第2話 一緒に登校し始めてから早3日

ガヤ「あいつ名前無しだろ?」「おい、あいつ何様なんだ?」「身の程知らずって言葉知らないのか?」「死ぬ気か?」「羨ましい」


もう、さ

朝っぱらからうるせーよ!

俺がどんな気持ちで此処に居るか知らないくせに!

好き放題言ってくれちゃってさ!

勘弁してくれよ、ホント……


南城「あ、そういえば今日の課題ってやってきた?」


俺「はぁ……」


堀北「どうかしましたか?」


俺「あ、うん。周りの人たちからの反応がね」


堀北「何かおかしいですか?」


俺「いや……」

おかしいのは俺の方だから、何とも言えないんだけどさ……

こうなる事は分かっていたさ!

でも、いざこの状況になってみると生きた心地がしない

たった3日でこんなに広まるって……


南城「あ!わかった!課題やってきてないんでしょ?」

課題?はい?何の話?


堀北「なら、クラスに着いたら私が教えてあげますよ」


南城「私も私もー!」


堀北「千秋は自分でやりなさい!」


南城「ぶーぶー!いーじゃん!私にも教えてよー!」


堀北「千秋はいっつも私の答えを写してるでしょ?少しは自分で頑張りなさい」


南城「えーー、春香のドけちー!」


俺「えっと、そもそも課題って何の?」


南城「え?英語だよ?」


堀北「違います。古文の、です」


俺「いや、どっちの教科も俺たちmobは滅多に課題なんて出されないんだけど?」


堀北「え?」


南城「嘘っだ~」


俺「いや、ホントです。今まで授業中当てられるのは殆どが名前持ちの人たちでしたから」

まぁ、教科書読むくらいはあったけどさ


南城「ほんとに?」


俺「はい」


堀北「そう、知らなかったわ」


俺「でしょうね~。ま、そういう訳で課題と俺は関係ないので」

教室に着いたら話しかけないでくださいね?


南城「なんかズルいよね~」

いや、わざわざ背景を当てる無駄なんてしないでしょ?


堀北「これは、先生に言っておかないといけませんね」

何!?


俺「いや、先生だってわざわざ名前無しの俺たちに構ってる余裕なんてないしさ」


南城「ダーメ!私も先生に抗議する!私たちだけに課題を出すなんて不公平だもん!」

不公平!?いやいやいやいや!

これは区別!公平とか不公平とかそういう次元の話じゃないの!


堀北「そうね、学校に着いたら職員室に行きましょう」


南城「さんせー!」


俺「ははは……」

みんな

ヤメテと言えない、弱い俺を許してくれ







学校に着き下駄箱を確認する

もしかしたら上履きが盗難に合ってるかもしれない……

良かった!

無くなってなかった


ただし上履きの上に一枚の封筒が置いてあったんだがな

はぁ~……

なんだよコレ

横長の封筒で、ハートのシールが貼られている

多分、ラブレターだよな

でも、俺にこんなもの送る相手に心当たりはない

ってことは入れ間違えだな!

中を見ないで送り主が誰か分からないかな?

うん?


2年 男子生徒Aさんへ


ん?

見間違いかな?

いや、だってさ

俺宛とかありえないだろ?

もう一度、しっかり見直す


2年 男子生徒Aさんへ


目を擦ってよくよく確認するも、宛先は俺だ

マズイな

名前持ちの二人が職員室に突撃しに行ったからこの場にいないのがせめてもの救いか

封筒をポケットに押し込み男子トイレの個室に逃げ込む


ポケットからちょっとよれた封筒を取り出す

誰からだろう……

もしこれが名前持ちからだった場合、今日中に俺は死ぬだろう

でも、もしmob女子からだった場合……あの二人を諦めさせる事ができるかもしれない!

ってことは俺は死なずに済むかもしれない!

逸る気持ちを抑え、そっと封を開ける

中には一枚の手紙が入っていた

書いてある文字は丸みがかっていて、いかにも女の子が書きそうな字体だ

なになに


入学式に一目惚れして、ずっと片思いしてました

勇気を出してこの手紙を出します

放課後、屋上で待ってます


2年 女子生徒Dより



よっしゃーーーーーーー!!

来たぞ!コレは!俺生還ルート!

Dさんって方は知らないけど、きっと密かに俺に想いを寄せてくれてた子だ

放課後、二人を撒いて屋上へ行けば

俺は生きていられる!!

祝!脱サバイバル日常ライフ












教室へ行くと、俺の机の上には今日は菊の花が活けてあった

う~ん……これは、また古典的な事を……

せめて向日葵とか、そういう花が良いんだけどな

ってかこの花瓶何処から持ってきたんだ?

結構重いな……

とりあえず窓の辺に置いておくか




あれ?そういえば

今日はBもDも声をかけてこないな?

どうしたんだろう?

もしかしてアイツらにも被害が⁉

教室内を見渡す

あ、居た居た

どうやら二人だけで何やら話し込んでいるだけみたいだ

とりあえず無事なんだな、よかった


先生が入ってくるのと同じくらいに南城さんと堀北さんも入ってくる

俺に向かって手を振るが、俺は反応してはいけない……

そこかしこから聞こえる凄まじい量の舌打ちの音が俺の命の儚さを表してしる

こんな状況がここ3日ほど続いている……

精神の方が先に死にそう


でも、俺は負けてなんていられない!

今日の放課後、Dさんに会うまでは!!!

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