第142話 ピンチは続くよ、どこまでも

B「なぁ、お前……本当にAなんだよな?」


俺「何度も同じこと聞くなよ。見た目はこんなだけど、中身は変わってないんだよ」


B「本当にそうか?」

くどいなぁ


俺「何が言いたいんだよ?」


B「いや、堀北さんを助ける時さ」

ああ、あの時か


B「前までのお前なら……あんな言い方しなかったって、そう感じたんだよ」

あんな言い方?


俺「は?」


B「たとえ嘘でも、堀北さんを傷付けるみたいな事言わなかったと思ったんだよ」

いや、じゃあどうすれば良かったんだよ


俺「あんなの、ただの演技だよ。本気じゃないよ」

決まってんだろ


B「そうだけどさ……一瞬だけ、本気で敵に回ったんじゃないかって」


俺「そんなわけないだろ?まぁ、見た目がこんなになったし演技力が付いたんじゃないか?」


B「そういうもんか?」


俺「まぁ、助かったんだし良いじゃん。細かい事なんてさ」


B「……そうだな!」


ザザザザ……ザザ……ザザ……

スピーカーからノイズが鳴る

みんながそれに気づき、静かになる


「聞こえるか……こっちは作戦完了した……お前の方も上手くいってる前提で話す……これから、全校生徒の安全を確保するために動く……相手が集まると厄介だ……バラけてる今のうちに各個撃破する……自分の身の安全を確保した上で、作戦に参加してくれ……くれぐれも無茶はするなよ…………」


今の声は間違いなく四季島だ

これが、アイツからの連絡か……

てか、コレ相手にも全部聞かれてるよな?

急いで動かないと!!


俺「よし、それじゃ行くか!」

善は急げだ!


B「は?行くってどこに?」

決まってるだろ?


俺「他のクラスを助けにだよ」


B「お前……」


俺「南城さん達はどうする?」


南城「へ?」


俺「ここで待ってる?」

四季島もその方が安心するだろうし


南城「行くよ⁉むしろ何で置いて行こうとするの⁉」


俺「危ないんだよ?」


堀北「私達より、弱い君が行くなら一緒に行くわ。今度こそ守るわ」


俺「えっと……ありがと。それじゃまずは隣のクラス行こう!」

どんどん敵を倒して、みんなを助けよう


南城「うん!」


俺たち三人はそーっと教室を出る


放送があったにも関わらず、廊下には人っ子一人いない

まだ、どう動くか決めあぐねてるのか?

あのリーダーが指示しない限り、下っ端は動けないのか?

もしそうなら好都合だ


サササと隣のクラスをドアから覗き込むと、無線を使って指示を聞いて頷いている奴が見える


今ならいけそうかな

手にはさっきも使った拳銃を握る


南城「出来ればソレ使わないようにしたいね」


俺「そうだね…でも、いざという時は」

殺らないといけない


相手が無線で連絡を終えるまで、観察する

手に持った武器は連射できるライフルみたいだし、武器は全員同じなのかな


「聞け!これからお前らを一人づつ処刑する!それもこれも、我々に歯向かう名前持ちと男子生徒Aのせいである!」

はぁ~~~~⁉⁉


俺「ふざけんじゃねーぞ!!」

勢いよくドアを開け放ち教室に入る


「こちらNo.35!標的発見!至急応援を!!」

くそ、仲間を呼びやがったな⁉

スラ〇ムかよ!!


俺「お仲間が来る前にお前を倒す!!」

拳銃を向ける

ちゃんとした構え方なんて知らないから適当にアニメで見た真似をする


「撃てるのか?」


俺「さぁな、でもお前がみんなを殺すって言うなら挑戦はしてみるつもりだ」

当たるわけないけど、威嚇や動揺させる事ができれば隙が生まれる

そしたら、きっと南城さんが倒してくれる!


「……そうか。なら降参しよう」

あっけなく武器を捨てる男

ホッ……

撃たないですみそうだ……


俺「よかった」

相手が武器を手放して安心した俺は重い拳銃を降ろす


「ほんと、聞いてた通りマヌケだなぁ」

ん?


俺「何を」

怪訝に思っていると、突然背後から声をかけられる


「No.35よくやった!そいつが標的だな?」


35「ああ、そうだ」

くそ……もう来たのか⁉

南城さん達は⁉

振り返ると、武装した男が二人

それぞれ南城さんと堀北さんに銃を突き付けて入って来ていた


南城「ごめんね……」

堀北「油断したわ……」


そんな……⁉

このままじゃ、南城さん達が殺され……

マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ!

目の前の男は捨てた武器をまた手にしている


このままじゃ、台無しだ!!


そんな絶体絶命な状況に陥った俺に耳に、ヘリコプターの近づく音が聞こえてくる

増援!?

いや、俺を捕まえて撤収するためか⁉

逃げ場もない、手にした銃一つじゃ南城さん達を助けられない……


もういっそ自分から捕まりに行くか?

交換条件で、なんとか南城さん達を解放してもらうしか……

でも、さっきの奴みたいに名前持ちという存在自体を嫌悪してる奴だったら

交渉なんて出来るわけない……


次第にはっきり聞こえてくるヘリの音が、俺をどんどん焦らせる


こんな状況……どうすればいいんだよ!!!

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