第18話 街探索と占い館

サーニャはミーナに二人で街を散策する事を説明をしミーナは同意した。


二人はシャワーを浴び服を着替える。


そして部屋を出ようとするとロゼッタに財布を渡された。好きな物食べたりしてきなとロゼッタは言うと寝室へ向かった。


マーガレットはゆっくりと立ち上がり気をつけてなーっと言いながらロゼッタの後をついていく。


サーニャとミーナは少し不安だったが部屋を出てエレベーターで一階へと降りた。


一階のロビーにある時計を見ると8:40を差していた。


二人は朝食を食べようとバイキングへ向かうが開店していない。開店時刻を見ると12時からと書かれていた。


二人は諦め昨日訪れた喫茶店へ向かった。喫茶店は開いており昨日の同じ場所に座る。




「何かご注文はごさいますか?」




昨日とは違う女性のウェイトレスが来てテーブルに水を二つ置きサーニャにメニュー帳渡す。




「うーんと…あっ…これで」




サーニャはメニュー帳を開くとモーニングメニューという文字を見つけた。その中のパンケーキセットを注文してミーナにメニュー帳を渡した。




「えーと…私も同じもので…」




ウェイトレスはかしこまりましたと言いその場を後にした。


サーニャは何気なく街並みを見た。昼間と比べると活気はないが人通りが多少ある。そして至る所で開店準備をしていた。




「あの…サーニャさん…突然なんですけど…どれぐらい魔法使えます…?」




「ん?ミーナちゃんと比べると全然だよ。出来たとしても羽を少し浮かせられるぐらい」




「そうですか…ちょっとそのネックレス見せて貰えますか?」




「ん?いいよ」




サーニャは首にかけていたネックレスを外しミーナに渡した。


ミーナは渡されたネックレスをひと通り見るとん?と首を傾げた。




「サーニャさん、その紙ナプキンを浮かべてみてくれませんか?」




「え?待ってよ…私それが無いと…」




「大丈夫です、私を信じてください」




サーニャは困惑しつつもミーナの言葉を信じ紙ナプキンを浮かせる事に集中した。すると風も吹いていないのに少しずつ動き始めふわっと浮き始めた。


サーニャはそれを見て驚きを隠せなかった。




「え…?浮かせられた…嘘…」




「やっぱり…」




ミーナはサーニャの一連の動きを見てボソッと呟いた。




「え?ミーナちゃん…やっぱりって…?」




「サーニャさんから少しだけですけど魔力を感じました。けど羽を浮かせられるだけと言った割に魔力が強いのです。なので確認の為にネックレスを外してもらって紙ナプキンを浮かべてみてほしいと言いました。」




「その結果が…これ…」




「そうです。サーニャさん、前の町で何度か練習していました?」




「うん…してた…」




サーニャはアレゲニー町で何度か魔法の練習をしていた。マーガレットとロゼッタに気づかれないよう夜中外に出て近くに落ちてる枯葉、紙袋など軽そうなものはなんでも試した。少しずつではあったが動いたり浮いている感覚はあったが風やネックレスの影響だろうとずっと思っていた。




「だからサーニャさん、少しずつではありますがあなた自身に魔力が身についてきているっと言う事です。」




「本当…?実感わかないんだけど…?」




サーニャはミーナの言葉に嬉しさを感じたが同時に戸惑いも感じた。魔力が身につき始めているのは嬉しいが気づかないうちになるとは予想付かなかったからだ。


ミーナはサーニャにネックレスを返す。ウェイトレスが近づき二人分のパンケーキセットを置いた。




「あなた達、魔法使いなのですね」




ウェイトレスが聞いてきた。ミーナはこくりと頷く。




「この大通りを歩いて四つ目の路地に魔法使いの店があるので行ってみたらどうですか?」




「魔法使いの店…?」




サーニャが聞き返す。




「はい、この街で占いをやっているお店なんですが前までは魔法使いがこぞって訪れていた店です。今はたまに来る程度らしいですけど…それでは、ごゆっくり」




そう言うとウェイトレスは店の中へ戻って行った。




「魔法使いの店…か…ミーナちゃん行ってみる?」




「はい、行ってみましょう」




インシュバート街散策の二人の目的地が決まった。


サーニャとミーナは食事を済ませウェイトレスに勧められた魔法使いの店へ向かう。




「えーっと…大通りを歩いて四つ目の路地…だよね?」




「はい、確かそう言ってました」




二人は大通りを歩き四つ目の路地にたどり着いたがその先は道が二手に分かれてありどっちに歩けばいいのかわからなかった。




「とりあえず右行ってみようか」




「はい」




二人は右側の道を歩く。大通りから少しずつ離れていくにつれ人の声が聞こえなくなっていき人気がなくなっている。店も閉まっているものばかりだ。


二人の間に不安感が立ち込める。道は一本道で少しずつ左に曲がっているがウェイトレスの言った魔法使いの店は見当たらない。そして歩いていくにつれ人の声が聞こえ始めた。周りを気にしながら歩いているとサーニャは足を止めた。




「ミーナちゃん、ここってさっきのところじゃない?」




「え?」




ミーナは思わず後ろを振り返る。そこには見覚えのある二手に分かれた道だ。




「じゃあこの道は繋がっていたって言うわけですか?」




「そういう事だね…もう一周して探してみようか」




「そうですね…」




二人は来た道を戻った。同じく少しずつ人の声が聞こえなくなっていき道は右に曲がっていってる。


人の声が聞こえなくなったところでミーナがあるものに気づいた。




「サーニャさん、あそこに階段なんてありましたっけ…」




「階段…?あったっけ…」




ミーナの指差す方向には建物の死角になる場所に下り階段があった。


階段の先は暗くてよくわからない。




「…行ってみる…?」




「…はい…」




二人は恐る恐る階段を下りた。少しずつ暗くなっていき階段を下り終える時には真っ暗になっていた。通路の先を見ると小さな光が見え微かにだが扉が見える。


二人は扉の前に立ち扉に掛けられている看板を読んだ。




「魔法使いの…店…」




「ここなんですね…」




「わかりにくい場所にあるね…入ってみようか…」




「はい…」




サーニャは扉をゆっくり開けた。扉は思った以上に重く金具が錆びついているのかギィーッと音が響く。


店の中に入ると中は薄暗く無数に並んでいる瓶の中の液体が赤、緑、紫と光っており隣には蛇の皮などが垂れ下がっている。カウンターにはランタンが置かれているが意味をなしているようには思えないぐらい光が弱い。カウンターの近くだけを照らすだけで十分と言わんばかりの明るさだ。だが店員の姿がない。




「…すっ…すみませーん…」




サーニャは恐る恐る店員を呼んでみたが反応がない。ミーナは売り物に少し興味があったが店の雰囲気が暗く恐怖心の方が勝っていた。


二人が諦めかけていたその時カウンターの後ろにある紫色のカーテンの奥から物音が聞こえた。


カーテンがゆっくりと開くと気だるそうな店員らしき人物が現れる。




「ふあぁ…何?お客さん…?」




丸眼鏡を掛けた女性だが服がダランとしていてだらしない。




「あの…ここって…」




「ん…?私の店だけど…気分でやってるから営業日はバラバラだけど…」




サーニャは質問した。店主は頭をぽりぽりかきながら質問に答えた。




「それで…何しにきたの?」




「占いをやってもらいたくて…」




「占い…か…ふあぁ…分かった…そこの椅子に座ってて…」




サーニャとミーナはカウンターの側にある椅子に座った。店主はカーテンの奥へとぶつぶつ独り言を言いながら消えていった。




「あの…大丈夫なんですか…?」




「うん…大丈夫だと思う…多分…」




二人は不安でいっぱいだった。


店主がカーテンから水晶玉を両手で抱えながら出てきてカウンターの上にある小さな座布団の上に置きぶつぶつ独り言言いながら椅子に座った。




「それじゃあ…始める前に…私はファルス…あなた達はサーニャとミーナ…ね…」




「はい…そうです…」




店主のファルスは名前を聞かずに二人の名前を当ててみせた。二人は少し驚き不安感が少し薄まる。




「うーんじゃあ…やるね……」




ファルスはめんどくさそうではあるが水晶玉の上に手をかざす。すると水晶玉の色が透明だったのが少しずつ紫色に変わり始める。




「ふーん…なるほどね…見えたよ…お二人さん…簡単に説明するとこの後面倒な事になるかもね…」




ファルスはかざすのをやめ水晶玉から見えたものを説明した。




「面倒な事…それってなんですか?」




サーニャは疑問に思い質問した。




「えー…それも説明しなきゃいけない?…わかった…見つけた探し物が無くなるのと誰かに狙われる…これぐらいかな…それじゃあ…今日は店じまい…また来ていいけどやってなかったらごめんね…ふあぁ…ねっむ…」




ファルスはめんどくさげに説明をした後またカーテンの奥へと消えていった。




「「……」」




二人はポカーンとした。占いの雑っぷりもそうだが内容だ。




「見つけた探し物が無くなる…もしかして…」




「サーニャさん…私も嫌な予感がするんですけど…」




二人は慌てて店を出てホテルへと戻った。






その頃ホテルの中ではロゼッタとマーガレットが目を覚ましていた。




「うぅ…さっきよりマシになった…マーガレット…昨日はごめんね…」




「いや…あれはこっちが悪いんだし…いいよ…」




マーガレットは少し痛い頭をぽりぽりかきながらロゼッタと会話した。ロゼッタも二日酔いが抜けきっていないが朝よりはマシになっていた。




「マーガレットごめん…魔導書の確認手伝って貰っていい…?」




「ああ…いいよ…」




マーガレットはコップ一杯の水を飲む。ロゼッタはバッグを取り出し魔導書を探す。




「ん?」




ロゼッタは不思議そうにバッグの中を必死に探す。




「ロゼッタ?どうした?」




マーガレットはロゼッタの異変に気付き質問をする。




「…い…」




「おい、ロゼッタどうしたんだよ」




「ないー!」




ロゼッタは突然大声を出しバッグの中の物を出す。


小物、衣類などがポンポン出てくる中魔導書が一向に出てこない。マーガレットもただ事じゃないと察し探すのを手伝った。




五分後


サーニャのバッグとマーガレットのバッグの中身を全て出したが魔導書が二冊しか出てこなかった。


本来ならバッグの中に魔導書が七冊入っているはずだ。二人は昨晩の記憶を思い出す。だが酒を飲んで寝てしまったという記憶しか出てこない。




「はあぁー…どうしよう…マーガレット…」




「どうしようって言われてもよ…」




二人は焦りを隠せなかった。

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