第168話 来客三人

読書をしていると、玄関からチャイムの音がした

俺が顔を上げるより早く妹が立ち上がる


妹「私が出るよ!おにぃは宿題頑張ってね!」

俺の脇を抜けて部屋を出ていく妹

出てくれるなら、任せるか

気にせず読書を続ける


数ページ読んだところで、妹が部屋に戻ってきた


俺「おかえりー。何だった?」


妹「押し売りの人だったー、何とか帰ってもらえたよ……」

最近めっきり聞かなくなったけど、まだ居たんだな


俺「そっか、お疲れ」

出なくてよかったぁ……

妹はまた机に向かい勉強をする


それからさらに小1時間ほど経ち、そろそろ休憩するかと思った時


またもやチャイムの音が鳴る

休憩がてら今度は俺が出るか


妹「あ!私出るから!おにぃはここにいて!」


俺「いや、ちょうど休憩しようと思ってた所だし、俺が出るよ」


妹「ううん!私が出るよ!休憩ならここでしてて!あっ、そうだ!コーヒー入れてくるね!じゃ!」

捲し立てる様に言うだけ言って部屋から出て行く

なんか、様子が変だな……

戻ってきたら、聞いてみるか


立ち上がって軽くストレッチする

俺「ん~~~~~~~~~~……はぁ」


同じ姿勢でずっといると体固まって凝るなぁ……


1、2!3、4!っと


背中伸ばして、首回して、屈伸して

ある程度ほぐれてきた所で妹が戻ってくる

妹「お待たせー、コーヒー淹れてきたよー」


俺「おお、サンキュー」

コーヒーを受け取り喉を潤す


妹「今度は新聞の勧誘だったよ!今日は何でこんなに人がくるのかな、もう!」

今度は新聞か……

うちは新聞取ることないだろうからなぁ


俺「それはそうと、何で俺を閉じ込めておくんだ?」


妹「え!?……何のこと?もう、おにぃったら何言ってんの?そんな事より飲んだら、続き読むんでしょ?」

なんか強引に話し反らされてるな

でも、まぁ、いっか


俺「そう、だな、それじゃ読むか……」

コーヒーを飲みつつ読書の続きをする

ようやく、半分くらいまで進んだな


ペラリペラリと読み進んで行く

妹はまた机に向かって勉強している

よく集中できるな……


それから更に1時間くらい経過した時、今日3度目のチャイムの音が鳴る

今回も妹が出てくれるようだ


やっぱり静かに読書できるのは、いいな


もうここまで読めたなら、今日中に読み終わりたいな

徹夜で感想文書いて、明日は昼くらいまで寝てよう


どんどん読み進めて行く

ふと窓から外を見ると、空が夕焼けで真っ赤に染まっていた


結構時間立ってたな……


暫くして、妹が帰ってきた

なんか、疲れてる感じがするな


俺「どうした?」


妹「え?……うん。ちょっと疲れる人だったよ……」

どんな奴が来たんだよ……


俺「そうか、お疲れさん」


妹「読書は順調?」


俺「ああ、お陰さまでな。今日中に読み終わりそうだよ、そしたら感想文書いて寝るかな」


妹「よかったね!ふふ、これでまた一歩夏祭りに近付いた」

あ~、なるほど

そんなに夏祭り行きたいのか……?

これは確実にたかられるなぁ

財布の中身足りるかな……


俺「お手柔らかにな。あんまり俺の財布頼るなよ?」


妹「もう!なんでそういう事言うかな!?一緒に行きたいだけなのに!!」

いや、絶対たかるだろ


俺「じゃあ、当日たかるなよ?」


妹「たからないよ!!もうっ!!」

信じがたいな……


俺「ほんとかぁ?」


妹「おーにーぃー?」

怒った?


俺「さて、そろそろ自分の部屋聞いて戻るかな」

栞を挟んで退散する


部屋で続きを読むとしよう


部屋に戻ってベッドに座って再開する

夕飯までの時間は、全部読書に費やそう
















ドアの向こうから母さんの声が聞こえてくる

母「夕飯よー」


もうそん時間か

いつの間にか、外が暗くなり始める時間になっていたみたいだ


あと少しで切りが良いんだけどな……

でも、遅れると母さんに怒られるしなぁ

行くか


栞を挟んで机に本を置く

伸びをしつつリビングへ下りて行く

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