第56話 研究部屋
その後、サーニャ達はロゼッタを探す為に地下道を歩き進めるととても頑丈そうな扉があった。
「なんだこれ?…開かないか…」
「マーガレット、これって何か仕掛けがあるんじゃない?」
サーニャは扉を見て言った。
扉をよく見ると回路のようなものがうっすら見える。
「私ならいけると思います」
ミーナは扉に手を当て呪文を唱えた。
すると扉はカシャカシャと音を立てギィッと音を立て少し開いた。
扉を押して開けると血生臭さがさらに増し手を覆いたくなるほどだ。
すると白衣を着た女性が物音に気づいたのかこちらへ歩いてきた。
「おージャックかー…ってだ…誰だお前ら!?」
白衣を着た女性はサーニャ達を見て驚き尻餅をついた。
マーガレットは女性に銃を向ける。
「お前がヴィランズコーストのボスか?」
「は…はぁ!?そ…そんな訳ないでしょうが!!ん?待てよ?さっきから外が騒がしいな…って思ってたのってお前らがきたから!!??」
その後も女性はぶつぶつと独り言を言い続けマーガレットの怒りはこみ上がりだす。
「じゃあお前はなんだ?言わなきゃどうなるか分かるよな?」
マーガレットは銃のハンマーをカチリと動かす。女性はさらに怯え出した。
「わ…分かったよ!言うから!グレッタだよ!これでいいだろ!?」
マーガレットはグレッタの名前を聞きピクッと反応した。
「てめぇか…てめぇがミラをあんな姿にしたのか!?」
「ミラぁ?ああ…あいつか…ああ!そうだよ!悪いか?あれは私が作った最高傑作だ!いい出来だったろ!?」
グレッタはさらに煽るように言い続けマーガレットは怒りを抑えられなくなってきた。
「てめぇ…てめぇは何がなんだろうとゆるさねぇ!ぶっ殺してやる!」
マーガレットは引き金を引こうとしたが指が突然動かなくなった。
グレッタは動揺しているマーガレットを見てニヤニヤと笑いながら立ち上がった。
「は…ははははは!あいつだけが私の作品だけじゃないんだぞ?お前らなんか最近出来たあいつに殺されちまえばいいさ!」
するとグレッタの後ろからコツコツと誰かが歩いてきた。サーニャ達はその人物を見て驚きを隠せなかった。
「お前は…ニーダ!?」
「はは!こいつはお前らが知ってるニーダじゃない!私が強くしてやった新しいニーダだ!さあ、ニーダ!こいつらを殺しちゃいな!」
ニーダはグレッタの指示にこくりと頷きサーニャ達の元へ歩き出した。
マーガレットはグレッタに向けていた銃をニーダに向け発砲したがニーダは姿を消しマーガレットの目の前に姿を現すとマーガレットの腹部を殴った。マーガレットは勢いよく吹き飛ばされ壁にぶつかった。
マーガレットのぶつかった壁には亀裂が入り立ち上がれなくなっていた。
「なんだ…今の…ゴハァ!…体全身がいてぇ…」
マーガレットは力を振り絞り立ち上がろうとするが力を入れると全身に強烈な痛みを感じ抵抗出来なかった。
ニーダはミーナとサーニャの元へ瞬間移動しミーナは攻撃をしたがかわし、ミーナの頭を掴むと魔法を出しミーナを吹き飛ばした。
ミーナは床に倒れ意識を失った。
この中で戦えるのはサーニャしかいなかった。
サーニャは何度もニーダに攻撃をしたが当たらず、当たったとしても全くダメージを受けている様子がなくサーニャはニーダからの攻撃を全て受けてしまい体はボロボロだった。
(もうだめ…ロゼッタを助けなきゃ…でも…勝てないよ…)
サーニャはフラフラになりながら諦めずに立ち上がり杖をニーダに向ける。だが、魔法を出せる体力は残っていなかった。
ニーダは表情を変えずサーニャに向け攻撃魔法を放った。
(もうだめ…!ごめんロゼッタ…!)
サーニャはそう思い目をギュッと瞑った。
(……あれ?何も起こらない?)
サーニャは目を開き前を見た。
「よく頑張ったね、サーニャ!」
目の前に立っていたのはロゼッタだった。
「ロゼッタ!」
ロゼッタはサーニャに手を差し出し立ち上がらせた。
「なんとか間に合ってよかったよ…ありがとうね!ジャックとモーガン!」
「え?」
ロゼッタがそう言いサーニャは後ろを振り返るとジャックとモーガンが笑顔で手を振っていた。
「ごめん!マーガレットとミーナちゃんを避難させてくれる?」
「いいぜ!」
「わかった!」
ロゼッタの一言を聞きモーガンはミーナを担ぎ上げ、ジャックはマーガレットに手を差し出した。
「立ち上がれっかい?」
「…うるせぇ…てめぇの手なんか借りなくても…いった…」
「意地張んなくていいから…ほら」
「…ちっ」
マーガレットは仕方なくジャックの手を掴んだが立ち上がれなかった為ジャックはマーガレットの腕を肩にかけ立ち上がらせモーガンと一緒に部屋を出た。
「ちっ…お前に貸しができたな…」
マーガレットはジャックに呟いた。
「…よし!じゃあ、ニーダちゃんを倒さなきゃいけないんだね!サーニャ、手伝ってくれる?」
ロゼッタはサーニャを見て言った。
「うん!」
「わかった!ニーダちゃん!覚悟してね!」
ロゼッタとサーニャはニーダの元へ走り出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます