第157話 VS妹

小声で妹に抗議する

俺「何してくれてんだよ!?」


妹「だって……」

だって、何だよ?


妹「おにぃは誰にも渡さないんだからね!!!」

いきなり大声で喋ったら耳がキーンってなるだろうが!!


南城「妹ちゃん!?」

堀北「どういう事かしら?」

仁科「えっ?えっ?」


俺「何言ってんだよ……」


妹「だって、だって……先輩たち、おにぃが元気って知った途端……次のデートどうするかって話しばっかりして……本気でおにぃの事心配してないんだもん!!」

マジかぁ……


南城「そ、そんな事ないよ!?」

堀北「心配してたわ!」

仁科「そうそう!」


妹「嘘……おにぃが退院するって聞いて駆けつけたのは、抜け駆けされないようにする為だもん!!」

抜け駆けって……


南城「そんなことないよ⁉」


妹「じゃあ、さっきまで話してた内容をもう一回言ってください!」


南城「えっとぉ……夏だしプールとか行きたいなぁって」


妹「そうですね。誰と行きたいんでしたっけ?」


南城「そ、それは……もちろん彼とだけど……」


妹「二人でプールに行く予定を立てるのは今する話題でしょうか?」


南城「え、だってぇ……」

弱っ⁉南城さん弱っ‼‼

なんで妹に言い負かされてるんだよ⁉

てか、南城さんと二人でプールとか地獄でしかないよね⁉

絶対行かないよ⁉


堀北「妹ちゃん、もうその辺にね?千秋も反省してるみたいだから、ね?」

おお、さすが堀北さん!

仲裁に入ってくれた!!


妹「何、私は関係無いですって顔してるんですか?春香先輩も反省してください!!」

へ?


堀北「な、なんで私まで?」


妹「気合入れて新しい浴衣を用意したそうですが、誰の為に着るんですか?」


堀北「そ、そりゃ……一番に見せたいのは彼だけど……」

ほう、堀北さんの浴衣姿か……

似合うだろうけど、一緒にいたら絶対トラブルに巻き込まれるよなぁ

お祭りに行くなら楽しみたいし、BやDと行くのがベストだな


妹「へぇ、そう、そうですか。あと、水着じゃ勝てないから浴衣にしたんですよねぇ?ちょっとキツイ春香先輩は大変ですねぇ?」

何を言ってるか分かんないけど……多分これ以上続けたら堀北さん泣くんじゃないかな……


堀北「それ、今言う⁉もうその話はヤメテよ⁉私が悪かったから、これ以上はもう……」

なんと……堀北さんも負けたのか……

今日の妹は、ひと味違うな


仁科「ふっふ~ん!その点、私はデートの話なんてしてないし!妹ちゃんの怒りに触れる心配は皆無だよね?」

仁科さんの自信家なところって、良いとこだけど……


妹「はぁ~……、仁科先輩……なんで自分は問題ないって思ってるんですか?」

やっぱり何かあったのか……


仁科「えぇ!?」


妹「いいですか?お菓子作りで元気になるのは、仁科先輩だけです!おにぃは、疲れるんです!退院した当日にウチに押しかけてお菓子作ろうとするなんて、何考えてるんですか⁉」


仁科「ええぇぇ!?げ、元気にならないの⁉どうして!?」

むしろ、どうすればそう思えるんだよ……

いやぁ、ナイスだ!妹よ!


妹「な~り~ま~せ~ん~~!!」


仁科「……そんなぁ」

打ちひしがれる仁科さん

名前持ちってみんな独自の常識持ってるんだなぁ


名前持ち三人を言い負かした妹は、仁王立ちで立ち塞がる

まさに最大にして最強の壁に、見えてるだろうな……


母「みんな、元気ねぇ。楽しいわ~」

呑気だなぁ、母さんは……


母「ウチの娘がごめんね~。それはそうと一つ皆にお知らせがあります」

お知らせ?


母「アナタ達の新しいライバルを紹介します」

まさか……⁉


三人「え?」


母「ウチの妹もソコのボンクラ兄を好きだから、ウチの息子が欲しければ妹を納得させてね!恋って障害がある程燃えるって言うじゃない?頑張ってね」

なんつー事言ってんだよ⁉

火に油を注ぐような事言うのヤメテくれよ⁉

これ以上の戦いを俺は望まない!!

是非、平和的解決を!


俺の心情なんて無視した、恋愛バトル第二ラウンドが開幕した……

母さんの余計な一言で、俺の平穏な日常はまた遠退いて行く


母さん……俺の扱い酷くない?


そろそろ本格的に家出した方がいいのかもしれない……

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