん?

あ、そうか!

迷子の連絡いれてからそのままだった!!


とりあえずメッセージ送らないと……

えーっと


無事妹と合流できました


っとこれでいいかな

メッセージの送信が完了してすぐに南城さんから着信が入る


俺「あ、もしもし」


南城『もしもし!?大丈夫!?』

一言目が大丈夫って……


俺「うん、大丈夫。心配かけてごめん」


南城『ほんとだよ!心配したよ~!』

あはは……申し訳ない


南城『今ドコにいる?すぐ会える?』

えーっと、今いるのって……デカイ木があるから……あれご神木かな


俺「ご神木の近くだよ」


南城『分かった!すぐ向かうから!』

それだけ言うと通話は終了していた


俺「先生、連絡取れました」

とりあえず南城さん達が来てくれれば安心できるかな


先生「A君の交友関係だと、B君かD君あたりかしら」

なんで俺の交友関係知ってるの!?

怖っ!!


俺「いえ、南城さんと堀北さんが」


先生「なんでその二人!?」


俺「一緒に来てたので……」

妹の策略で、だけど


先生「出来れば会いたくないわね……特に南城さんは口が軽そうで……」

あ~、そっか

出来れば知られたくないのか


俺「それならどっかに隠れますか?」


先生「でも、この場を離れるのは……あ、良いものがあるじゃない!」

何かを見つけた先生は素早い動きで人の間を抜けて行き


戻ってきた時は、お面を付けていた


顔の上半分を覆うキツネのお面……そんなの売ってるのか⁉

アニメや漫画では見たことあるけど、まさか実際にお祭りで売ってるとは……

俺も後で買おうかな


先生「これなら多少は誤魔化せるでしょ」

多分、声でバレると思うけど……

ま、いっか


それから1分ほどで人込みを左右に割って南城さんと堀北さんがやってきた

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