第2話 神様の決め方って結構適当なんですね
「さてさて、どの世界に行くかだけどねえ......。これで決めるよ!」
神様が何もないところからいきなり四角いボックスが出てきた。すべてが黒塗りで真ん中に黄色いはてなマークが描かれている。プリントした感じではないな。手描き感満載だ。
「この中にある番号が書いてある球を引いてもらうよ! この番号はね、君たちが行く世界の番号だよ! 環境は地球と同じような場所だから安心してね! もちろん君たち以外にも人間はいるから安心して!」
流石に無人惑星生活にはならないか。それに、中の球は人数分よりたくさんあるので我先に取りに行かなくても大丈夫らしい。他のみんなもそれを聞いて安心しながら1人1人ブラックボックスの中に手を入れて球を取り出す。一人ぼっちはいやだよね。
「はい! 君が最後!」
「あ、どうもです」
俺以外のみんなが引き終わったので、コンビニのくじと同じ感じに引く。ふむ、俺は7番か。
「みんな引いたね! それが君たちが行く世界番号だからちゃんと覚えとくんだよ!」
ブラックボックスを消して次は大きな10面ダイスとカジノとかにありそうなテーブルを出してきた。おお、この神様何でこんなにブラックボックスやらダイスやら娯楽系の持ってくるんだろ、そんなに好きなのかな?
「さあ、君たちには今から200ポイントの持ち点をあげるよ! これからこのさいころを振るから、どの面に止まるか予想してもらうよ!」
次はさいころか、本当にこの神様ノリ軽いなあ。これも多分かなり重要なことなんだと思うけど......。さらに神様はさいころの次に紙とペンを出した。
「これに予想の数字を毎回書いてもらうよ! 全部で3回振るからね! 不正ができないように、1回かいたら数字の変更はできないよ!」
その紙はどうやってるのか空中に固定されている。さあ、まず1回目を書いてねと俺たちに数字を書かせている間に肩をまわしながら気合を入れている。
「よーし、それじゃあいくよ!」
テーブルにさいころを転がす。あらら、どうやら1回目ははずれのようだ。
「よっしゃあ!」
「クッソ! 外れちまった」
いきなり当たった人がいるのか、スゴイ運がいいな。羨ましく思いながら次の数字を考える。今度は最高値10を予想しようか。紙に記入して他の人の数字予想を見てみる。どうやら10に入れているのは俺だけのようだ。
「さ、第2投いっくよ!」
行き良い良くテーブルを転がり、コロコロと転がっていく。お目当ての数字に止まってくれた。イエイ!
やっぱり自分が予想したのがピタリと出てくれるとすごいうれしいな。ルンルン気分で次の数字を予想したが、まあ、案の定外れた。もともとそこまで豪運って訳じゃあないからね! さいころタイムが終わり、神が予想票の紙を眺めて頷いている。
「そうかそうか、当たらなかった人は残念だね。でも気に病むことはないさ! 強く生きようね!」
にこやかに笑っているような顔をしながら当たらなかった人を励ます。すると神が、今度は個人で考える時間だからねと言って、俺たちを別々の場所に飛ばしてしまう。
「あれ、みんなはどこ行ったんだ?」
相も変らず真っ白な空間に地面のマス目しかないので本当にどこかに飛ばされたのかわからない。
「あのお、って。あの神様もいないじゃん」
5分ほど待っていると、突然神が現れた。
「いやあ、ごめんごめん! 探すのに時間かかっちゃって」
申し訳なさそうにしながらテンション高めに話すので、まったく申し訳なく思ってる感が伝わらない。まあ、5分くらいだから別にかまわないけどね。
「はいこれ、君のシートね!」
渡されたものには、名前や年齢などが書かれていた。これが渡されたシートだ。
名前:如月 龍慈
年齢:17
性別:男
体力:A
魔力:―
筋力:C
防御:D
敏捷:B
器用:D
スキル
固有
鑑定
言語理解
残P235
ふむ、小難しくなく読みやすい自己シートだ。これは、Aが一番いいのかな? 体力はあの学校で鍛え上げられたから他の人よりあるとは自負している。
「ほうほう、君の体力はピカ1らしいね! 相当運動頑張ったでしょ?」
「ああ、はい。学生の中では相当走っていると思います」
うんうん、偉い偉いと褒められる。褒められて嫌な気持ちにはならないので普通に喜んでおく。
「これが今の君の能力値ね、向こうの世界に行くときに体を作り変えるから今の状態よりかは能力が上がると思うよ!」
おお! それってかなりすごいんじゃないの俺? 始まっちゃう? 龍慈の冒険始まっちゃうのかな?
「それとね、さっきのサイコロを振った時のポイントがあるでしょ? そのポイントに応じて好きなスキルを取れるようにしたんだけど、才能が無ければ、スキルを取得するポイントが高くなっちゃうんだよね!」
「え、そうなんですか?」
地球でもそうでしょ? 苦手な物は時間をかけて身に着けるじゃない? とよく考えれば当たり前の事を教えてくれる。
「ああ、そうだった。みんなには向こうの言葉を理解できるスキルと、鑑定のスキルをおまけでつけてるからね!」
「本当だ、これはラッキーですね」
これで、1から言葉を覚えずに済むぞ! その後に神は、ポイントでスキルを手に入れられるのはこの場だけだからね! と一番重要なことを教えてくれる。ならば、使い切らなくちゃもったいないよね。
ようし、早速スキルの編成に行っちゃいますか! 俺は一体何が苦手なのかなあ?
取得可能スキル
・戦闘
武器術【剣、刀、斧、槍、鞭、弓】…1レベル88P~
格闘術…1レベル76P
体術(戦闘時のバランス上昇)…1レベル70P
威圧…1レベル77P
手加減…1レベル68P
限界突破…1レベル90P
防御術【受け流し、盾】…1レベル85P~
......戦闘向きは取らせる気が無いらしいな。1、2個取ったら終わりじゃんか! そんなに俺って戦闘のセンスないのかあ。こうもはっきりと才能が無いぞと示されるとへこむなあ。
もしかしたら全部才能が無いとかないよね? ええっと、他は、他のスキルはどうだ? 少し焦りながらスキル表を確認していく。
・生産
芸術…1レベル6P
植物成長増加【20%ずつ上昇】…1レベル13P
品質上昇…1レベル10P
採掘速度上昇…1レベル18P
錬金…1レベル8P
鍛冶…1レベル10P
薬品調合…1レベル12P
家事…1レベル13P
料理…1レベル8P
建設…1レベル13P
付与…1レベル11P
加工…1レベル10P
・
・
・
・魔法
火属性…1レベル16P
水属性…1レベル15P
土属性…1レベル3P
風属性…1レベル10P
光属性…1レベル9P
聖属性【回復、浄化】…1レベル10P
闇属性…1レベル26P
空間属性…1レベル13P
・その他
魔眼系【石化、魅了、洗脳、魔力視、千里眼、予知、記憶視】…1レベル40P(各固定)
成長速度増加【⒛%ずつ上昇】…1レベル30P(固定)
耐性系【毒、麻痺、病気、各属性、呪、痛覚】…1レベル10P(各固定)*属性耐性は1属性ごとに10ポイントです。
能力上昇…1ランクアップ30P(固定)
必要スキルLVアップポイント減少…30P(固定)
完全に生産系なんだなあ俺。全部に才能が無いわけではなかったことが分かって少し安堵する。戦闘職は取れる希望がほとんどないので、生産系や魔法のスキルで編成を始める。
ああ、こういう選ぶ系の物って毎回全部欲しくなるなあ......。絶対に意味ないじゃんってものでも妙に魅力的に見えるんだよなあ。小学生の時の旅行で小遣いでなんかのアクセサリーとか木刀買うあれだな。
あれ、絶対使わないけどなんか欲しくなってきた! 現象である。
「これでどうだろうか」
名前:如月 龍慈
年齢:17
性別:男
体力:A
魔力:―
筋力:C
防御:D
敏捷:B
器用:D
スキル
生産
芸術LV1 植物成長増加LV1 品質向上LV1 錬金LV1 薬品調合LV1 料理LV1 建設LV1 加工LV1
魔法
火属性LV1
水属性LV1
土属性LV3
光属性LV1
聖属性LV2
空間属性LV2
その他
成長速度増加LV1
毒耐性LV1
麻痺耐性LV1
病気耐性LV1
固有
鑑定
言語理解
残P0
よし、ぴったり使い切ることができた。自己シートが完成して一息ついたと同時に突然床に物凄い複雑な模様をした魔法陣が現れた。
「うわ! え、なにこれ、俺どうなんの!?」
「それは、別の世界に飛ばすための準備をしているのさ!」
本当に異世界に行くのか? いやいや、多分夢だよな夢夢......。そんなことはないでしょうと今更焦り始めているが、直感で理解する。これもう無理な奴だわと。
「魔力の欄は向こうで体が作られたときに決まるから運要素がはいるよ! でも、初めから全体的なステータスは平均より高めだから魔力もそれなりに手に入ると思うよ!」
なるほど、魔力量は運の要素が入るのか、って、そんなこと考えてる場合じゃないよね! え、どうすんの、本当にこれ飛ばされちゃうの? 制服だよ? 異世界に制服だよ? 場違い感半端なくない!?
今頃焦ってももう遅いのだが、脳みそがようやく処理を始めたようで、ものすごい頭が回転している。
「そ、そうだ! いくら能力が高くても、ずうっと1人ボッチだと死んじゃいますよね!」
「大丈夫さ! 半径100キロ以内に必ず村や町があるような場所に飛べるから!」
それ、海とか空とかだったらどうすんですか! やばいよ、龍慈の冒険速攻で幕閉じるよ? ダラダラと汗が流れだすのを肌で感じる。
「それに、俺、体育のあ―――」
「準備完了! いってらっしゃい!!」
嘘だー!!
せめて服だけでも変えてほしいと願おうとしたタイミングで準備完了された。魔法陣が物凄い勢いで発光して目の前が何も見えなくなるくらい明るくなった途端に意識が遠のいていく。
「よし、1グループ終了っと! あと20グループかあ。長いなあ」
1人、真っ白な空間に取り残された神を自称するものは、その場で1言つぶやいて消えてしまった。
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