第29話 みんなでキャンプ

サーニャ達がアレゲニー町を出て数時間が経ち辺りは夕日が沈みかけていた。


車を道から少し外れた場所に止めマーガレットとサーニャはテント建て、ミーナは焚き火に使う枝を探しロゼッタは車の助手席に座りながら地図を見ていた。




「うーん…魔導書の反応ないなぁ…」




ロゼッタは考えながら地図を眺める。




「マーガレットさん、これぐらいあれば大丈夫ですか?」




ミーナが拾った枝を抱えながら戻ってきた。




「おー十分だよ。あと足りなくなったら二本ずつ魔法で増やせばいいしな。テント建てたし休んでていいよ」




「そうですね」




ミーナは集めた枝をテントから少し離れた場所に置いた後テントの中へ入る。


マーガレットは集めた枝にライターで火をつける。




「しっかしサーニャ…ロゼッタ一時間近くずっとああしてないか?」




「あーロゼッタはよくある事だよ…呼んでくる?」




「おう、頼むわ。もうそろそろ飯準備する時間だしな」




サーニャは車に近づきガラスをコンコンとノックする。ロゼッタはかなり集中していたからかビクッと驚き目を丸くしてサーニャを見る。


ロゼッタはあはは…と言った後かけていた眼鏡を外しドアを開け外に出る。




「何かいいのあった?」




「うーん…何も…町出てからそんな経ってないし仕方ないんだろうけど…」




ロゼッタは魔法で焚き火の近くを囲むように四枚布を敷き、座る。




「夕飯なに?」




ロゼッタはマーガレットに聞いた。




「うーん…うちにあった缶詰しかないな…缶詰がいい人ー」




マーガレットはサーニャ達に質問した。だが誰も手を上げなかった。




「…だよなぁ…私もこの缶詰好きじゃないんだよなぁ…油っぽいし…食えなくはないけど不味い…」




ロゼッタはある事を思いつき、魔法で皿に置かれた川魚四匹と竹串を出す。




「なるほど、焼き魚か…そうだったな、最初からロゼッタ頼っとけばよかったな」




「うん、でも味は保証しないよ?」




ロゼッタはそう言いながら川魚を竹串に刺し一本ずつサーニャ達に渡す。サーニャ達は渡された川魚を焚き火の近くに突き刺し焼き上がるのを待つ。数分経つと川魚に焦げ目がつき食べるのには丁度いい頃合いになった。


サーニャは焼けた川魚を手に取る。




「あぁ…いい匂い…」




「それじゃあ…」




「「「「いっただっきまーす!」」」」




四人は焼けた川魚にかぶりつく。味はとても美味しく四人は思わず笑みが溢れる。


食べ終わり満足した後サーニャとミーナはテントの中で眠りについた。ロゼッタとマーガレットはのんびりと消えそうな焚き火を眺めていた。昼間より少し肌寒い。




「なんかのんびりしてていいね…」




ロゼッタはコーヒーの入ったコップを持ちながら言った。マーガレットはタバコに火をつけ吸いだす。




「そうだな…」




マーガレットも一口コーヒーを飲む。




「明日はどこ行くとか決まったか?」




「うん、とりあえず北に行ってみようかなって」




「そうか…んー…私も疲れたし寝るわ…」




マーガレットはコップに入ったコーヒーを飲み切ると立ち上がり車の方へ歩いた。




「おやすみー」




ロゼッタはマーガレットにそう言った後焚き火を眺める。




「ゲホッ…ゲホッ…」




ロゼッタは口を手で押さえながら咳をする。


押さえていた手のひらを見ると微量の血がついていた。




「…はあ…またか…」




ロゼッタはそう言うとバッグの中から小瓶を出し中身を一気に飲む。小瓶の大きさは一口で中身が飲めるほどの大きさだ。




「…ゲホ…これやっぱまずい…」




小瓶の中身の不味さに再び咳が出る。


ロゼッタは悲しげな顔で焚き火を眺める。数分経つと焚き火は消え辺りは暗くなる。




「はぁ…寝よう…」




ロゼッタは立ち上がりコップに残ったコーヒーを焚き火にかけテントの中に入り眠りについた。

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