第35話 一つの手掛かり

「おーい…」


静まりかえった洞窟の外からマーガレットの声が聞こえた。


「マーガレット!大丈夫だった!?」


サーニャ達は駆け寄る。


「ああ、大丈夫だけど…っいっつ…」


マーガレットは負傷した右手首を見せる。


「ちょっとどいてください!私がやります!」


ミーナはそういうとマーガレットの右手首を触り魔法を唱えた。

唱え終えると負傷した右手首の痛みは弱まりアザも引いていた。


「…これで大丈夫だとは思いますが完全じゃないので無理に動かそうとしないでください」


「おぉ…サンキュ…それよりそっちは?」


マーガレットはサーニャ達に聞いた。


「それが、変なやつに殺されちゃったんだよね…しかもアンジュはそれが誰か分かってたし…あと約束?がどうとか言ってた」


「そうか…こっちは自分で矢を刺して幸せな人生送りたかったって言って死んだな…それが約束と関係あるのかわかんねぇけど、どうもなんか引っかかるな…」


ロゼッタはマーガレットに説明をした。


「それより、問題はこっちだ」


マーガレットは助手を見た。助手の表情は暗かった。


「助手さん、大丈夫ですか…?」


サーニャは助手に聞いた。


「はい…大丈夫です…皆さん少し協力してもらってもいいですか?」


助手はサーニャ達に言った。


「博士のお墓を作るの手伝って貰ってもいいですか?博士は生前「死んだら研究所の近くに埋めて欲しい」って言ってたので…」


「いいよ、手伝ってあげる。みんなもいい?」


ロゼッタはサーニャ達に言った。サーニャ達はうなずき早速行動に移した。サーニャは穴を掘り、ロゼッタは魔法でニーダの遺体を研究所の近くへ移動させる。

その時、ロゼッタはアンジュが付けている指輪に気づきそれを見て驚いた。


「これ…」

(この指輪…何年か前に革命で崩壊した王国のじゃん…なんでこの子の指に…?)


ロゼッタは指輪を取ろうとする。

(抜けない…っていうことは小さい時から付けてたものってこと?)


「ロゼッタ?どうした?」


「ねえ…マーガレット、どっちかを少しの間だけ生き返らせてもいい…?」


マーガレットはロゼッタの言葉に驚き激怒した。


「はあ!?お前何言ってんだよ!こいつら生き返らせたって何も意味ないだろ!もし反撃されたら誰が責任とんだよ!」


「お願い!!…聞きたいことがあるの。何かあったら私がどうにかする」


ロゼッタは真剣な顔で言った。


「…私は賛成したくないが、それはどうしてもなのか…?」


「うん」


ロゼッタの気持ちは変わらずマーガレットはどうする事も出来なかった。


「ちっ…わかった…でもその女はだめだ。生き返らせるんならボーガン使ってたやつにしてくれ…」


「わかった…ありがとう、マーガレット」


ロゼッタはマーガレットにそう言い研究所の中へ入りニーダの遺体を見る。


「…すぅ…よし!」


ロゼッタはニーダの胸元に刺さった矢を頑張って引っこ抜く。

そしてニーダの胸元に手を当て魔法を唱えた。

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