第45話 変わり果てたミーナ
変わり果てたミーナはすぅっと息を吸った。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ミーナは突然叫び出し大聖堂に怪物のような叫び声が響き渡りサーニャ達は思わず耳を塞いだ。
叫び声が静まるとマーガレットは真っ先にミーナに銃を向けたが後頭部にコツっと何かが当てられた。
「おっとぉ…動くんじゃねぇぞ」
サーニャとロゼッタが振り返るとそこにはキラーとローズがおりマーガレットの頭には銃口が向けられていた。
「ちっ…てめぇら…」
マーガレットは舌打ちをする。
ローズはミーナの姿を見て少し笑顔になった。
「とりあえず、出来たみたいね」
「そうだな…じゃ、てめぇらは用済みだ」
キラーは引き金を引こうとするとマーガレットはクスクスと笑った。
「ふっ…くくくっ…」
「何がおかしい…」
キラーはマーガレットの態度が気に食わなかった。
ゴズッ!
マーガレットはキラーが油断してる隙にくるっと後ろを向きキラーの顎めがけライフルのバットプレートて思いっきり殴りキラーとの距離が離れた瞬間キラーの腹部めがけ三発発射した。
キラーは勢いよく吹き飛ばされ大聖堂の外に放り出された。ローズはマーガレットを攻撃しようとするがロゼッタに防がれサーニャはその隙にミーナの元へ走った。
「くそが…マーガレット…」
「ははっそんなに元気ならまだ楽しめそうだな」
「クソアマがあああああああ!」
キラーは怒りに任せてマーガレットに向け銃を発砲するが全く当たらず焦り始めていた。
ローズがそれを見て加勢しようとするがロゼッタに手首を捕まれ魔法が出せなくなっていた。
「へへっあんたの相手は私でしょ!」
「…ちっ」
キラーは弾を補充しては無我夢中で撃つを繰り返しているが一向に当たらず弾切れになってしまいリボルバーのハンマーが虚しく動く。
カチッカチッ
「…っくそ!なんだよずっと笑いやがって!」
「いやぁ…なぁ、必死に撃ってるお前を見てるとおもしれぇなって思ってさ…最初会ったときは私が完全に負けてたのに今じゃこのざまだ…ふふっ…」
「くそがあああああああ!」
キラーは持っていた銃をマーガレットに投げ飛ばし、走ってくるがマーガレットは何食わぬ顔で銃をキャッチし弾を数発補充するとキラーの頭を思いっきりグリップで殴りつけた。
「てめぇは銃は投げるもんだって教わったのかぁ!?銃ってのはこう使うんだよ!」
マーガレットはそう怒鳴りつけ六発発砲した。弾は全てキラーの胸元に当て何発かは貫通した。
キラーはドサッと倒れた。
(よし…サーニャの援護をしてやんねぇとな…)
「ロゼッタ!そいつの相手は頼む!」
「わかった!」
マーガレットはローズと戦っているロゼッタにそう言いサーニャの元へ走った。
サーニャはミーナに向け攻撃を続けるがミーナは一向に倒れそうになかった。
マーガレットはライフルで応戦した。
「サーニャ悪い!待たせたな!」
「大丈夫!それより考えがあるんだけどお願いできる!?」
「なんだ!?出来る範囲でならいいぞ!」
「ミーナの左目って銃で狙えたりする!?」
マーガレットはミーナの左目を見た。
何故か左目だけぐるりと動いており化け物の本体らしきものがあった。
「ああ!いけるぜ!」
マーガレットはミーナの左目めがけ一発発砲し命中した。
ギャアアアアアアア……!
ミーナは化け物の声で叫び撃たれた左目からは粘液が流れミーナは左目を抑え悶える。
その時にサーニャはミーナの背中から化け物の本体がミーナの体から出ようとしている事に気がついた。
「よし!」
「ありがとう!マーガレット!あと援護お願い!」
サーニャはそう言いミーナの元へ走った。
「え!?ちょ!サーニャ!危ねぇって!」
マーガレットはサーニャの腕を掴もうとするが間に合わずちっ仕方ねぇ…と言い援護した。
化け物はサーニャに向け触手を使い攻撃するがマーガレットが阻止しサーニャは何とかミーナの近くへ隠れる事に成功した。
「イタイ…イタイ…イタイ…イタイイタイ…タスケテ…」
左目を抑えたまま悶えるミーナの口から微かに言葉が聞こえサーニャは早くしなきゃと思いエリスに渡された札を手にし走った。
化け物はそれに気づいたのかサーニャの方を向き攻撃を仕掛けようとしていた。
マーガレットは化け物に向け発砲をするが一向に効かず仕方なく最終手段のS&W M500を取り出し化け物に向け二発発砲した。
反動でうまく狙えなかったがなんとか化け物に当たった。化け物にダメージはあったようだがあまり効いていない。サーニャがミーナの元へたどり着くのにあと少しだが反動の影響でマーガレットの手首は痛みを感じていた。
「サーニャああああああああ!いけええええええええ!」
マーガレットは痛みを我慢し化け物に向けもう一発発砲した。化け物の急所に当たったのか化け物が叫び出す。
「ああああああああああああ!」
サーニャは転びそうになりながらも全速力で走りミーナの元へたどり着くと化け物に札を貼った。
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
化け物は人の叫び声、耳を切り裂くような声で叫び出しドロドロと溶け出し消えた。
ミーナは死人のように倒れそうになったがサーニャが受け止めた。ミーナの背中は化け物が出た真っ二つに割れた大きな傷があり痛々しかった。
「ミーナ!ミーナ!ミーナァッ…!」
サーニャは涙を流しながら叫ぶがミーナは反応しなかった。駆けつけたマーガレットがミーナの胸、首筋に手を当てた。
「…大丈夫、まだ生きてる!早くロゼッタのとこに連れて行けば大丈夫だと思う!」
マーガレットがそう言うとロゼッタとローズの戦いが終わったのか静かになった。
マーガレットがミーナを背負いサーニャと一緒にロゼッタの所へ走った。
「ロゼッタ!早く…」
「ローズ!何であなたがこんな事してるの!?」
マーガレットはロゼッタにミーナに回復呪文をするようお願いしようとしたがロゼッタはローズに怒鳴っていた。
「何でって…仕事だから…」
「仕事…?仕事だからってこんな事するの間違ってるよ!昔のあなたはこんな事する人じゃなかったじゃん!」
ロゼッタは変わってしまったローズを受け入れられず涙ながらに言った。
「昔のローズは今みたいに冷たい時の方が多かったけど優しかった…子供が苦手でも困ってたら助けてあげるような人だったじゃん!なのに…」
「…うるさい」
「ねぇ…ローズ…何があなたをそうさせたの…?あの頃の私…?違う…?私が悪かったの…?なら謝るから…ね…?もうこんな事やめよ…」
「うるさいっ!」
ローズは感情を剥き出しにしロゼッタに怒鳴る。
「…あんたには…関係ない…」
ローズはロゼッタにそう言い残しキラーの遺体と共に消えた。
マーガレットとサーニャはロゼッタの後ろ姿を見て何も言い出せなかった。
ロゼッタは涙を拭いくるりとサーニャ達を見て笑った。
「…ごめん、今やるから」
ロゼッタのその笑顔はつらさを隠す為の作り笑いにしか思えなかった。
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