第177話 助けに来たのは……

俺と妹はその場を後にしようとする

そんな俺達の背後に、身長2mくらいありそうな大男が現れた


大男「お前ら!何してやがる!」

いきなり大声で怒鳴りつける


男1「かしら!?」

男3「どうしてここに?」


背後の大男は、男たちの仲間みたいだ……

ヤバイ……後ろが塞がれた!!

妹を守りつつ、どうにかこの危機を拭け出さないと……

こんだけ騒ぎになってるのに、周りは見て見ぬふりか

そりゃ、関わりたいとは思わないだろうけど!!

せめて警察とか呼んでくれないかな⁉


大男「てめぇらが、遅ぇからだろ!!なぁんで、女一人引っかけるぐらい出来ねぇんだよ!この能無し共が!!」

何言ってんのこの人!?


男3「すいやせん!!ちょうどいい女見つけたんですがね、邪魔が入りやして」

口調が変わった!?

下っ端口調になってる……


大男「ほう、邪魔ってのはそいつらか?」


男3「そうです!この変なカッコした奴らが邪魔してきやがりまして」


大男「そうか。でだ、見つけた女は何処だ?まさか、逃げられたとか無いよなぁ?」


男3「は、はい!今、頭の眼の前に居るのがそうです!」

ちょっ!!


大男「ほう……いいじゃねぇか!気に入った!」

お前もかぁ!!

なんだよ!!全員ロリコンかよ!!


大男「嬢ちゃん、俺たちと遊ぼうぜ。なぁ、いいだろ?」

くそがっ!!


俺「断る!!」


大男「あぁ?んだテメェ?」


俺「兄だ!!妹は渡さない!!」


大男「おい!このゴミどっか捨ててこい。今すぐだ!」

人の事ゴミ呼ばわりとか、どういう人生歩んできたんだよ!!

このろくでなし!!


男3「うっす!」

標的をじーくんから俺に移す男3

このままじゃマズイ……


後ろも前も塞がれてる

妹は浴衣に下駄だ、走って逃げるのは不可能だ

俺が盾になろうにも、二人相手は無理だ

俺だけじゃ、限りなく詰んでる……


でも、俺には……まだ逆転の可能性が残されてる!!

南城さんと堀北さんだ!!

他力本願でかっこ悪いけど、妹が助かるのが第一だ

ちょうど神社も近いし、神頼みしてみるか!


俺「すぅーーーーーーーーー……南城さーーーーーーーーーん‼‼堀北さーーーーーーーーーーーーん‼‼」

届け!

俺の限界の声量!!


大男「…………あ?」

ダメかぁーーーーーーーーーーーーーーーーー

流石に祭りの人込みじゃ届かないかぁーーーーー


大男「仲間でも呼ぶつもりだったのか?残念だったな、アテが外れてよう」

くそっ……


大男が妹に手を伸ばす

体で遮ろうとすると、男3が俺の髪の毛を鷲掴みにして引っ張ってくる


手を伸ばす……何とかして、妹を守らないと……じゃないと、俺は……

痛みで涙が出て視界がゆがむ

妹も俺に手を伸ばすが、大男に反対の手を掴まれて届かない

お互いの手が空を切る

誰か!誰か……!!

誰でもいい!!!誰でもいいから!!妹を!!助けてくれ!!















その切なる願いが、やっと届いた


手遅れになる前ギリギリのタイミングで、現れたのは


家庭科担当の先生だった……!?


先生「そこー、何してるのー!!」

駆けつけてくれた先生は何故か上下迷彩柄のコーディネートだった

先生の私服、だろうか……

もしかして、そういう趣味なのかな?


俺「せ、んせぇ……」


先生「男子生徒A君と、そっちは……C組の佐藤さんと、加藤君ね」

え……!?

あの変人二人って同じ学校の生徒だったの!?


先生「何があったのか、説明してもらえるかしら?」


大男「なんでもないっすよ。この子とちょっと遊ぼうとしたら、そこのガキどもが邪魔してきたんで」

ふざけるな!!


咄嗟に反論しようとしたら、髪を握る手に力が入り

ブチブチブチ!!

髪を無理矢理引き抜くように引っ張られる


激しい痛みで息が詰まる……


先生「そうなの。でも、その子嫌がってるじゃない。離してあげなさい」

流石先生!


大男「そんな事ないよなぁ…………」

妹の耳もとで何かを囁く大男


妹「は、い……だいじょぶです」

震える声でそう答えた妹

何か吹き込まれたのか……!


大男「この通り本人も大丈夫だって言ってるんだし、せんせーさんはもう帰ってくれませんかね?若者の邪魔するような無粋はカッコ悪いっすよ」


先生「そうねぇ……アナタ達の邪魔を私自身がするのは、確かにカッコが付かないわね」

そんな……!!


先生「だから、私のに手伝ってもらいましょう。もちろん君たちと同年代だから無粋じゃないわよね?」


大男「それじゃさっさと呼んでくれよ。時間がもったいないだろ。おばさん」


先生「お、おば!?そう、君たち……よっぽど死にたいみたいね……それならお望み通り殺してあげるわ」

キレた!?

おばさんって言われてキレたの!?

肩に取り付けてあるポケットからトランシーバーを取り出す先生

何で、スマホじゃなくてトランシーバーなの⁉


先生「こちら、アルファー総員に告ぐ!これより作戦を開始する!標的ターゲットは私の目の前だ。座標を確認次第、駆けつけろ!獲物は少ない、早い者勝ちだ!!ゴー!」

先生が呼び出した人って、何者なんだろ……

もしかして軍人的な人?

一般人相手に、それは……あれ?

でも、同年代だって言ってたけど……


『こちらブラボー!任務了解!駆けつけます……こちらチャーリー!任務了解!すぐ行きます……こちらデルタ!任務了解!……』

トランシーバーから聞こえる声は少なくとも10人くらいはいた

どんどん大事になってきてない!?


大男「ッチ、俺もメンバー呼ぶか」

流石に多勢に無勢と判断したのか、スマホを操作して連絡を入れてる

隙を突いて妹を奪還しようと考えたけど、なかなか隙が見つからない

大男は妹の腕を握ったままだし、俺も髪の毛を掴まれたままだ

こんな状態じゃ、まともに動けもしない……


先に現場にやってきたのは、大男の仲間だった

来るなりカシラァ!と大声で話しかけてたから、間違いない


じーくん、もとい佐藤さんは加藤くんと助けようと隙を伺って動かない


次に来たのも大男の勢力だった


こうしてどんどん大男側の人数が増えていき


大男側は総勢15人にも膨れ上がっていた







これ……勝てなくないか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る