第140話 再び校内へ

作戦会議の結果、俺は自分のクラスへ向かうことになった

南城さんと堀北さん以外のいるクラスが何組なのか、よくわかっていないからなんだけど……


俺「よし、行こう」


四季島「くれぐれも気を付けるんだぞ?」

頷き合って立ち上がった瞬間

ガラガラと保健室のドアが開いた⁉

咄嗟にドアの反対側へ走る!!

入って来たのは、見るまでもなく武将集団の一人だ


まずは四季島が白いカーテンが揺れる窓辺から、サッシを飛び越えて外へ出る

それに俺も続いて、飛び越える

着地のタイミングでしゃがみ四季島は左に、俺は右に転がる

窓から離れたところで、連続する銃声が鳴り保健室の窓ガラスを粉砕する

破片に当たらない所にいてよかった……

姿勢を低くしたまま、走り抜け校舎へ入れる所を探す


風でカーテンが外へふわりと出ている場所を運よく発見する

窓の下で息を整え、中の様子を窺う

話し声は……聞こえない

何かしらが動く音も……聞こえない

恐らく無人だ、というか無人であってくれ

緊張で思わず唾を飲む


そーっと中を覗き込むと、誰かがいた⁉

中にいるの人物は……後ろ手に縛られてる女性?が一人だけだ

ってことは、被害者だ!

助けよう!!


一度周囲を見て、見つかってないのを確認する

よし、多分四季島の方に追手が行ってるんだな……

カーテンを開けて、サッシに足をかけて中に侵入する

その足音に捕まっている人物が反応する

首をコッチに向けて俺を見ると

女性「ん~~~~~~!!ん~~~~~~~~~~~~~!!!!」

と声を上げる

口にテープを貼られていて喋る事が出来ないのが幸いした……

こんな時に大声出されたら、南城さん達の所に着く前に捕まっちゃう


人差し指でシーとジェスチャーをして、静かにしてもらう

女性「んーーーー?」


俺「シー、静かにしてください。今口のテープ外しますから、決して大声出さないでくださいね?」

コクコクと頷く女性

そーっとテープを剥がす


女性「き、君は……誰?」

ん?

この人……よく見ると……家庭科の先生じゃん?


俺「えーっと、……」

男子生徒Aですって言って大丈夫かな……?

信じてもらえないだろうし、いっか


俺「男子生徒Aです」

縛っていた縄を解いて、身動きの取れるようにしてあげる


先生「だ、男子生徒A?……そう、名乗れない理由があるのね」

あ~、偽名だと思ったのか


先生「そ、そのこんな恰好でごめんなさいね……」

そう言われて改めて、先生の恰好を見ると……

ブラウスのボタンは半分開いているし、スカートは脱げかけになってるし、ストッキングはびりびりになっていた……

えっと、なんて言ったらいいんだコレ?

エ、エロい……じゃなくて、ボロい……うん、まさにボロボロだ


俺「大丈夫ですか?」


先生「ええ、怪我はしてないわ。ふふ、君って初心なのね。顔真っ赤よ?」

くそ……名前持ちになってから、こんなんばっかだ

表情で思ってる事すぐバレるし……


俺「その、今はそれどころじゃないですから……」

まったく……何言ってんだよ……


先生「そ、そうね。ごめんなさい」

服をきっちり着直して、立ち上がる先生


俺「先生は、隠れててください」


先生「そうはいかないわ。生徒が危ない目に遭ってるのよ?先生が隠れてちゃ、ダメなの」

まぁ、そう言うと思ったけど!


俺「相手は、武装した集団です。迂闊に見つかれば殺されるかもしれません」


先生「教師は生徒を守る義務があるのよ。だから、私は行くわ」

ちょっ!?

先生は何も警戒せず廊下へ出る


「そこで何してる!!」

やっぱり見つかったぁ!!!

言わんこっちゃない!!


先生「別に何もしてないわ。それより、私としない?」

艶やかに誘う先生……何考えてんの⁉⁉


「あぁ?そうか、こんな状況で頭がイカレたか……ああ、いいぜ。相手してやるよ」

先生が戻って来て、俺に耳打ちする


先生「いい?あいつが入ってきたら、背後からコレで殴って気絶させて。早くしないと私が襲われちゃうから、お願いね」

そう言って、俺に重い花瓶を手渡す


俺「は、はい」

もうどうにでもなれ!!

入ってきた武装集団の一員はドアの脇に隠れた俺に気づかず先生だけを見ている

先生がブラウスのボタンに手をかけて、さらに誘う


「うへへ、こんないい思いしてるのがバレたら隊長からシバかれるな……」

先生に夢中の男が手袋、ゴーグル、マスク……そしてヘルメットも外す

間抜けな男が詰め寄った瞬間

思いっ切り花瓶を振り上げて、男の脳天目掛けて振り下ろす!!

バリン!!と花瓶が割れる

結果、男は床の倒れ込んだ


俺「はぁはぁはぁ」

し、死んでない……よね?


先生「ナイス!さてと、それじゃ身包み剥いじゃいましょ」

なんつー事言うんだよ……


先生「あらぁ、良いモノ持ってんじゃない!」

先生⁉何してんですか⁉

倒れた男は防具として着込んでいた物を全て脱がされてパンツ一丁にされ、縛られていた

え、えげつねぇ……


俺「えっと、先生?」

物色した防具や武器で、身に着けられる物を手当たり次第に装備していく

防弾チョッキ?やナイフ、ライフル?を使える確かめていく


先生「う~ん……君は、コレ護身用に持ってなさい」

渡されたのは小さな拳銃だった

いやいやいや⁉


俺「鉄砲なんて撃てませんよ⁉」


先生「大丈夫よ。向けるだけで相手は怯むから」

な、なるほど……

威嚇とかに使えってことか


俺「わかりました」


先生「それじゃ、私は職員室制圧しに行くわ。君も危ない事しないようにね」

そう言って廊下に出て行った家庭科の先生……

あれ?

担当教科、家庭科だったはずだけど……何であんなテキパキ動けるの⁉

てか、制圧って…………


暫くすると、遠くで発砲音が1回聞こえて女性の声で

「ゲットォォォ!!!」と聞こえた

何を手に入れたのかは……怖くて聞けそうにない

先生は何かに取り憑かれてるんじゃないかな

きっとそうだよ、うん、そうに違いない

もう深く考えるの止めよう

俺は俺のやるべき事をやろう


さて、気配を薄くして教室に行くかな

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