第53話 再会①
サーニャとマーガレットは少女の後をついて歩き地下へとたどり着いた。
そこは地上とは違い通路に灯りが灯されており牢獄が何個も続いていた。
「私が案内するのはここまで。あとはあなた達で進んで」
「ああ」
バン!
少女は案内を終えるとマーガレットは少女の額に銃を向け発砲した。少女はドサッと倒れ、抱き抱えていた西洋人形をマーガレットは蹴飛ばした。
サーニャは突然の事に驚きを隠せなかった。
「マーガレットっ!何してるのっ…!?」
「攻撃されて死ぬよりさっさと片付けちまった方がいいだろ。行くぞ」
「う…うん…」
マーガレットは弾を1発補充しながら歩き進んだ。サーニャは後を追いかける。
長い通路を進みながら牢獄の中を見ると白骨化したものや進んでいるものがそのままにされており悪臭がする場所もあった。すると通路の奥から声が聞こえサーニャとマーガレットは走り出す。
声が聞こえた牢獄の前に止まり牢獄の中を見ると人がいる事に気づいた。
「大丈夫ですか!?」
サーニャは声をかけた。すると牢獄の中にいた男が微かに声を上げた。
「…その…声…サーニャ…か…?」
男は這いつくばりながらサーニャ達に近寄った。サーニャは男の姿を見て驚きを隠せなかった。
「…お…お父…さん…?」
牢獄の中にいたのはサーニャがロゼッタに会う数年前に行方不明になったサーニャの父親だった。
サーニャは父親の手を握りしめ泣いた。
「お父さん!私だよ!サーニャだよ!」
「サーニャ…こんな立派…になっ…て…でも…なんでこんなところに…あと…隣の人は…」
「マーガレットだ。サーニャの仲間だ安心しろ。足枷を外してやるから少し耳塞いでろ」
「ああ…」
マーガレットはライフルを取り出しサーニャの父親の足枷に繋がっている鎖を撃った。鎖は凄まじい音を立てて壊れる。
そしてマーガレットは牢獄の鍵もライフルで撃ち壊した。
サーニャは牢獄を開けるが父親は出てこようとせず何かに怯えているようだった。
「お父さん?どうしたの?早く出よう?」
「無理だ…今出たら殺される…サーニャ…マーガレットさん…俺を置いて早く逃げろ…」
「どうした…早く出ろって…」
マーガレットがサーニャの父親の手を掴み引っ張ろうとすると背後からグチャ…と謎の音が聞こえサーニャとマーガレットは動きを止め、サーニャの父親はマーガレットの手を振り解き蹲りながら怯える。
「みぃつけた」
ゴズッ!!
静まりかえった地下でその一言が聞こえた後、マーガレットは後頭部を何かで勢いよく殴られ凄まじい痛みが走り気を失ってしまった。
そして目を覚ますとマーガレットは薄暗く冷たい床に横たわっていた。
「…いった…なんだよ…っサーニャ!?…どこいった…?」
マーガレットはゆっくりと立ち上がり辺りを見渡すがサーニャの姿は無かった。
すると暗闇からコツコツと足音が聞こえた。
「やっと目を覚ました?」
マーガレットは近づいてくる人物の声を聞き驚きを隠せなかった。
「ミラ!?お前ここで何してんだ!」
マーガレットに話しかけてきた人物はマーガレットが探していた人であり師匠でもある「ミラ」だった。
「何って…それは私にも分からないなー…でもマーガレット、あなたは殺さなきゃ」
するとミラは手にしていたショットガンをマーガレットに向け発砲した。マーガレットはなんとか回避する事が出来たが発砲は止む事なく続き攻撃する事ができなかった。
「あははははは!やっぱ私が訓練しただけあるねぇ!でもこのまま一方的でいいのかなぁ!?」
ミラは発砲を続けながらマーガレットとの距離を詰めていくと弾が無くなり発砲をやめ補充しだした。
(…今だ!)
マーガレットは良いタイミングだと思い自分のリボルバーを取り出さずミラにタックルし体勢を崩そうとした。
(…あれ?びくともしねぇ!?まるで地面にへばりついてるみたいに…!?)
「…ふふ」
ミラはマーガレットの片腕を掴みギリギリと抱きついてる腕を離した。マーガレットは人間に掴まれたとは思えないような力に痛みを感じ顔を歪める。
そしてミラはマーガレットの顔めがけショットガンで殴りつけた。
マーガレットはふらついたが何とか耐え口から出た血を拭う。
「ミラ!もうやめてくれ!私はお前と戦いたくない!お前を助けに来たんだ!」
「…ふふ…あはははー!あーはははははははは!…ふぅ…ありがとうね…マーガレット…でも…私はマーガレットに助けて欲しくない。私は、あなたに殺してほしいの…」
「ミラ…お前…何言って…っ!?」
マーガレットはミラの言葉に驚いたがそれと同時にミラが笑った後急に目つきが変わりアレゲニー町で一緒にいた頃の元の目つきになっていた事に気づいた。
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