第30話 緊急事態

朝になりサーニャ達は目を覚ます。


朝食はパンで簡単に済ませる。


テントを片付け次の目的地である北を目指しサーニャ達は車に乗り出発した。


ロゼッタは地図を確認するが魔導書の反応はない。


北に進むにつれ大雨が降った後の影響で道が通れなくなって迂回する事が増えていった。


そのせいで地図も頼りにならず近くの農民に道を聞いたりしながら進んだ。


そうしているうちに二日が経ちサーニャ達に疲れがたまり始めていた。


北は崖が多くいつ土砂崩れになるか分からずテントをたてる余裕が無かった。




「マーガレット…止めれる場所あったら止めて」




「おう、わかった」




ロゼッタがマーガレットにそう言った。北に行くには半日近くクネクネした山道をずっと走るしか方法がない。他の道路は大雨で通れなくなっていた。そんな中ロゼッタは地図を見ながら乗っていた為マーガレットは車酔いしたのかなと思った。


山道をなんとか走り終え近くのちょっとした広場に車を止めた。




「んー…疲れたー…」




サーニャ達は車から降り体をストレッチする。




「私…ちょっと酔いました…」




「大丈夫か?ちょっとそこのベンチで座って深呼吸すっか」




ミーナは完全に車酔いをしマーガレットに背中をさすってもらっていた。




「ねぇロゼッタ、大丈夫?なんか顔色悪いけど…」




サーニャはロゼッタの顔を見て気になった。サーニャも少し酔いかけていたがロゼッタの顔色の悪さはおかしいレベルだった。




「うん…大丈夫…」




「ロゼッタも酔ったの?」




「うん…多分…ね…ゲホッ…ゲホッ…」




ロゼッタは口を手で押さえながら咳をした。


吐血の量はテントにいた時より増えていた。




「はぁ…はぁ…ゲホッ…ゲホッ…」




ロゼッタは少し歩こうとするがふらつき始めサーニャはとっさにロゼッタの体を支えようとするがロゼッタはそれを拒否する。




「…サーニャ…大丈夫だから…」




そう言うと口から微量の血を流しロゼッタは倒れた。




「ロゼッタ!?ねぇロゼッタ!?しっかりして!」




サーニャはロゼッタに訴えかけるが反応がない。


マーガレットとミーナも異変に気づき駆け寄る。




「サーニャどうした!?ロゼッタ!おい!」




「わかんない…急に倒れて…」




「ロゼッタさん!」




マーガレットとミーナの声にも反応ない。ロゼッタの呼吸は苦しそうだった。


ロゼッタを車に乗せ近くの村の病院へ急行した。


病院に着くとロゼッタはすぐに治療が開始されサーニャ達は待合室で待つ事になった。




二時間後サーニャ達は呼び出された。


部屋に入ると酸素マスクをつけたロゼッタが寝ていた。




「ロゼッタは大丈夫なんですか…?」




サーニャは医者に聞いた。




「今は大丈夫だけど…彼女、体はまだ若いけど臓器が80代と同じになってたからその後がどうか分からない…魔法の負荷でたまになる人いるけどここまで酷いのは初めてだ…」




医者がサーニャ達に説明しているとロゼッタの目がゆっくりと開いた。




「っ!?ロゼッタ!」




「ごめんね…サーニャ…心配かけちゃって…」




「ロゼッタさん、薬は打ってあるので二日間安静にしててください」




「はい…わかりました…」




医者は部屋を出た。




「ねぇ…マーガレット…少しの間…サーニャと二人にさせて…」




「…わかった…ミーナ行くぞ」




「はい…」




マーガレットとミーナも部屋を出た。




「…ねぇロゼッタ…今聞いていい…?魔法の負荷って…」




「うん…私もそれを話そうとしてたんだ…私の過去の話もしちゃうけど…いい…?」




「いいよ…」




サーニャは近くの椅子に座ってロゼッタの話を聞いた。

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