第15話 本屋と謎の少女

ロゼッタがパフェを食べ終えウェイトレスに会計を頼んだ。




「こちらになります。」




ロゼッタの頼んだパフェが一番高かった。マーガレットはうわっと思わず声を上げてしまう。だがロゼッタは何食わぬ顔で払い店を後にした。




「ロゼッタすげぇな…あんなの払えるほど金あんのかよ…ちょっと中身見せろよ」




マーガレットはロゼッタの小銭入れのペラペラさに違和感を感じ聞いてみた。




「いーよー、はい」




ロゼッタはマーガレットに小銭入れを渡した。サーニャも少し気になり一緒に見る事にした。


開けてみると中身は100ペルと1000ペル、10000ペルが一枚ずつしか入っていなかった。(ペルの単価は日本円と同じです。)




「あれ?たったこれだけ?じゃあ…さっき払ったのでほとんど使ったの?」




サーニャが不安げにロゼッタ聞いた。




「え?まじかよ…それやばくないか?」




マーガレットも不安になった。




「ん?大丈夫だよ。増えてくし」




ロゼッタは何食わぬ顔で言った。


サーニャとマーガレットはどういう事だろうと少し考えた。


そして同じタイミングでハッ!という顔になり同じ事を思った。




((まさか…魔法で増やしてるわけじゃないよね…?))




もちろんこの世界でも違法なのでまねしないように。




三人は本屋に入り辺りを見渡した。とてつもなく広い。そして無数にある大量の本。探すのに一週間はかかると思われるぐらい広い。ここにくればなんでも買えるのではないだろうか。三人は思わずわぁーと声を漏らした。




「よーし、とりあえず分かれて探そう!その方が効率いいと思うし。」




ロゼッタはそう言った。確かにそうだ。本屋は三階建だが一つの階の広さと本の量がとてつもない。




マーガレットに持ってた魔導書を見せ説明をしロゼッタは一階、マーガレットは二階、サーニャは三階を捜索する事にした。


サーニャは階段を登り三階へと着いた。目の前に広がる光景は天井までそびえ立ち隙間のない本棚。それが無数にある。




「はぁ…この中から探すのか…」




指輪で反応を調べようとしたがこの量だとあてにならない。しかも似たような絵柄のが多い。




「これ…違う……違う…」




ボソボソと小声で言いながら似たような絵柄のを手に取り違ったら戻すという繰り返し。精神的にも疲れが出始める。




「これ…違うか…あっあれって…」




違った本を戻すと分厚い本6冊先に魔導書を見つけた。


サーニャは魔導書かどうか確認しようと手に取ろうとすると隣から同じ本を取ろうとする手に当たった。




「あっ」




「あっ…」




サーニャはすぐに自分の手を避け相手を見た。自分より背が小さく子供だろうか。大きな魔法使いの帽子を被っていた。


サーニャはすぐにいいよと言った。




「え…?でも…お姉さんもこの本欲しかったんじゃないの…?」




少女はおどおどとした様子でサーニャに聞いてきた。大きな帽子のせいで表情はよく見えなかったが恥ずかしそうにしていた。




「おーい、サーニャ」




マーガレットのサーニャを呼ぶ声が聞こえると少女は驚いたのか隠れるように本棚の裏に行った。




「あっ…ちょっと!」




サーニャは少女を呼び止めようと本棚の裏を見たが誰もいなかった。




「あ…あれ?」




「おーここにもあったんだな…ってサーニャ?どうした?」




「いや…女の子がいたんだけど…」




「女の子?気のせいじゃないか?ほら、ロゼッタが下で待ってるから行くぞ」




サーニャはマーガレットの方を見ると魔導書を3冊持っていた。二階に2冊あったのだろう。




「うっ…うん…」




サーニャは少女の事が気になったがマーガレットについていき一階へと降りた。


全員集合し魔導書の冊数を数えた。


ロゼッタは一冊、マーガレットは二冊、サーニャは一冊。合計四冊手に入った。


ロゼッタが地図を開き確認すると魔導書の反応は無くなっていた。本屋にある魔導書全て集まった事になる。


カウンターに本を置き念の為に会計をお願いすると店員に断られてしまった。




「なんだこの本…うちの店にこんなの無かったぞ…お嬢さん達持っていきな、払わなくていいから」




そう言われロゼッタは魔導書を全てバックの中へしまった。店員は魔導書より本を入れてもかさばらないロゼッタのバックの仕組みが気になって仕方なさそうだった。


三人は本屋を後にすると夕日が見えた。宿を探す事にした。




「マーガレットーなんか良い宿ない?」




ロゼッタは少し疲れ気味に聞いた。無理もない。実際サーニャの回った三階よりも一階の方が広く本が多い。




「ん?この街だとあそこしかないだろ。インシュバートグランドホテル。」




マーガレットが指差した先にある大きな洋風の建物。インシュバートグランドホテル。街が経営してるホテルで街の四分の一がこのホテルがある。値段はリーズナブルなものもあれば高いのもある。これのせいでこの街の宿屋が少ないのも事実だ。




「へー…あのおっきい建物ってホテルだったんだ…」




ロゼッタはマーガレットの指差した建物を見て驚いた。初めて見た人からすれば宮殿かと思うレベルの大きさだ。


三人はホテルを目指し歩いた。敷地が広い事もあり五分程で着いた。

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