第109話 カラオケのトイレ

ドリンクバーに着くと

南城さんと堀北さんが話し込んでいた


俺「どうしたの?」

早く飲み物持って戻らないと時間がもったいないのに


堀北「千秋が、オレンジジュースとメロンソーダとコーラを混ぜるなんて言うから止めてるのよ」

オレンジ・メロン・コーラ

流行ってんの?


南城「意外と美味しいかもしんないじゃん!」

意外とって時点で美味しくない可能性の方が大きいよな


俺「オススメはしないけど、止めもしないよ」

面白そうだし


堀北「絶対不味いわよ、そんなの」


俺「まぁ、例え不味かったとしても自業自得だし……良いんじゃない?」


堀北「……それもそうね。千秋、私は絶対飲まないから、ちゃんと飲みきりなさいよ?」

あー、なるほど……

堀北さんが止めてたのはそう言う理由か

不味かった場合、堀北さんにも飲ませようとするのか

それは警戒するよな……


南城「美味しくても分けてあげないからねー」


そんなやりとりをしつつ、俺は普通にコーラを入れる

まぁ、あれだよ

コーヒーさえ混ぜなければ大体は飲めるレベルの物だと思う


飲み物を持って戻る、その前にスマホに来ていた通知を確認する


通知は新着メッセージ、相手は四季島か

なんの用だよ


今すぐ2階のトイレに来い


だと?

トイレに呼び出すとは、なんて奴だ


俺「ごめん、ちょっとトイレ行ってきていいかな?」


南城「うん。大丈夫?」


俺「大丈夫だよ。飲み物持ってってもらっていいかな?」


南城「いいよー!」


俺「ありがとう。ちょっと行ってくるね」


飲み物を迂闊にも南城さんに渡し2階のトイレへ向かった




2階のトイレに着くと四季島が仁王立ちで待っていた


四季島「遅い!」


俺「悪いな、全然気付かなかった」


四季島「お前ってやつは……」


俺「それで、なんの用だ?」

こんな所に呼び出しやがって


四季島「お前が聞きたいって言ったんだろうが」

ん?


四季島「お前が名前持ちにならないための方法だ」

今ここで!?


俺「なにもこんな所でしなくても」


四季島「できるだけ早く伝えるべきだと、そう思ったんだよ。お前、全然危機意識無いだろ」

危機意識も何も……

何も知らされてないからなぁ


四季島「前にも言ったと思うんだが、お前の中のN‐DNAは名前持ちに反応して活性化している。名前持ちと距離をとるのが一番簡単で確実な打開策なんだぞ?わかってるのか?」

距離を取れって言ったってさぁ


俺「そんなん今言われたってどうしようもなくないか?」


四季島「どうするかはお前次第だ。それじゃ、女の子達を待たせてるから」


俺「ちょっと待てよ!距離を取るって、他に方法は無いのか?」


四季島「有るには有る。だけど、今のお前には難しいだろうな……」

なんだよ、それ!


俺「出来るかどうかは聞いてみないと分かんないだろ!?」


四季島「ほぉ、なら言わせてもらおう。俺としては、その方が助かるからな……」

なんだよ……

変にタメるなよ、不安になるだろ


四季島「お前が特定の誰かと付き合う事だ」

……は?


俺「そんなの事で解決策するのか?」


四季島「そんなこと、か。なら、聞かせてくれ。お前は誰と恋人になる?」


俺「誰とって……今すぐには答えられないけど」


四季島「タイムリミットは今年中だ。それまでに決められなければ、お前はお前じゃなくなる」

今年中、かぁ

まぁ、まだ半年近くあるし大丈夫だろ


俺「まだ他に手はあるのか?」


四季島「いや、ない」

無いのか……

まぁ、なんとかなるさ


俺「わかった。とりあえず、出来ることはやってみるよ」


本日二度目のトイレで密会はこうして幕を閉じた


さて、ああは言ったものの……

どうしたら良いかな……


南城さんか堀北さんか、仁科さんか…………

急いで焦って決める訳にもいかないしなぁ

とりあえず、戻るか


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