第178話 ブラボー・チャーリー現着!

人数が集まり、俺は必要なくなったのかポイっと地面に捨てられる

妹への人質としての価値もないってか……

まだ頭に違和感がある……


先生「遅いっ!!あいつ等何やってんのよ!!」

先生側の助っ人が中々現れなくてイライラし始めてる……


大男「おいおい、ハッタリかよ……つまんねぇなぁ、おい」


先生「何で来ないのよ……次の例会は基礎トレしかやらせないわよ……」

基礎トレ?


「あ、姐さん!ここに居たんすね!ブラボーただいま現着しました!」

やっと現れた先生側の助っ人は……タンクトップがはち切れそうなぐらい筋肉質なマッチョだった……


先生「遅い!!」

そんなマッチョを叱りつける先生……


ブラボー「そんな!?これでも急いで来たんですよ!」

口調とか声は普通なのに、体格や仕草で怖い人って思われるタイプなんだろうな


先生「次の例会は基礎トレのみよ!!」


ブラボー「いやいやいや、そりゃないっすよ!!次は新調した相棒のお披露目の予定なんすよ!!姐さんも見たいって言ってくれたじゃないっすか!」


先生「撃ちたきゃ戦果を出しなさい!手加減は無用よ。そこの大男は再起不能にしても構わないわ!」

構って!

何物騒な事言ってるんですか!?

危ない人じゃないんだから!

半殺しまでは可!とかそういうのはダメですよ!?


ブラボー「あいつ、何かしたんすか?」

ほら引いてるよ!

筋肉マッチョがドン引きだよ!


先生「あいつが掴んでる子、無理矢理連れて行くつもりなのよ」


ブラボー「あ~、あの子っすか。じゃまずは救出、その後殲滅でいいっすか?」

殲滅殲滅って、どこのテロリストだよ!


先生「そうね。一番戦果を挙げたら、基礎トレは免除してもいいわ」


ブラボー「うおっしゃぁーーー!!」

低い声で、雄叫びを上げるブラボーさん

そんなに基礎トレが嫌なのか……

トレーニング好きそうなのに?


ブラボーさんが一歩前に出る

対する大男の仲間たちは、たかが一人と余裕そうにしている

1対15じゃ勝てるわけない……

先生が呼んだ他の人も早く来て!!


俺「先生!あの人一人じゃ」

小首を傾げる先生……え⁉先生!?


先生「こちらアルファー、総員傾注。次回の例会は基礎トレのみ実施、基礎トレのみ実施。不服があるなら直接言いにきなさい!ただし、時間はブラボーが敵の殲滅を終わらせるまでとする!」

仲間の人たちにトランシーバーで声をかける

言ってること無茶苦茶だし、怖い!!


先生「これで大丈夫よ。それにしても、君彼女居たのね。南城さん達はどうするの?」

は?


俺「彼女……?」

誰のこと?


先生「え?違うの?」

もしかして勘違いしてる?


俺「あれ、俺の妹です」


先生「ってことは……」


俺「まだ中学生です」


先生「……嘘でしょ?あの大男、中学生に手を出そうとしてるの?」

俺も信じられないです


俺「そうみたいです」


先生「はぁー……ダメね。再起不能じゃ足りないかしらね」

それにしても再起不能って、なんだろ……


先生「ブラボー!」

そういえば、ブラボーさんって普段何してる人なんだろ

あの肉体だし、ボディビルとかかな……


ブラボー「サーイエスマム!」


先生「一人残らず、再起不能にしなさい」


ブラボー「サーイエs、え?一人残らず、いいんすか?」


先生「私が許可する」


ブラボー「……了解っす」

指の骨を鳴らしながら、にじり寄るブラボーさん


「チャーリー、ただいま到着しました!」

息を切らせて現れたのは、スーツ姿の男性だった


先生「何、そのカッコ?」


チャーリー「あ、今面接受けてきたんすよ!」

面接って、就活?


先生「そう!手ごたえはあった?」

あ、学校で見るいつもの先生になった


チャーリー「落ちたっす……」

落ちたんだ……


先生「そう、次があるわよ。気持ち切り替えていきましょ」


チャーリー「そっすね。そんで、今めっちゃストレス溜まってるんすけど……敵はあいつ等っすか?」

チャーリーさんはジャケットを脱いで、ネクタイを外しワイシャツの袖を捲って動きやすいかっこになる


先生「そうよ。第一目標は女の子の奪還、保護。その後は自由よ。好きなだけ暴れなさい」


チャーリー「女の子!?どこっすか!?」

何その食いつき、不安しかないんだけど……!?


先生「あの大男が掴んでる子よ。まだ中学生だから、怖がらせちゃダメよ」


チャーリー「なんだ、ガキじゃないっすか……とりあえず、保護すりゃいいんすよね?」

良かった……この人はロリコンじゃなかった


先生「そうよ、できるわね?」


チャーリー「余裕っす」

余裕って、相手は15人もいるし……明らかに身体の大きさで負けてるのに?

チャーリーさんは姿勢を低くし正面を見つめ……次の瞬間


とんでもない速度で走り出した!?

でも、そんな真っ直ぐ行ったら進路塞がれて意味ないんじゃ!?


言わんこっちゃない!

相手が5人で横並びになって塞いできたじゃん!

しかし、チャーリーさんはスピードを落とさずそのままぶつかりに行く


俺「危なっ……え?」

チャーリーさんは一切躊躇せず追突する

まさか本当に突っ込んでくるとは思ってなかったのか、5人のうち3人がチャーリーさんに弾き飛ばされる

残る二人も体勢を崩し、チャーリーさんを止めることができない

たった一撃で5人を突破するチャーリーさん……何者なの⁉

速度をそのままに、大男に向かっていくチャーリーさん


大男は、妹の腕を離してチャーリーさんの突進に備える


そのまま突っ込んでいくと、見せかけて

進路を変更!?


チャーリーさんは走りながら妹を抱え上げて大男の脇を通り抜ける


チャーリー「奪還及び、保護完了っす!」

よっしゃ!!

ありがと!!チャーリーさん!!


先生「よくやったチャーリー!」


チャーリー「基礎トレ免除っすか!?」


先生「そんな訳ないでしょ!!優しくその子をこっちに連れてきなさい!」


チャーリー「なんでっすか!?目標は達成したじゃないっすか!」


先生「怖がらせるなと言ったでしょ!なんでそう、優しくできないの!」


チャーリー「えぇ!?」

抱え上げられた妹は半泣きだった

そりゃ、怖いよな……速かったもんな……


チャーリー「ご、ごめんな!」

慌てて謝るけど、多分妹の耳には届いてないな


チャーリーさんが妹を連れて戻ってきてくれる

俺と先生の近くまで来て妹を降ろし肩を回す


妹「おにぃ、おにぃ、おにぃ……」

泣きながら俺を呼ぶ妹

優しく抱きしめて頭を撫でて落ち着かせる


俺「ごめんな。助けられなくて」


妹「怖かったよぉ……」

よしよし、もう大丈夫だかな


俺「えっと、チャーリーさん。ありがとうございます」


チャーリー「なんすか、ラブラブっすか?」

先生「その二人は兄妹よ、バカ」


チャーリー「すんません……」


先生「チャーリー、まだ敵は残ってるわよ」


チャーリー「うっす!ストレス発散!!ストレス発散!!」


肩をぐるんぐるん回しながらブラボーさんの方へ向かう

そういえば、ブラボーさん無事みたいだけど……どうやったんだろ

10人近い人数に囲まれてたのに、ピンピンしてる?


おりゃぁーー!とブラボーさんに殴り掛かる男たち

対するブラボーさんは仁王立ちで立ち向かっている

男たちの拳がブラボーさんに当たる鈍い音がする

しかし、ブラボーさんは一切避けもせず防御もしていない

なのに、全くと言っていいほど動じてない!?


あれが、噂に聞く……筋肉の鎧!?


ブラボーさんにいくら殴りかかっても、一切のダメージを与えられてない……


なんか……ゲームとかである理不尽なボスみたい……

防御力高すぎて実質無敵みたいな……

ダメ入んないし、回復する……そんなエンドコンテンツ的なボスだろ、アレ


魔法職が現実にいない以上、本当に無敵なんじゃないかな


そしてブラボーさんに気を取られてる所にチャーリーさんが突進する

もろに受けた人が吹っ飛んで地面に転がり、起き上がってこなくなった

さすがに死んではない……よね?

これが、先生の言う再起不能ってやつなのかな……?


先生……どこでこんな規格外の人達見つけたんだろ……


それと、何で先生は指示する側なんだろ……


仲間っていうか、完璧に上官だよね……


ほんと、先生って何者なんだろ……?

気にしたら、負け……なのかな?



先生の事、少し怖くなってきた……

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