第5話 ステータスの出し方を知る

 数秒の間騎士と見つめ合う。え、ステータスカードだろ? 意味は分かるぞ、ラノベを読んでるしそういうアニメも見てた。え、あれってこっちに来た時そんなの持ってたか?


「ああ、すいません。ステータスカード? が何か分からないです......」

「そういえば、リュージは記憶がなかったな......」


  ではオープンと言いながら手のひらを上に向けてみるんだとアドバイスをもらったので指示通りにやってみる。おお! スゲー、これどっから出てきたんだろ、流石異世界だな。


「そうしたら名前と年齢と性別以外を相手から見えなくなるように念じながらカードを人差し指と中指でなぞってくれ」


 名前と年齢、性別以外だな。これも指示通りにやると、黒字で書いてあったカードが目的の欄以外が薄い灰色になる。これでいいのかな?


「こんな感じですか?」

「ああ、できてるぞ。......よし、できたぞ。街にいる間はこれをしっかり持っておくことだ」


 一枚の羊皮紙にいろいろ書いてあって、最後にこの者の滞在を認めると書いてあるから、多分身分証明書みたいなものだろう。


「これは仮の身分証だから、10日以内に正式な身分証を作るように。一番簡単に作れるのは冒険者カードだから作りに行くんだぞ、冒険者ギルドに行けば作れるからな」


 ありがとうございます。と伝えて冒険者カードを作るためにそのギルドに向かう。もちろんギルドの場所を聞き忘れるなんてミスは起こさないぜ!



「ここか、かなり賑やかだな」


 目印に剣と盾のマーク、盾に靴のマークがあるのでここで間違いないな。ちらっと見えるだけで屈強そうな男たちが何人も見える。こ、怖いな。でもここで作らないとあの騎士の人に迷惑がかかる。意を決してギルドの中に入る。中を見ると周りの冒険者の視線がこちらに向く。み、見られてるな......。


 そう思い、受付にさっさと向かおうと思い移動を開始するが、屈強な男の一人が俺の前に現れる。う、カツアゲなのか!


「おい、坊主。何か用事でもあるのか?」

「あ、ああ。冒険者登録に来たんだ......」


 そうすると男が手を振り上げる。うおおお! ぶん殴られるのか!? 焦って目を瞑ったが、実際に叩かれたのは背中の方だった。しかもあまり痛くなかった。


「そうかそうか! なら今日は記念日じゃあねえか。冒険者登録は一番右の受付だぜ!」


 そういいながらガハハと笑い元いた場所に戻り、仲間と騒ぎ始めた。お、おお。滅茶苦茶いい人じゃないか。言われた通りに右端の受付に行き、登録をする。


「では、まずこちらの用紙に必要事項を書いてください」


 渡された用紙をに目を通すと、名前・年齢・得意武器・使用魔法を書く欄がある。俺文字書けるのかなと不安になったが、スキルのおかげか問題なく書くことができた。


名前:リュージ

年齢:17

得意武器:素手、剣

使用魔法:火属性、水属性、土属性


 こんなものかな。魔法は全部書いたらなんか目を付けられるってなんかのラノベで見たことがあるので3属性だけにしておいた。


「はい、すべて書かれていますのでカードの発行をします。少しお待ちください」


 用紙の上にステータスカードと同じくらいの大きさのカードを置いたとたんにカードが発光する。どうやってんだこれ、カードに情報が記入されていくぞ。10秒ほどですべての情報が書き終えカードの発光が終わる。


「最後にこちらに血を一滴流してもらえますか? こちらの器具をお使いください」


 カウンターに指が入る程度の小さな器具が置かれる。この中に指を入れればいいらしい。指を差し込み、指先に力を入れるとチクッとした痛みが走る。痛って! すぐに指を抜き傷を確認すると血が数滴出る程度の傷ができていた。受付嬢は器具を片してカードに血を垂らすように指示をくれる。ポタポタと血がカードにかがると鈍い光を2秒ほど放った時に垂れた血が吸い込まれて綺麗に無くなった。


「これで完了です。再発行に銀貨5枚がかかるので紛失しないようにご注意ください」


 初回の発行にお金はかからないのかと聞いたら、全ランクのクエスト料から仲介料を取っているから問題ないらしい。おお、すごいな。こう言うのは大体お金を取るものなのにな、充実しているのだな。



「あ、そういえば俺どこで寝ればいいんだ? ってかそもそも俺この世界の金なんて1円も持ってないぞ......」


 こういう場合はどうすれば良いのか知らないので先程の小屋に向かい、話を聞きに行く。


「すいませーん、誰かいませんか?」

「ん? リュージじゃないか。どうしたんだ?」


 お金を持っていない事を伝えると、冒険者ギルド近くの宿に数日ほど泊まれる金額を貸してくれた。


「ありがとう! このお金は必ず返すから!」

「気にすることはない。返すのなんていつでもいい」


 早く宿を取りに行けと言われたので宿を取りに向かう。初めてだな、誰かにお金を貸してもらってこんなに嬉しかったのは。ルンルン気分でギルドにこのお金で数日泊まれる宿を聞きそこに向かう。ギルドから数分しか離れていなかったのですぐにわかった。


『小鳥の羽休め亭』


 宿名的に期待できそうだな。それよりもこの銅貨? で泊まれるのかな。世界が違うから通貨も違うだろうけど、何分これの価値がどれだけなのかもわからないから何とも言えないな。これ一体いくらなんだろ......。


「いらっしゃい。1泊2食付きで大銅貨3枚、素泊まりなら1泊大銅貨1枚だ」

「これはどの銅貨なのでしょうか、こちらの硬貨を使うのは初めてでして」


 兄ちゃん別大陸の人間か? と珍しそうに見ながら硬貨の価値について教えてくれた。


硬貨単位


銅貨:硬貨の最低単位、銅貨1枚でパンが1個ほど買うことができる。

   日本円で約100円程度


大銅貨:銅貨約10枚分の価値、宿で泊まるならこの硬貨は必須。

    大銅貨以下の宿はお勧めしない。日本円で1000円ほど。


銀貨:大銅貨約10枚分の価値。武器を買うなら最低でもこの硬貨が必要。

   鉄剣なら8枚ほどは必要。日本円で約1万円ほど

 

大銀貨:銀貨約10枚分の価値。少しいい武器を買うなら最低でもこの硬貨が必要

    質の良い鉄を使って作られた剣なら8枚は下らない。

    日本円で約10万円ほど


金貨:大銀貨10枚分の価値。小さい家やかなり良い武器を買うなら最低でも

   この硬貨が必要。ミスリル、属性剣などは金貨10枚以上。

   日本円で約100万円ほど。


大金貨:金貨10枚ほど。家を買うときや希少武器などを買うときに使う硬貨。

    高名な鍛冶師の打った希少武器や庭付きの大きな家などは10枚は必要。

    日本円で約1000万ほど。


白金貨:商人や国家同士のやり取りで使用する硬貨。大金貨100枚ほどの価値。

    日本円で約10億ほど。


 なるほど、7種類か、単位も覚えやすくて助かるな。俺の持っている硬貨は全部大銅貨らしい。全部で10枚ある。全部使うのは流石に不味いのは分かっているので3日ほど食事つきで契約してカギをもらう。俺の部屋は階段を上がった角部屋だ。



「ここが俺の部屋か。うん、広さは家の自室と同じくらいだな」


 部屋にはテーブルに椅子、ベッド、衣装棚が置いてあり、生活するなら何一つ不足はない。


「ベッドは......まあ、問題はないくらいかな?」


 使い込まれてへこんではいるが寝るだけなら気にならないだろう。少し埃っぽいのが気になるがまあ、現代ホテルを想像するのが間違っているんだと思い、これからのことについてステータスカードを見ながら考える。


・まず、生活するためのお金を稼ぐ。(なるべく戦わない方向)

・騎士さんにお金を返す←なるべくたくさん

・スキルを駆使して作物を育てたり、何か小物を作って売る。

・農業で生計を立てるために農地付きのお家を買う←最大目標


 っとこんなもんかな、頭の中でいくつか目標を立てる。まずは生活できるためのお金稼ぎだよな、ギルドでなんか依頼なりクエストなりを探すか。あ、それにスキルの使い方とかわからないな......。


 どうやって使えばいいのかなあとスキルについて考えると使用したことがないが、なぜかどう使えばいいのか、どういうときに使えないのかが頭の中に浮かんでくる。おお! こんなにスキルについて分かれば小物作りは問題ないな。そうするとわからないのは魔法くらいか? どうやって使えばいいのかが考えてもわからない。これは誰かに聞くしかないかなあ......。


 受付にいたおっちゃんにでも聞いてみるかな。思ったらすぐに実行! 部屋を出ておっちゃんを探す。お、まだ受付にいた。


「兄ちゃん、夕飯はまだだぜ」

「そうなんですか。なら少し時間いいですか? 質問したい内容があるのですが」


 おお、分かる範囲でならなと快く許可してくれた。


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