第108話 大部屋とドリンクバー

受付の人から呼ばれカウンターへ


受付「お部屋の方が準備できました」


南城「はーい」

どこの部屋だろうか……?


受付「あのー……申し訳ないのですが……」

ん??

またトラブルか⁉


堀北「どうしたんですか?」


受付「お部屋の方が、大部屋のご案内になってしまいます」

大部屋?


堀北「構いませんよ。広い分には問題ないですから」

そうだよなぁ


受付「ありがとうございます。ご案内の部屋は10名様でご利用できるパーティールームでございます。この廊下の一番奥の部屋でございます。ご利用は4時間ドリンクバー込みの学生パックで間違いないでしょうか?」

じゅ、10人部屋!?

そんな多人数用の部屋なんてあるのか⁉

そこ3人で使うの⁉

どういうこと!?


南城「広い部屋なんてラッキーだね!」

ラッキーなのか?


堀北「あの、今から利用人数って変えられますか?」

今から?


受付「変更は可能です。ただ10名以内でのご利用になりますが」

背後の四季島と女子の人数を見て首を傾げる受付さん


堀北「人数を3人から7人に変更したいです」

7人?

四季島と女子3人くらい呼ぶのか?


受付「10名までなら問題ございません。ご利用の方は揃っていますか?後からご来店でしょうか?」


堀北「揃ってます」

やっぱり四季島と3人追加か


堀北「妹ちゃん!」

俺の妹をおいでおいでと手招きする

ま、まさか……


堀北「もし良かったら私たちと一緒に歌わない?」

妹たちを巻き込みやがった⁉⁉

えっ?

俺、妹の前で歌うの⁉

めっちゃヤダよ⁉


妹「え、でも……」

「え!ご一緒できるんですか⁉」

「やった!待たないで入れるなんてラッキー!」

「私も賛成~」

と妹の友達は既にこっちに混ざる気満々だ……


堀北「遠慮しないでいいわよ。私達義姉妹しまいみたいなものだもの」

とんでもない事笑顔で言ってるけどさ!?

姉妹みたいなものってどういう意味⁉

いつの間にそんな仲良くなったの⁉


あ、風呂か……⁉

一緒に風呂に入ったし、同じ釜の飯食べた仲だしな……

ある意味家族的な感じなのか……?


妹「じゃ、じゃあお邪魔します」

「いえぇーい!」

「何歌おっかなー!」

「ふふ、楽しみだね」


受付「ご利用時間の方は、どうされますか?少しなら伸ばせますが」


南城「じゃ、3時間追加で!」

さ、3時間⁉

元々4時間に3時間足したら7時間だよ⁉

そんなに長く使うの⁉


受付「申し訳ございません。最大でも2時間までしか伸ばすことはできません」


堀北「じゃあ、2時間延ばしてください」


受付「畏まりました。ではご利用時間は6時間、ドリンクバー有りでご案内になります。終了10分前に連絡させていただきますので、ご協力お願いいたします」


堀北「はい」


プラスチックの小さなカゴ2つにマイク計3本と伝票、人数分のおしぼりを入れたものを俺が受け取る

更にコップが人数分カウンターに乗せられる

俺の分のコップは南城さんが持ってくれて部屋へ向かった


部屋は10人用っていうより15人くらいまでなら入れそうなくらい広々としていた


妹「ひ、広いね……」


俺「あ、ああ、そうだな」

広さに圧倒された俺達兄妹だが、他のメンバーはただ単純に広くて楽しいって思っていそうだ


堀北「それじゃ、妹ちゃん達は飲み物取ってきていいわよ。みんな戻ってきたら私達も行ってくるから」


妹「それじゃ、行ってきます」

「行ってきまーす」

「すぐ戻ってきますね」

「何混ぜようかな~」


おい、一人変な事言ってるやついるぞ!


南城「それじゃ、私たちは」


堀北「質問タイムとしましょうか」

し、質問タイム?

なんかいや~な予感が……


南城「君、四季島くんと何してるの?」


堀北「教えてくれるわよね?」


俺「し、四季島と?何のことかな?」

なんでバレてるんだ⁉


堀北「やっぱりとぼけるのね……」


南城「なんで教えてくれないの?」


俺「だから……何のこと?」

今俺に表情があったら間違いなく目が泳いでるだろうな


南城「嘘はやめて……もし私達に言えない事ならそれでもいいから」

言えない事、だよな……

まだしっかりと打開策も聞けてないし


俺「ごめん……今は言えない」


堀北「今は、って事はいつかは話してくれるのかしら?」

いつになるかは全く分からないけど……


俺「うん。話せるようになったらちゃんと話すよ」


南城「そっか。じゃあ良いや。あ~、良かったぁ……また知らない間に君を傷つけてたかもって、心配してたんだよ?」


俺「あ、あ~……そっか、ごめん。これは俺個人の事だからさ……」

きっと打開策や解決策もなんとかなるし

バッドエンド名前持ち化のルート完全に回避できたら、ちゃんと話そう


堀北「ほんと、よかったわ……」

二人に変に心配かけちゃったな

これからは気を付けないと


俺「四季島にはさ、協力してもらってるんだ。だから、あんまり冷たくしないでやってくれないかな?」


堀北「そうなのね、四季島君も役に立つことがあるのね」


南城「う~ん……頑張る、よ」


四季島

お前……嫌われ過ぎだろ……

何か可哀想に思えてきたぞ……

そんな話をしていたら妹たちが戻ってきた


妹「戻りました」

「ただいまです!」

「すいません。遅くなりました」

「オレンジメロンコーラ……意外とイケる」


南城「お!帰ってきたね!それじゃ私たちもジュースとってこよ!」


堀北「はしゃいでコップ落とさないようにね」


俺「それじゃ、俺も」

ジュースを取りに行こうとしたら


妹「あ、兄さん」

と妹に呼び止められる


俺「なんだ?」


妹「さっき、四季島先輩がスマホ見る様に伝えてって」

スマホ?

あ~、そういえばずっとカバンに入れっぱなしだな

カバンからスマホを取り出すと小さなライトがチカチカと光り、何かしらの通知が入っているのを報せていた


俺「伝言ありがとな」


とりあえず確認は後にして、スマホはポケットに入れて南城さん達を追いかける

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