第139話 保健室で作戦会議

血痕を追って廊下を進むと、途中で途切れていた

この辺にいるのかな?


俺「おーい、四季島ー?」


四季島「お前か、こっちだ」

ひょっこり顔を出し手招きする四季島を発見する

四季島が隠れていたのは、保健室だった

一度後ろを振り返り追手が来ていないのを確認し、保健室に入る


四季島「ちゃんと抜け出せたようだな」


俺「ああ、お前のおかげだ」


四季島「あいつ等、何なんだろうな」


俺「真平等主義会?とか、言ってたぞ」


四季島「聞いたことないな……」

そっか、四季島も知らないのか


俺「それより、お前ケガは大丈夫なのか?」

上半身裸で、肩から腕にかけて包帯をぐるぐる巻きにされてるし

包帯には血が滲んでる

大ケガじゃんか!


四季島「ああ、大丈夫だ。ちょっと掠っただけだから、心配いらない」

掠っただけって……下手したら打ち抜かれて死んだ可能性だってあるんだぞ⁉


俺「無茶しすぎだって」


四季島「そんな事はどうでもいいんだ。それより、お前の情報が何処かから洩れている方が問題だ」

は?

情報が洩れてる?


俺「それ、どういう事だ?」


四季島「お前に関わる人材全てに箝口令を布いたはずなのに、昨日の今日で襲われている」

確かに……


四季島「という事は、お前の情報を事前にどこかに流した奴がいるってことだ。多分ウチの研究員の誰かだ……採血と検査をした中の誰かが、今の奴らをお前に誘導したんだ」


俺「そんな……」

まるでそれって


四季島「裏切者がいる。そいつをどうにかしないと、治療薬を作る所じゃない……本当にすまない」

それは、四季島が謝ることじゃない

よな?


俺「そっか。なら……なんとかこのピンチを脱出して、そいつに仕返ししないとな!」

まぁ、方法なんてこれっぽっちも思い浮かばないんだがな……!


四季島「ああ、そうだな。なんて言うか……お前、変わったな」

まぁ、変わっちまったなぁ

どうせならもっとイケメンになれたら良かったんだけどな!

でも、薬で治るだろうし大丈夫!

問題無し!


俺「さて、問題は脱出方法だけど」

普通に校門から外へ、ってのはムリだよな……

相手は組織立って動いてるし、銃で武装してる

迂闊に姿を現せば、すぐに捕まっちゃうな


四季島「一応父さんに救難信号は送ったんだが……」

まだ、助けに来れてないか……


俺「外と連絡取るには、どうしたらいい?」

カバンごとスマホは校長室の地下に置いてきちゃったから、今何も持ってないんだよな……


四季島「そうだな……俺のスマホはさっきので壊れて使えなくなったから、電話をかけるなら職員室だろう」

職員室か……

そういえば、先生たちは何してんだ?

あんだけ銃声が響いてたのに、誰も来る気配なかったぞ?


俺「とりあえず職員室行くか」


四季島「いや、まだ止めた方がいい」

何でだ?

すぐにでも、助けを呼ばないと犠牲者が出てからじゃ遅いのに


四季島「職員室も占拠されてるんだ。他の教室も武装した奴らが見張ってて、逃げられそうにない」

なんだそれ⁉

大がかり過ぎだろ⁉

俺一人攫うのに、そんな大人数必要か⁉


四季島「まずは、動ける仲間を増やそうと思う」


俺「仲間?」


四季島「まずは、千秋ちゃんと春香ちゃん。それから、豊ちゃん。あとは……楓ちゃんと颯太、律子ちゃんに……勇太にも声をかけよう。本当は女の子には大人しく隠れててほしいけど、今はそれどころじゃないしな……」


俺「南城さんと堀北さんと仁科さん以外は初めて聞く名前なんだけど……?」

誰なの?


四季島「お前、俺達名前持ちに興味なさすぎだろ……楓ちゃんは手芸部、颯太は陸上部、律子ちゃんは吹奏楽部、勇太は自称帰宅部だ」

名前持ちってそんなにいたのか……

ゆうた君とやらは何故に自称帰宅部なんだろな


俺「そんだけ居れば、何とかなりそうだな!」

よし、まずは今のメンバーを解放して協力してもらおう!!


四季島「出来ればお前には隠れていて欲しい」


俺「はぁ⁉いやいやいや!俺も手伝うぞ!」

今は女の子の手も借りたいくらいだろ⁉


四季島「危険なんだ……さっきも言ったが各教室に武装した見張りが付いてる。そいつらを無力化して、連れ出すんだ。高確率で撃たれるんだぞ」

そ、そうだけどさ


俺「うぅん……でも、さ。俺のせいで皆が危ない目に遭ってるんだし、俺の確保が目的なら殺される心配もないはず、だろ?」


四季島「もし、撃たれたら……死ぬんだぞ?」


俺「ああ」

大丈夫、きっと相手は俺を捕らえる事に夢中になるはずだ


四季島「お前が死ぬと、お前の家族も……千秋ちゃん達も悲しむんだぞ?」


俺「そう、だな……」

責任重大だな


四季島「それでも行くっていうのか?」

しっかり頷く

一刻も早く、こんな危ないイベントは終わらせなくちゃならない

俺が原因なんだ……じっとなんてしてられない!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る