第27話 西洋人形

ヴィレンツェは棚に置かれた見知らぬ西洋人形を見る。


眼の色は青で高価な感じだがどこか不気味だ。




「なんだこれ…?」




ヴィレンツェは立ち上がり西洋人形の前に立つ。




「気味の悪い人形だなぁ…マーガレット達の忘れ物か?」




ヴィレンツェは西洋人形を手に取り確認しようとした。




カチリキリリリ…




「!?」




突然西洋人形からゼンマイが回るような音がした。


ヴィレンツェは驚き西洋人形から離れる。そしてカウンターに置いてあった銃を手に取る。




「はぁ…?何だよこれ…」




ヴィレンツェは銃をゆっくりと西洋人形へ向ける。するとドンドンとドアをノックする音が聞こえヴィレンツェは少し驚き、警戒しながらドアの前に立つ。




「…だれ?」




「私だ、マーガレットだよ」




ヴィレンツェはノックしてきた者がマーガレットだと分かり安心したあまりはぁっとため息をつく。ドアを少し開け、マーガレットに質問する。銃は西洋人形に向けたままだ。




「な…なに?」




「お前がくれた鍵なんだけどよ、場所言ってないから分かるわけねぇだろうがー」




「あ…あー…それね…少し行ったとこに雑貨屋あるじゃん?そこの裏にある倉庫だよ」




「お…おう…」




マーガレットはヴィレンツェの宝物の場所を聞きにきただけだったようだ。だがマーガレットはヴィレンツェを見て少し疑問に思った。




「ヴィレンツェ、お前大丈夫か?なんかさっきと様子違うけど?」




「え?…だっ大丈夫だよ…はは…」




ヴィレンツェは誤魔化すために愛想笑いをした。マーガレットに心配をかけたくなかった。




「そ…そうか…じゃあ行ってくる…」




マーガレットはそう言いサーニャ達の所へ戻ろうとしていた。ヴィレンツェはこのまま誤魔化したままでいいのだろうかと思った。ヴィレンツェは思い切って聞いてみる事にした。




「ねえ!マーガレット!」




「ん?どした?」




「なにか…忘れ物とかしてない?」




「忘れ物?してないけど…」




「そっか…まあいいや!旅頑張ってね!」




「おう!行ってくる!」




マーガレットは笑顔でヴィレンツェにそう言い残しサーニャ達の所へ走った。


ヴィレンツェは店の中に入り鍵を閉める。




「…っふー…」




一度深呼吸をし、銃を向けていた西洋人形を見る。




「…は?」




そこには西洋人形はいなかった。




「……」




ヴィレンツェは理解出来なかった。マーガレットと話している時はドアを少しだけ開けていて人が店に入るスペースはない。それに全く物音が無かった。


カウンターに寄っ掛かり頭をボリボリ掻きむしり、恐怖で顔が歪み、呼吸が速くなる。




「どういうことだよ…」




ヴィレンツェは自分を落ち着かせる為に再びタバコに火をつけ吸い始める。カウンターの灰皿に置いてある吸いかけのタバコの存在を忘れるほど冷静さを失っていた。




「…ふー…わけわかんねぇ…」




ただヴィレンツェはその時気づいていなかった。さっきまで開いていなかった射撃場の扉が開いておりそこから西洋人形を抱きかかえ、ヴィレンツェを冷たい眼差しで見る少女の事を…

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