第34話 謎の二人組②
ニーダによって吹き飛ばされたマーガレットはどう攻撃すればすぐに終わらせられるか考えた。
「それはこっちも同じだっ!」
マーガレットはそういうと銃でニーダの左脚を撃ちバランスを崩し倒れそうになっているニーダの頬を怪我している右手で殴り飛ばす。さらによろめいてるニーダに向け3発撃つ。
ニーダは口から血を流しながら倒れ苦しそうに呼吸をする。
「はは…油断した…こんな強いとは思わなかったよ…」
ニーダは近くに転がってるボーガンの矢を拾い自分の心臓に刺す。
「はぁ…少しだけでも幸せな人生送りたかった…なぁ…」
ニーダはそう言い残すと目を閉じ動かなくなった。
マーガレットは無言で外に出て右手の痛みに耐えながら装填する。
「くそ…これじゃ右手使い物にならねぇな…」
マーガレットは怪我で力があまり入らなくなった右手首を見る。紫色のアザがあり少し動かすだけで激痛が走る。マーガレットは舌打ちをした。
場所は変わり洞窟の中
サーニャとミーナ、助手は岩陰に隠れていた。
「ここなら大丈夫だと思う…ミーナちゃん大丈夫?」
「はい…大丈夫…っ!」
カラッと小石が転がる音が聞こえサーニャ達は黙り込む。
「どこ行ったぁ?さっさと出てきた方がいいよ?」
洞窟に入ってきたアンジュは転がってる小石を蹴り飛ばしながら言った。
サーニャ達はバレないように息を殺す。
「…そう…教えてくれないか…なら、こうするかな」
アンジュは転がってる小石を拾い上げ近くの岩に投げる。すると岩は粉々になり崩れ落ちる。
「あっ、いたー」
運悪くその岩は、サーニャ達が隠れていた岩だった。アンジュは笑顔でサーニャ達に歩み寄る。
ミーナは震えながら杖をアンジュに向けるがアンジュに首を掴まれ持ち上げられる。苦しさのあまり杖を落としてしまう。
「ぐっ…あっ……か…」
アンジュは表情一つ変えず首を絞めるのを強めギリギリと音が聞こえ始める。
するとサーニャは落ちている杖を拾いアンジュに向ける。
「あらあら、そんな事したって無駄だって分かってるくせに」
アンジュはそれを見て笑いながら言った。
「無駄じゃないっ!私は魔法使えないけど、ミーナちゃんを助ける!」
サーニャは反抗する。
「っあははははは!バッカじゃないの!?魔法使えないのにどうやるっての!?ふざけた事言う奴だねぇ!」
「ふざけてない!」
サーニャは大声で言い杖を振る。すると杖から光が現れアンジュに向け放たれる。
アンジュは吹き飛ばされミーナの首を離す。
「…がはっ!はー…はー…」
サーニャと助手はミーナの元へ駆け寄りミーナを心配する。
「助手さんミーナをお願い!」
「分かりました!」
助手はミーナと一緒に洞窟を抜け出しサーニャはアンジュに向け杖を向ける。
「ふざけやがって…クソガキがああぁ!」
アンジュは怒りで顔を歪ませ大声で怒鳴る。それはまるでどこかの悪い姫がプライドをズタズタにされ怒り狂ったようだった。
「一回出たからって調子乗るんじゃないよ…」
アンジュは立ち上がり右手を思いっきり広げバキバキと鳴らしながらサーニャの元へ歩み寄る。
サーニャは恐怖で体の震えが止まらない。
アンジュがバッと走り出しサーニャは思わず目を瞑った。
ビュン
突然謎の音が聞こえサーニャは目を開くとアンジュの動きが止まっていた。
何が起きてるかわからないサーニャは動揺した。
「お待たせ!」
後ろから声が聞こえサーニャは後ろを振り向く。そこにはロゼッタがいた。
「ロゼッタ…」
「サーニャ!横にずれて!」
ロゼッタはサーニャに指示を出しサーニャはそれに従う。
「またあんたか…」
アンジュは動けなくなった体を無理矢理でも動かそうともがく。
ロゼッタは左手を広げアンジュへ思いっきり向けた。するとアンジュは吹き飛ばされ岩にぶつかった。
アンジュは体全身傷だらけになりながらもゆっくりと立ち上がりサーニャ達を睨みつける。
「ふざけんな…ふざけてんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなああああぁ!」
アンジュは再びサーニャ達へ攻撃を仕掛けようとする。
「はーい、時間切れー」
突然洞窟内に響く謎の声。サーニャ達とアンジュは動きを止める。
コツコツコツコツ…
洞窟の奥から足音が聞こえアンジュは後ろを振り向く。
そこには道化師のマスクを付けマジシャンの格好をした謎の人物がいた。
「だめじゃん、アンジュ。約束は守らないと」
謎の人物はアンジュの左隣に立ち肩に腕を回す。
アンジュの表情はさっきと違い怯えているようだった。
「もうちょっと待ってよ…ジャック…お願い…あんたなら分かってくれるよね…」
アンジュは涙を浮かべ声を震わせながら言った。
「んー…しーらなーい」
ジャックはそういうと肩に腕を回した右手からヒュッと一枚トランプを出しアンジュの喉元に当てる。
「ならさっさとやれよ孤児どもが」
ジャックはアンジュにそう言い残すとトランプでアンジュの首を切った。
アンジュの首から血が吹き出し倒れる。
「あーお構いなくー。私はあなた達を殺すようには言われてないんでー」
ジャックはアンジュの頭を踏みつけながら言った。
「それじゃあ、またいつの日かお会いしましょう」
ジャックはサーニャ達に礼をし、地面に赤い球を落とすとボンと赤い煙が現れ姿を消した。
だがアンジュの死体はそのまま残されていた。
サーニャ達は言葉が出なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます