第17話 バイキングとお酒
「あー…んんっ!えーと楽しそうに会話してるところ悪いがお前ら腹減らないか?」
マーガレットがそう言うと三人はあっという表情をした。会話が楽しくなり空腹なのを忘れてしまっていた。部屋にある壁掛け時計を見ると七時を指しており夕飯には丁度いい時刻だ。
「ここのホテル、バイキングも凄いんだぞ」
マーガレットが自慢げに言うとミーナとサーニャはへーと興味なさげに言うがロゼッタは違った。目を輝かせていた。
「マーガレット!バイキングなの!?すごいの!?」
「ああすごいさ!めっちゃ美味いぞ!」
ロゼッタはそれを聞くと楽しみでうずうずしていた。おそらくだが食べ物よりスイーツの方を楽しみにしているのだろう。
「行こう!ねえ!」
サーニャと仕方ないかと思い行こうかとミーナに言う。ミーナははいとだけ言い立ち上がった。ロゼッタが先導し四人は一階のバイキングへ向かった。
エレベーターで一階へ降りロビーとは逆方向へと進むとおしゃれな扉が見えた。扉を開けると食べ物の美味しそうな匂いがして空腹感を増幅させる。四人はウェイトレスに席に案内されロゼッタとマーガレットが先に自分の食べ物を取りに行った。
建物の中はロビーと同じようにシャンデリアがありとても優雅な空間だ。
数分待っているとマーガレットとロゼッタが戻ってきた。マーガレットは肉中心、ロゼッタは野菜と肉、意外とバランスの考えられた配分になった。
「うちら先に食ってっからお前らも行ってこい。」
「うん、ミーナちゃん行こっか」
「はいっ!」
サーニャとミーナは席を立ち食べ物を取りに行った。
ロゼッタはもぐもぐ口を動かしながらマーガレットに話しかけた。
「んえーまーまれっとー(ねーマーガレット)」
「あ?喋るんなら口の中の飲み込んでからにしろよ」
「んぐっ…ごめんごめん。いやぁさー二人を見てると姉妹みたいだなーって思って」
「ん?まあ確かにそうだな…」
マーガレットはサーニャとミーナの楽しそうに会話しながら食べ物を選んでる様子を見て少し微笑んだ。
「うちもあんなんだったらよかったんだけど…」
マーガレットはボソッと呟いた。
「ん?マーガレットなんか言った?」
「んぁ…!?なっ何でもねぇよ…!」
マーガレットは少し照れながらハイボールを飲んだ。
「え!?ここお酒も飲めるの!?」
ロゼッタはマーガレットのハイボールを見て驚いた。
マーガレットはロゼッタの食いつきぶりに驚いた。
「飲めるけど…お前飲めるの…?飲めそうに見えないけど…」
「ひどーい!飲めるもん!どこいけば貰えるの?」
「そこのカウンター行けば貰えるけど」
「わかった!行ってくるー!」
ロゼッタはすっと立ち上がるとバーカウンターの方へ歩いた。
マーガレットはそれを見てポカーンとした。
「…ったく…あいつだだのスイーツ馬鹿かと思ってたけど…人は見かけによらないな…はむっ…あっこの鶏肉うまっ…めっちゃハイボールに合うんだけど」
その頃サーニャはどれを取るか悩んでいた。
「うわあぁ…どれも美味しそう…」
サーニャが悩んでいる中ミーナは目の前にある自分が食べたいと思ったものを取った。
サーニャは選んでてもキリがないやと思い始め近くにある美味しそうなものを取るようにした。
「ミーナちゃんそれで足りるの?」
ミーナの皿を見るとサーニャが見てもこれで十分だろうかと思うほど少なかった。
「私少食なんで…」
「そっか、じゃあ戻ろっか」
「はい」
サーニャとミーナが席へ戻ると目に入った光景は予想していなかったものだった。
「うへー!私の勝ちー!」
「お前…そこまで強いとは…」
ロゼッタは完全に出来上がっていてマーガレットは酔い潰れる一歩手前だった。
「二人共…何してんの…」
「いやぁ…ロゼッタ…酒飲めるから…ノリでどれぐらい飲めるか競ったんだ…けど…」
マーガレットが辛そうに言ってる中ロゼッタは酔っ払ってはいるがショットグラスに入ってる酒を飲んでいた。
テーブルには空になったウオッカのボトルが一本、半分残ってるウオッカが一本あった。
サーニャは飽きれた。
「うへへへ…私達は部屋に戻ってるから二人は食べてなぁー…マーガレットいくよぉー」
ロゼッタはフラフラしながら立ち上がりマーガレットの腕を自分の肩にかけて部屋へ戻っていった。
「…ミーナちゃん…」
「はい…」
「ああいう大人になりたくないね…」
「…はい」
サーニャとミーナは食事を進めるがテーブルの周りが酒くさく少しずつだが食欲がなくなる。
そして未成年のテーブルにウオッカのボトルがそのまま置いてあるとまわりの目が痛い。
「…ミーナちゃん…」
「はい…」
「どうする…?」
「…戻りますか…」
「そうだね…」
「小腹空いたら何か作りますんで…」
「うん…ありがとう…ミーナちゃん…ミーナちゃんがいてよかったよ…」
二人は少量取った食材だけ食べ部屋へ戻った。
「戻った…って酒くさっ!」
部屋の扉を開けると酒のにおいが部屋中に充満しておりサーニャは思わず声をあげた。
ソファの上にマーガレットが横たわり隣にロゼッタがハイボールを飲んでいた。
「はあぁー久しぶりにお酒飲むと美味しいなー。あっおかえりー」
「あぁ…おかえ…り…」
サーニャとミーナは二人の様子を見て呆然とした。
「おい…サーニャ…こいつおかしいんじゃ…うぷっ」
マーガレットは一言発しようと思ったが急に立ち上がりサーニャとミーナを払いのけトイレへと向かった。
トイレからはマーガレットの断末魔が聞こえサーニャはああ…なるほどと小声で言った。
「全く…ロゼッタ、どれだけマーガレットに…って寝てるし…」
ロゼッタは酔いが回り寝てしまいマーガレットは相変わらず断末魔が聞こえっぱなしだ。
「これじゃあ風呂入れないね…」
「そうですね…」
「なんかもう疲れたし風呂は明日の朝でいっか…」
「…そうですね…寝ますか…」
サーニャとミーナははぁ…とため息をつきながら寝室へ向かい寝る事にした。
次の日
サーニャは少し早めに目が覚めた。ミーナはまだ寝ている。だが隣の部屋からはうー…という呻き声が聞こえていた。大体予想ついたが念のため確認してみるとロゼッタがぐったりしていた。
「はあ…二人共、おはよう…」
「おはよう…サーニャ…うぅ…頭痛い…飲み過ぎたかな…」
「はぁ…まったく…」
二人は二日酔いの状態だった。マーガレットはテーブルに顔を突っ伏していた。
「くそがぁ…あぁ…んん…あっ…おはよう…」
マーガレットは少し寝ぼけているのか酔いが抜けきれていないのか途中よくわからない事を言いながら挨拶をした。
「ごめんね…私達こんな有様で…今日は魔導書探しやらないからミーナちゃんと街を散策してきな…」
「うん…わかった…でも二人共ベッドで寝なよ?」
「「わかった…」」
ロゼッタとマーガレットは同じタイミングで言った。
するとミーナが目を覚まし部屋から出てきた。目の前に広がる地獄絵図にミーナも少し驚いた。
「おはようございます…って大丈夫ですか…?」
ミーナの問いかけにロゼッタは横に首を振りマーガレットはテーブルに顔を突っ伏したまま腕でばつ印を作った後机にバターンと腕を下ろした。
「あぁ…なるほど…」
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