第14話 クッキーと妹

つつがなく授業が終わり下校した

勿論、両手に華の状態で……


四季島とはあの後会話してないけど、授業中ちょいちょい俺を監視でもするかのように視線を飛ばしてきた


多分、南城さん達が俺に好意を持った理由ワケを知りたいんだと思う


もし、判ったら教えてほしいな



針のむしろである事以外に問題もなく、無事帰宅


俺「ただいまー」


妹「おかえり」


俺「あれ、母さんは?」


妹「買い物行った」


俺「そっか」


妹「なんか、バターと小麦粉が足りないから買ってくるって」


あーー……

俺のせいだな

クッキー作るのに、使っちゃったからなぁ


俺「そっかぁ」


妹「ねぇ、次はいつ作るの?」


ん?何の話しだ?


俺「何を?」


妹「クッキー」


俺「お前もか……」


妹「私もってことは……、昨日の人たちも?」


俺「いや、南城さんと堀北さんが聞きつけて食べさせろって」


妹「名前持ちの二人……モテモテだね」


俺「嬉しくねーよ」


妹「え?嬉しくないの?」


俺「当たり前だろ?俺mobだぞ?」


住む世界が違う


妹「ふーん」


俺「それより、そろそろ入れてくんねーか?」

実は、今までのやり取りの間

玄関から動けていない

何故か妹は、廊下の真ん中で俺を通せんぼしてるのだ


妹「最近さー」


今度はなんだ?


妹「学校で噂、されてるんだよねー」


噂?


妹「高校のmob男子が名前持ちとラブコメしてるって」


マジかぁ……

妹の学校でも噂になってるのか……


妹「おにーのことだよね?」


俺「さ、さぁ?どーかなぁ?」

もしかしたら俺以外にもそんな境遇の人がいるかもしれないし!

多分……いないよな……

はぁ~……


妹「はぁ、おにーはおにーで大変なんだろうけどさ。もう少し大人しくしてよ」


俺「すまん……」


まさか知らない間に妹にまで迷惑をかけていたのか……

これは気をつけなきゃいけないな……


妹は言うだけ言って満足したのか、やっと退いてくれた





さて、クッキーどうしようかな……

んーーーー……

材料は母さんに頼んで分けてもらうとして

問題は味だよなぁ

アイツらBとDの感想だと、美味すぎるらしいし

いや、でもな……今までも妹や母さんに作ってやったけど

そんな褒められたことねーんだよなぁ


俺「なぁ、一ついいか?」


妹「何?」


俺「俺の作ったクッキーって美味いか?」


妹「ふつーじゃない?」


俺「だよな……普通だよなぁ」


妹「……ふつーに美味しいと思う、よ」


俺「なんでBとDのやつは美味すぎるなんて言ったんだろうな……」


妹「……知らない」


俺「だよなぁ……とりあえず、いつでも作れるように材料だけは用意しとかないとなぁ」


妹「あの名前持ちの人たちにあげるの?」


俺「半強制的に約束させられたからな……」


妹「なら、協力してあげよっか?」


俺「ん?どういう事だ?」


妹「もっと普通の味になるように作ればいいんだよ」


俺「今も普通に作ってるだけなんだがなぁ」


妹「なら、もっと手抜きで作ればいいんだよ」


俺「手抜きかぁ」


妹「味見ならしてあげるから、何度も練習すればいいんだよ。よっぽどマズくなければ食べてあげるから」


俺「それって……お前が食いたいだけなんじゃ」


妹「じゃ、一人で頑張ってね~」


俺「わー!待った!待った!俺が悪かった!頼む!協力してくれ!」


妹「おにーは最初から素直に私を頼ればいいの!私たち兄妹なんだから」


俺「あ、ああ。ありがとうな……それじゃ、早速明日から作るから味見頼むな」


妹「任せて。ちゃんと私が責任持ってのクッキー作れるようにしてあげるから」


俺「ああ」


頼もしい妹のおかげで、俺は一つピンチを脱する足掛かりができたのであった


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