第179話 先生の本性?

先生側の助っ人、ブラボーさんとチャーリーさんの活躍で大男側で動けるのは5人にまで減った


大男「っち、なんなんだよ!おい、お前ら!足止めしとけ!」


「頭!?」「オレたちのこと見捨てるんすか!?」「待ってくださいよぉ!」


大男「うるせぇ!お前らがザコいのが悪ぃだよ!!逆らったら殺す!わかったな!!」


「そんなぁ……」「オレたちも助けてくださいよ!」


大男「他のメンツ集めて戻ってきてやるから、足止めくらいしておけボケ!!」

それだけ言うと大男は一目散に逃げ出した

多分、もう戻ってこないだろうな


でも、残された男たちは大男の言葉を信じて必死に抵抗している

そんなに頑張ってもアイツ絶対戻ってこないだろ……


先生「何逃げられてんのよ!!追いなさい!!」

チャーリーさんに追加の指示を出す

でも、チャーリーさんは動けない


3人がかりで抑え込まれて、身動きが取れなくなっていた


チャーリー「姐さん!こいつ等思ったよりタフっす!動けません!」


先生「トレーニング足りてないんじゃない!?」


チャーリー「そ、そんな事ないっす!毎日欠かさずやってるっす!」

毎日トレーニングやってると、あんな人外じみた動きが出来るようになるのかぁ……

ま、俺には無理だろうけど


先生「主犯逃げちゃったけど、どうする?」

どうするって……


俺「えっと、あの人仕返しに来たりしないですかね?」

それさえなければ、もうどうでもいいんだけど……


先生「十中八九、来るわよ。今までもそういう輩、結構見てきたから」

見てきたって、どんな輩と接点持ってるんですか!?


俺「それは……困ります」

だって、俺一人じゃ妹のこと守れないんだからな……


先生「そうよねぇ。よし、それじゃ……捕まえましょう」

軽~くそう宣言する


俺「捕まえる……?」

どうやって?

人込みみ混ざって、もう見えなくなってるのに……


先生「ブラボー!チャーリー!」


二人「「ハイ!!」」

元気に返事するブラボーさん達


先生「いつまでちんたらやってんの!」

えぇっ!?


二人「「ハイ!?」」


先生「さっさと片付けなさい!!」

厳しい……


二人「「ハイ!!!」」

この二人は、何で先生の言う事聞いてるんだろ……

先生から厳しい言葉をかけられても、元気な返事を返してるし

尊敬してる……のかな?


先生「はぁ……どうせお祭りなんだし、あの大男は血祭に上げようかしら」

今度は何をするつもりなんだろ……

もう、なんか先生って感じじゃないよ

悪の組織の親玉的な感じだ

もしかして、先生の本性ってコッチなのかな


今度はトランシーバーじゃなくてスマホを取り出して、何やら操作をする

ストラップに銀色のドクロが付いてる事以外は普通だな……


先生「コレでよし!っと」


俺「何がよし、なんですか?」

先生がスマホの画面を俺に向ける

其処には大男の画像と、捕縛しろの文字……


俺「えっと……?」

何コレ?

指名手配的な感じ?


先生「後は連絡を待つだけよ。念の為Aくんと妹ちゃんは一緒に居てね」


俺「は、はい……」


妹「おにぃ、この人って」


俺「うちの学校の家庭科の先生だよ」


妹「先生?家庭科?体育とかじゃなくて?」

そうだよな……

この姿だけ見れば、そう思うよな


俺「間違いなく家庭科の先生だぞ」


妹「そう、なんだ……」

信じられないよな……俺も自分の記憶を疑いたくなってきた……


先生「佐藤さん!加藤君!出てきなさい!!」

あ、そうだ!

そういえば、あの変人二人!!

助けに入ってくれたし、ちゃんとお礼言っておかないと


佐藤「あ、あのね先生!これには訳があって!」

いきなりどうした!?


先生「そう。それで加藤君は?」

あ~……言い訳を聞く気ないな


佐藤「先生の後ろにいますよ」

え⁉

気付かなかったけど、確かに先生の後ろに真っ黒忍者がいた……


加藤「忍びは常に影の中に」


先生「はいはい、そういうのはいいから」

あっさり流された……


先生「あなた達ね、いくら名前持ちだからて無茶しすぎなのよ。そんな服着ても強くなるわけじゃないんだからね?さっきだってちゃんと相手の強さを判断してから行かないと、ああやって危ない目に遭うんだからね?」

なんか説教始まったぁ!?

変人二人は説教くらって項垂れてるし……てか、佐藤さんの方はまだしも、加藤君の方は完全に顔見えないのにどうやって判断したんだ?


俺「えっと、先生?その、二人とも反省してるみたいですし……そのあんまり厳しく言い過ぎるのは……」

変人だけど、俺たちを助けようとしてくれたんだし


先生「……そうね。今日はお祭りですから、この辺にしておきます」


佐藤「ありがと!先生のお説教っていっつも長くて……助かったわ」

加藤「礼を言う」


俺「いやいや、俺の方こそありがとうございました。妹助けようとしてくれて」

妹と一緒に頭を下げる


佐藤「え⁉いいのいいの!私達は自分のやりたい事してるだけだから!A君も色々大変みたいだし、何かあったら私を頼ってくれていいからね!」

え、何で俺のこと知ってるの!?


加藤「そうだぞ」


俺「なんで俺の事知ってるの?」


佐藤「そりゃ、有名だもん!南城さんと堀北さんに告白された男子だよ!?名前持ちならみんな知ってるよ!」

名前持ちはみんな知ってるの!?


加藤「向日葵の皇女と百合の姫に愛されし男。どんな奴かと思えば、案外普通だな」

何その二つ名!?

初めて聞いたよ!?


佐藤「その言い方やめなって、本人に聞かれたら引かれるよ?」

あ、非公認なんだ……


加藤「ふっ、影に住む我には関係ないことだ」

あ、引かれてもいいんだ!?

珍しい人だな!


俺「じゃ、会ったら伝えとくね」

一緒に俺も引かれよう!

名案だな!


加藤「な!?そ、それは、ダメ!絶対ダメ!俺学校に居られなくなっちゃう!!」

素が出てる!素が出てる!!

結局、ダメなんだ……残念……


俺「え、あ、うん。わかった。言わない」

キャラが崩壊するほどダメなんだなぁ……


加藤「そうしてくれ……」


佐藤「ふふ、それじゃ私達は見回りの続きするからバイバイ!」

見回り、ね……


加藤「さらばだ!」

人込みに紛れていく二人

名前持ちなのに、人割れないんだなぁ


先生「Aくん」


俺「はい」


先生「くれぐれも学校で今日の事は話さないでね?」

え?ダメなの?

BやDに話そうと思ってたのに


俺「なんでですか?」


先生「私のイメージが壊れるでしょ?」

イメージって、学校での?

確かに、学校では家庭的なお淑やかな女性ってイメージ持ってる人ばっかだけど


先生「もし言いふらしたりしたら、特別な補習を受けてもらうわよ」

特別な補習……?


先生「基礎トレをやってもらおうかしら、少しは体鍛えた方がいいものね」

え……ブラボーさんすら嫌がってたやつ?


俺「それって……」


先生「簡単よ。腹筋背筋スクワット腕立て50回3セットと50mダッシュ20本と30kmマラソンするだけだから」

もう何言ってるのか分かんない……

でも、危険だってのは分かる


俺「絶対に言いません。誓います」


先生「素直な生徒は楽でいいわね」

楽とか言っちゃダメだろ……


俺「それはそうと、あの二人って同じ学校だったんですね」


先生「あら知らないの?あの子たちの事」


俺「はい」

名前聞いてもピンとこないな


先生「一言で言うなら、佐藤さん生真面目で加藤君は秀才かしら」

真面目に秀才?


俺「先生、俺のこと騙そうとしてます?」

からかわれてる?


先生「そんな無駄な事しないわよ。学校での評価が生真面目と秀才なの」

嘘だろ……

あんな見た目の人が生真面目とか秀才なの?

うちの学校、大丈夫?


先生「ま、夏休み明けにでも確認しなさい。あの二人も2年だから」

え……、同い年なの?

てっきり1年だと思ってた……


夏休み明け、不安になってきたな……


先生「そういえば、宿題は順調?」

あれ?

俺の宿題の量、知ってるんだ?


俺「順調も何も、終わりましたよ。妹も協力してくれたんで」

未だ俺にしがみ付いたままの妹の頭を撫でる


先生「そう」

自分から話し振っておいて、そっけないなぁ

俺超頑張ったんだよ!?


チャラリン♪

と先生のスマホから音が鳴る


先生「見つかったわよ。まだ捕まえてはないけど」

なんで捕まえないんだろ?


先生「奴らのアジトを見つけて、完全に潰す。完膚なきまでに叩き潰す。二度と私に向かってババァなんて言えないようにしてやるわ」

あ~、それ怒ってたんだ……


先生からどす黒いオーラが漏れてる気がした


二度と先生に逆らうのはやめよう……怖すぎる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る