第15話 特訓⁉普通の味のクッキー作り

翌日の学校は昨日と同じで、南城さんと堀北さんが俺に構って四季島に観察されるといった状態だった


俺「さて始めるか」


帰宅早々俺はキッチンに立っていた

そう、クッキーを作るのだ


妹「出来たら呼んで」


俺「おいっ、手伝わないのかよ」


妹「それじゃおにーの手作りじゃなくなっちゃうでしょ」


俺「……それもそうか」


妹「じゃ、マズイのは作らないでね~」


う~ん……

マズくなく、且つ美味しすぎない普通の味のクッキーか

どうやって作るかな……

先ずは簡単なとこから分量を変えてみるか……


粉を増やしつつ……卵の分量を減らすかな


これ、混ぜにくいな……


コネコネコネコネコネコネ



よし、混ざったかな

形成して、天板にクッキングシートを敷いて並べる


後は、焼き時間だな

とりあえず、予熱は170°かな

さて、十分くらい時間があるし……洗い物でもしとくかな


ふ~んふ~んふふ~ん♪


ピーピーピー

お、予熱終わった

後は中に入れて焼き時間は15分程度で様子見かな


数分おきに焼け具合を確認するし、ちょうどいい感じに焼き目になったら

オーブンから取り出して、荒熱を取る


うーん……見た目は普通だな……

味は……いまいち程度か?


とりあえず、妹呼んでみるか


二階の妹の部屋へ行く

コンコン


俺「おーい、焼けたぞー」


妹「遅いっ!」


俺「しかたないだろ、レシピ変えてるんだから」


妹「ムーーーー」


俺「下に用意してあるから」


妹「わかった」


妹と一緒に一階へ下りる


そこへ母さんが夕飯の買い出しから帰ってきた


母「あら、二人揃ってお出迎え?」


俺「違うよ、クッキー試作したから」


妹「母さんも食べる?」


母「食べる」


俺「即答かよ」


母「だってアンタが作ったの結構おいしいんだもん」


俺「それ、初耳なんだけど」


母「わざわざ言わないわよ、そんな事」


えぇーーーー

言ってよー


俺「今回のは、そんな美味しくないはずだけど」


母「何?失敗したの?」


俺「いや、そういう訳じゃないんだけど」


妹「ねー、もう食べていいー?」


俺「ああ、いーぞ」


母「なら、私も~」


母妹がもぐもぐとクッキーを食べる


妹「マズくはない……というか」


母「普通においしいわよね?」


俺「あっれー……?」


俺も一つ食べてみる


ん?これはこれで……


俺「ダメかぁ……」


妹「うん。なかなか美味しいね」


母「私はいつもの方が好きね」


俺「さて……次はどうするかなぁ」


それから通学中や休み時間の間にどうするかの案を夢中に考え続けた

そして……



試作3日目で望んだ味へかなり近づいた


これで、変なフラグは回避できるはずだ!!



~翌日~


先生「えー、家庭科の先生から今朝連絡がありました。今日の授業は予定を変更してクッキー作りをします、とのことです。エプロンは学校の用意した物を貸しますから、大丈夫だそうです」


なっ、なんだと……⁉

聞いてないぞ⁉

まさか……南城さんと堀北さんの仕業か⁉

いくらクッキーが食べたいからって……なんて横暴な……


南城さんを見てみると、コッチへ期待に満ちた視線を飛ばしてきていた

くっ……

こんな時、堀北さんがストッパー役のはず!

堀北さんは……

俺を真逆の方向を見ていた

そっちには壁しかないのに……なんで?

……まさか、共犯なのか⁉


名前持ち二人から変更して欲しいなんて頼まれた家庭科の先生には同情をするが……

俺としては、予定を変更しないでほしかった……!


ふと、南城さんとは違う熱い視線を感じだ



どこの誰だ?

俺のクッキーを食べたことのあるやつだと

Bか?Dか?


見回すと、視線を送っていた正体は、まさかの四季島だった


なんだ⁉なんで四季島が⁉

ん?俺が気付いたのに気がついた?

なんか口パクで言ってる……?


四季島(しょ、う、ぶ、だ)


勝負だ……⁉ってなんの⁉


四季島(どっちが、うまい、くっきー、つくるか)


はぁーーーーーーー⁉⁉

ふざけんなよ!

俺に何の得があるっていうんだよ⁉


ブンブン勢いよく首を横にふる

いやだよ!

これ以上の面倒事は、俺じゃ対処しきれない!


しかし、この対応がいけなかった……

俺の不審な挙動を南城さんに気付かれてしまった


そして、多分四季島が吹っ掛けてきた勝負も知られた……



どうする……



いや、待て

これは……ある意味チャンスなんじゃないか⁉

ここで、俺のクッキーの味が四季島のより下なら……

俺への好意が薄れるんじゃないか⁉

そして二人は四季島のもとへ戻る⁉

よっし!これだ!

この勝負わざと負ける!これで、俺の人生は安泰だ!


もう一度四季島の方へ向き頷いてみせる

その勝負、受けて立とう!


ふふふ、特訓の成果をみせてやる!

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