第41話 エリスの憶測
「エリスさん…それってどういう…」
「だから…ヴィランズコーストの連中に故郷を破壊される中一人の魔法使いが逃れるなんて無理な話よ?それも、サーニャより年下の子が…」
エリスはそう言いティーカップの紅茶を一杯飲んだ。
「でも…ミーナちゃんは話してる時…泣いてたって…ロゼッタが…」
「それが演技だったら?」
「…っ!」
サーニャは思いついた事を言ったがエリスにすぐさま言い返された。
「じゃあ、その頃の新聞見せてあげる?」
エリスはそう言い魔法で新聞を出しサーニャに渡した。
「魔術観測官によると町は一瞬にして火の海になり町の外には無数の矢が刺さった死体が複数確認、町の住民全員死亡を確認したという。」
サーニャは新聞の文章を読み驚き言葉が出なかった。
「そういう事よ。私も少し気になってファゴリアに来る前に寄ってみたんだけどそこに町があったようには思えなかったわ…それと、魔法使い長くやってれば分かるけど彼女から光属性の他に少しだけどどす黒い気配を感じたわ。人を憎んでるような…」
「なら、ロゼッタだって分かるはずじゃないんですか!?」
サーニャは思わず声を上げてしまった。
だがエリスは動じなかった。
「ロゼッタには無理ね…少しずつ魔力が落ちてるし一番の欠点があるから…」
「欠点…?」
「優しさよ。ロゼッタは人に優しすぎる。多分だけどロゼッタにはどす黒い気配が不安や悲しみに捉えちゃったのね…」
「そんな…」
サーニャは力が抜けたように座り下を向いた。
そして涙がボロボロと流れ始める。
エリスは何も言わずタバコを吸い始める。
「でも、これはただの私の憶測。ヴィランズコーストの連中と気配が似てたからそう思っただけよ。念のためにこれを渡しとくわ」
エリスは近くにあったメモに魔法陣を書き吸っていたタバコの灰を魔法陣の中心に落とした。
すると魔法陣はうっすら光始め灰はパリパリと小さな音を立てながら紙の中へ消えた。
「これでよし…もしミーナが正体を現した時に彼女に貼りなさい。これで魔力は抑えられるはず…でも正体現してない時には絶対貼っちゃだめよ。それだけは覚えといて」
エリスはサーニャに注意事項を説明してメモを渡した。
「分かりました…」
サーニャはメモを受け取るとエリスに一礼し部屋を出た。
その後、サーニャとマーガレットはロゼッタとミーナと一緒に魔導書の反応を探したが無かった為みんなで町を散策する事にした。だがサーニャはミーナの事が気になり楽しめなかった。
それから数時間が経ち辺りは完全に暗くなりサーニャ達は宿で眠りにつく。
二時間程経ちサーニャはあまり寝付けず目を覚まし起き上がる。
「寒い…風吹いてるのかな…?」
サーニャは窓際から冷気を感じ窓を見ると窓の近くのベッドで寝ていたミーナの姿はなく窓が開いていた。
「…っ!サーニャ!マーガレット起きて!」
サーニャはロゼッタとマーガレットを叩き起こした。
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