第11話 mobの日曜日

昨日

堀北さんと南城さんから説明されたこと

それを俺なりに理解して、今日はBとDのやつに俺から説明する

なんとか、説得して明日からは今まで通りの関係に戻ってもらうぞ

てなわけで、昨日の内にアイツらに連絡して今日ウチに来てもらう約束を取り付けた


その時も、かなり怯えてたけどな……



ま、しかたないさ



さて、早く来ないかな……



ピンポーン

おしっ、来た!


俺「はーい」


B「……来たよ」


D「本日はお招きにあずかり……」


俺「堅い!もっと気軽でいいよ!」


D「ご、ごめんなさい……」


俺「はぁ、まあいいや。あがって」


B&D「お邪魔します」


まったく……


俺「俺の部屋で待っててくれ」


B「あ、はい」


俺は自作のクッキーを皿に乗せて、コップを3つと2Lペットボトルの紅茶をお盆に乗せて自室へ向かう







俺「お待たせ~」


B&D「……」


俺「早速で悪いが、今日来てもらった要件を話そうと思う」


B&D「ゴクッ……」

そんな緊張する内容じゃねーよ


俺「昨日の放課後に、南城さんと堀北さんから説明を受けたんだ」


B「あの二人と、どういう関係なんだ?」


俺「ただのクラスメイトだよ」


D「それを信じろって?」


俺「ま、そうだよな」

まずはそこから説明しないとな


俺「信じてもらえないかもしれないけど……先週、あの二人から告られたんだ……」


D「……は?」


B「冗談だよな?」


俺「……マジだ」


D「もしかして、付き合ってるのか?」


俺「いや、付き合ってない!最初に言ったろ?ただのクラスメイトだ」


B「じゃ、じゃあ……お前は名前持ちから告られたのか⁉mobなのに?」


俺「ああ、そうだ」


D「信じられん……」


俺「俺だって信じられないよ。でも、事実なんだよ……」


B「たとえそれが事実だったとして、それがなんで四季島の知り合いを5人も消すような事態になったんだよ……」


俺「ああ、それがな……」

昨日、二人から受けた説明を出来るだけ丁寧にする


・南城さん達が俺を構うようになった事で四季島は嫉妬した

・四季島の命令で屋上へ俺を誘き出した女子生徒Dさん

・屋上で不良5人にボコボコにされた

・死ぬ寸前に二人が助けに来てくれた

・そこで、不良達は二人に消された

・不良たちが消えたおかげで俺の命が助かった

・休んだ日は病院に行っていた

・ただ俺は何も覚えてない


大丈夫、BもDもちゃんと聞いてくれてる

なんとか説明し終えると


B「そっか……そんな事があったのか」


D「大変な目にあったな」


俺「分かってくれたか?」


B「ああ。だけど、一つ確認したい」


俺「俺に分かる事なら何でも聞いてくれ」


B「じゃ、遠慮なく聞くけどさ。お前ってホントに俺達と同じmobなんだよな?」


俺「……え?」


B「実は名前持ちなんじゃねーの?」


俺「そんな訳ないだろ⁉」


D「そ、そうだよな!お前の母ちゃんも名前無しだし」


俺「父さんも名前無しの一般人だぞ?」


B「突然変異?」


俺「もし仮に名前持ちだったとしたら、俺の顔を見れば一発で分かるだろ?」


D「だよな~。俺たちmobは顔すら殆ど同じだからなぁ」

描画されない顔はmobの何よりの証拠だ


B「そう、だよな……」


俺「そうそう!」


B「悪い、変な事言った」


俺「いや、いいさ。他には何かあるか?」


B「俺からはもうないよ」


D「俺からも特にないな」


俺「なぁ、改めて頼むよ。これからも俺の友達でいてくれ」


B「ふっ、しょーがねーな」


D「俺達以外に居ないもんな」


B「これからも友達でいてやるよ」


D「改めて、よろしくな」


俺「あ、ありがとう……お前達が友達でよかった!」


B「そんで、これからどーすんだよ?」


D「あ、そうだ!お前、確かおススメのアニメあんだろ?観よーぜ」


俺「お、おう!あれ観るか!よし、今準備するからちょっと待っててくれ」

本棚に原作のラノベと一緒に並べてあるから……


B「なぁ、このクッキーってもう無いのか?美味すぎて結構食っちまったんだが」


D「ああ、まだあるなら食べたいな」


俺「キッチンへ行けばあるから、取ってくるよ」


B「おう、頼むわ」


D「なんか手伝うか?」


俺「いや、そんな手間じゃないから大丈夫」


立ち上がるとちょうど部屋がノックされた

コンコン


妹「おにー、クッキーおかわりある~?」

遠慮なくドアを開ける妹

そして俺以外の存在に気づく


俺「ああ、あるぞ。今下行くから欲しいなら一緒に」


妹「な、ななな……人呼んでるなら先に言ってよね!もう!」

そう言ってバタンとドアを閉めて自分の部屋に戻っていく


俺「な、なんだ?」


B「お前……妹に“おにー”って呼ばれてるのか?」


俺「ん?ああ、そうだけど」


D「そ、そうか」


俺「ん?そんじゃ、追加取ってくるからちょっと待っててくれ」



キッチンで荒熱を取ったクッキーを皿に移す

なんだったんだ?妹もあいつらも……?

あ、そうだ

妹の分も持って行ってやらないと

もう一つ皿を用意して妹用にクッキーを乗せる

急いで階段を上って部屋へ戻る



あ……

両手が皿で塞がってた……

どうすっかなぁ

廊下に置くのは衛生的にどうかと思うし……

先に妹の方行くか


皿でそっと妹の部屋をノックする


妹「何?」


俺「ほれ、追加のクッキー」


妹「……ん」

受け取ったらすぐに閉め出された

なんだよ、折角持ってきてやったのに……


ま、今はそんな事より

アイツらに俺のおススメのアニメを見せるのが先決だ!


俺「お待たせー」


B「待ってました~」


D「ほんとうめーな」


俺「良かったよ。早起きして作った甲斐があったよ」


B「は……?」


D「作った……?」


俺「ん?ああ、俺の手作りクッキーだぞ」


B「どっかで買ってきたんじゃ……」


俺「何言ってんだよ。この程度の物が売り物な訳ねーだろ?」


D「マジかよ……」


俺「そんな事より、早く観ようぜ!マジで面白いから‼‼」

友人二人は、なんとも納得のいかない

といった雰囲気で俺を見ていた


まぁ、今の俺にとって関係はない

早く二人とこのアニメが観たくてしかたないんだ


俺「じゃ、再生するぞー」


B「お、おう」










二人は最後まで釈然としないといった感じで

ちゃんと観てくれてたのか、それが心配だ

明日、ちゃんと観てたか聞いてみるか

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