第21話 手掛かりと作戦

場所は戻りインシュバートグランドホテル。




「えーっと…魔導書の反応は一箇所だけか…」




ロゼッタは広げた地図を見て言った。地図には二箇所印がありゆっくりだが動いているのとこの部屋についている。




「でもよ、どうやって盗んだやつは入ってきたんだ?それが一番気になるんだけど…」




マーガレットは部屋の窓を見て言った。サーニャとミーナが出かける時は鍵を掛けていた。窓を見ても割られた部分や誰かが開けた様子はない。サーニャも同じ疑問を持っていてうーんと言いながら天井を見上げると一箇所だけおかしいことに気づいた。




「ねえ、あそこってなんかズレてない?」




サーニャはおかしいと思った天井を指差した。マーガレットは立ち上がりサーニャの指差した天井を見上げた。




「おおー本当だ。ここだけ絵柄がおかしいな」




天井の両端は模様があるがこの天井だけ模様が合わさっていない。しかも誰かによって切られた跡がある。


マーガレットは近くにあった椅子に立ち上がり天井を押してみようとするが数センチ届かない。




「…ぁあくそ…届かねぇ…ロゼッタ…私を浮かせるか天井を押し上げてくれ…」




「わかったーそれじゃ浮かせるねー。天井押し上げて壊れたら嫌だし」




ロゼッタはマーガレットに手をかざした。マーガレットは浮き上がり天井にピタッと手がつきグッと押してみる。少しずつだが押し上げている天井が奥に入っていき少し経つと天井が外れた。マーガレットは暗い天井裏をぐるっと見ると魔導書を二冊見つけた。そして隣に落ちていた懐中時計気づき拾う。




「ロゼッター下ろしていいぞーゆっくりなー」




「わかったー」




ロゼッタはマーガレットを少しずつゆっくりと椅子の上に下ろした。マーガレットは椅子から降り魔導書を置いた。ロゼッタは魔導書を見てわあぁと声を上げて喜んだ。


だがマーガレットは魔導書と一緒にあった懐中時計が気になって仕方なかった。




「これ…盗んだ犯人のか?」




懐中時計は銀色で模様がある。天井裏は埃っぽかったが懐中時計は埃が付いていない。




「ありがとうマーガレット…何その懐中時計…?」




ロゼッタはお礼を言うとマーガレットの持っていた懐中時計に目がいった。




「確認だけどこれロゼッタのじゃないんだよな?」




「うん、違う。私のこれだもん」




ロゼッタはポケットから自分の懐中時計を取り出した。サーニャやミーナにも確認したが同じだった。




「そうか…よし犯人の手がかりも見つかったしあれやってみるか!」




マーガレットは懐中時計をテーブルの上に置くと手をぱんと叩いた。




「作戦はこうだ。まずミーナとサーニャ、ロゼッタと私の二手に分かれる。ミーナとサーニャは魔導書を探しに行き私らはこの部屋で待機だ」




「え?部屋で待機って…?」




サーニャはマーガレットの作戦に少し疑問を持った。




「まあ予想だが犯人が馬鹿なら自分の懐中時計を失くしたことに気づいたらどんな手を使うか分からないけど取りに戻ってくる。その瞬間を取り押さえるのさ」




「なるほど…でも…魔法使いが各グループに一人なのはいいんですけどなんでマーガレットさんが部屋で待機なんですか?マーガレットさん足速いですし…」




ミーナは足の速いマーガレットが外の方がいいのではないかと提案した。




「いや…私…手出すのも早いし…外で殴っちゃったらまずいだろ…」




マーガレットは目を逸らしながら話した。


三人はあー…としか声が出なかった。




「…とっとりあえず!作戦実行だ!」

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