第4話 ケガなんてしてなかった?
屋上でボコボコにされて気を失い
気が付いたら保健室のベッドの上だった……
俺「イテテ……?」
生き、てる……?
殴られた箇所が少し痛むがどうやら思ったより酷いケガはしてないようだ
養護教諭「お、気がついたみたいだね?」
俺「あ、はい」
養護教諭「そうか、よかった」
俺「俺……」
養護教諭「覚えてない?君は南城さんと堀北さんに担がれて運ばれてきたんだよ」
あの二人が?
うっ……上手く思い出せない……確か屋上で不良に殴られて、痛みで気絶して……ん?
養護教諭「まぁ、あんなに制服はボロボロだったからね。何か酷い事があって記憶が曖昧になるのも仕方ないか」
俺「何が……?」
養護教諭「君は誰かに暴行されていた。傷付いた君を見つけた二人が君を保護して、ここに連れてきた。らしいよ」
らしい?
養護教諭「らしいって言うのはね、君が運ばれてきた時にはケガが見当たらなかったからなんだけど」
ん?なんだ?確かに俺は……不良に殴られて……?殴られた?俺が?
養護教諭「まぁ、それでも君は気絶してたからここで預かって二人は先に帰したんだけど」
俺「そうですか……」
養護教諭「本当に何も覚えてない?」
俺「はい」
というかどんどん記憶が薄れていくような……夢でも見てたような感じか?
養護教諭「そっか。分かった。なら今日あった事は忘れるように、いいね?」
俺「え?忘れる?」
養護教諭「恐らく、君は知ってはいけない事を知ってしまったみたいだからね。だから、思い出せないなら忘れなさい」
俺「は、はい」
知ってはいけない事?
なんだろ……
でも、凄く怖い体験だった気がする
言われた通りに忘れるべき、なんだろうな……
モヤモヤしたままその日は家に帰ることになった
俺「ただいま~」
母「やっと帰ってきたわね!まったく、あんまり心配かけるんじゃないわよ!」
帰宅早々母さんにぐっと抱きしめられる
俺「え?何?どうしたの?」
母「もうっ!不良に絡まれたんですって⁉ケガは?どっか痛くない?大丈夫?」
俺「いや、全然大丈夫だから!落ち着いてって!」
母「ほんとに?どこも痛くない?」
俺「大丈夫だって、なんかケガは治った?みたいだし」
母「そうなの?」
俺「うん」
母さんはその場にへたり込む
俺「その、心配かけてごめん」
母「無事なら、いいの」
俺「うん。……そういえば、何で俺がケガしたの知ってるの?」
母「南城ちゃんと堀北ちゃんがね、謝りに来たの……自分たちのせいでアンタがケガしたって」
あの二人がわざわざ……
母「その後、養護教諭の先生が電話くれて、気絶して運び込まれたって、もうほんとに、心配で」
俺「母さん、ごめんなさい」
母「でも、なんであの二人が謝るの?アンタの事助けてくれたんでしょ?」
うん?そういえばそうだな……
俺「もしかして」
母「何か心当たりがあるの?」
俺「いや」
まさかな
あの二人がマッチポンプ仕掛けてくるなんてありえない、よな
でも、なんで二人はあんな時間に屋上なんかに来たんだろう
まさか俺を探して?
いや、さすがにそこまで追いかけてくることはないだろうし
名前持ちの能力かなにかかな?
ピンチの人の所へ駆けつけられる、とか?
ま、名前持ちの人たちの事は俺みたいなmobには理解できない事の方が多いし考えるだけ無駄かな
俺「それよりさ、お腹空いたな。夕飯何?」
母「…ふふ、そうね。夕ご飯にしましょうか、今日はカレーよ」
俺「そっか。じゃ、着替えてくるから」
母「用意しとくわ」
俺「はーい」
部屋の前に着くと妹がドアの前で体育座りしてた
俺「ただいま」
妹「遅い」
俺「ごめん」
妹「ケガ、してない?」
俺「ああ、してないよ」
妹「ならいい。早くして、私お腹空いた」
それだけ言ってリビングへ降りて行った
俺「あいつにも心配かけたみたい、だな」
今度なんか埋め合わせしてやらないとな
その日、俺は家族からの愛を思い知ったのだった
翌日、学校へ行くために制服に着替えるて
朝飯を食べに降りると
母「アンタ何してんの⁉今日は休みなさい!」
俺「え?でも、どこもケガしてないし」
母「しっかりと病院で診て貰いなさい!それで何もなければ明日から学校に行きなさい」
俺「え?病院⁉そんな大げさな」
母「いいから、今日は休みなさい!」
俺「……はい」
母「病院にはもう連絡入れてあるから、朝ご飯食べ終わったら一休憩して11時に行くからね?」
俺「はーい」
病院行くだなんて、大げさな……
その日、病院行っても結局何の異変も見られない
至って健康体って診断されたんだけどな
来週も一応病院行くことになったけど、多分何もないだろうな
あの時の事はもうハッキリとは思い出せないし
多分、なかった事になるんだろうな……
それにしても……
ほんと心配し過ぎだと思うな、母さんは
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