第31話 ロゼッタ・コーデンの過去

ロゼッタ・コーデン


父親と母親はともに人間で魔法使いとは無縁の家系だった。


ロゼッタの生まれた街は魔法学校に近い街でロゼッタは幼少期の頃は魔法使いに憧れを持っていた。




「ねぇお母さん!私、大きくなったら魔法使いになる!」




ロゼッタは母親によく言っておりロゼッタの母親はロゼッタが六歳の頃に魔法学校へ入学させた。


ロゼッタは非常に喜び楽しい学校生活が送れると思っていた。


だが魔法の世界は甘くはなかった。


ロゼッタは他の生徒より魔法の習得に時間がかかり三年経つ頃には一つでも魔法を習得していなければならなかったがロゼッタはただ一人何一つ出来なかった。


そのせいで学年の評価最下位になってしまい完全にやる気を失い学校にいても授業を受けない日が続いた。


しかも魔法学校は全寮制で十二年制、とにかくロゼッタの中では地獄でしかなかった。


ある日ロゼッタは授業を受けず学校の裏山を歩いていると大きな木の下で一人本を読む少女に出会った。


歳はロゼッタと同じぐらいで眼鏡をかけていた。




「ねぇ!隣に座っていい?」




ロゼッタは少女に駆け寄り声をかけた。




「う…うん…いいよ…」




少女は恥ずかしがりながら小声で言った。




「ねぇ名前なんて言うの?」




「…ロッ…ローズ…」




「へー!ローズって言うんだ!私ロゼッタ!よろしくね!」




「うん…」




ローズは引っ込み思案な性格と学年成績一位で周りに注目されるのが怖くなり教室にいるのが苦しくなった影響で今のような状態になった。


それからロゼッタはローズと一緒にいる事が増えローズに魔法を教えてもらう事になった。


ロゼッタは光属性なのに対しローズは闇属性だったが基本的な魔法のやり方は同じな為一から教えてもらい寝ずに復習をした。


その甲斐もあってか五年生の時にはロゼッタとローズは親友になっており学年で成績一位を争うライバルにもなっていた。


そしてロゼッタ達は卒業し、二人で旅に出て何度か仲違いなどはあったものの順調に進んでいた。


あの出来事が起こるまでは…




「ねえ、ローズー…ローズ?」




ある朝、旅先のベッドで寝ていたロゼッタは目を覚ますと隣のベッドで寝ていたローズの姿がなかった。


荷物が残されたままだったため誰かに誘拐されたと思いロゼッタは必死に街中を探すが全く見つからない魔法を使って手掛かりを探るが一切ない。




「はぁ…はぁ…どこいったの…ゲホッゲホッ…」




ロゼッタは街中を数時間走ったせいか気持ち悪くなり咳をした。その後地面を見て驚いた。




「え?血…?なんで…?」




ロゼッタは口元に少し違和感を感じ袖で拭い取る。


袖には口元に垂れていた血がついていた。


その後咳が出ることはなかったが暗くなったため捜索を諦め泊まっていた部屋に戻ることにした。


そして本を読み吐血の原因を見つけた。


「魔法の負荷…?人間だったものが魔法を習得し、増えていくに連れ負荷が発生する…症状は個人差があるかひどい場合だと体内の臓器に負荷がかかり吐血などの恐れがあり最悪死亡する…か…」


ロゼッタには思い当たる節があった。魔法を習得する際一日に何十もの魔法を習得しようとしていた。


そのあたりから咳が出始めており魔法の負荷がロゼッタの身体を蝕んでいた。


どうにか抑えられないかと薬の作り方を調べる。それらを探しているうちにあるものの存在を知る。




「12冊揃えれば魔導書…?もしかしてこれを集めて願い事を叶えれば治るかな…?




ロゼッタは魔導書に希望を託すしかなかった。


ロゼッタはすぐに荷物をまとめローズの捜索と魔導書集めの旅を始めた。






「それがロゼッタの過去と魔法の負荷の原因なの…?」




サーニャは真剣な顔で言った。




「うん…そうだよ…サーニャ…これから先今まで通りに接してくれない…?私もそのほうが安心するから」




「わかった…でも無理はしないでね…」




「うん…わかった…」




ロゼッタはサーニャに小指を差し出す。


サーニャもロゼッタに小指を差し出し指切りげんまんをする。




「約束ね…」




「うん…」

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