第12話 謎の石
マーガレットは裏の方へ行った。
「すまんなぁ…あんなやつで…」
大柄の男は申し訳なさそうに言った。
「いえ…慣れてますんで…隣にいる魔法使いも似たようなものなんで…」
サーニャはあきれた様子でロゼッタをチラ見した。
ロゼッタは頭に?を浮かばせなんの事?という表情をした。
「なんか言ったか親父?」
大柄の男の後ろに着替えを済ませたマーガレットがいた。
「おっ…お前早いな。それじゃ後は頼んだよ。」
「うっせ…ほら、二人共ついてこい。」
サーニャは大柄の男に一礼をし、ロゼッタはまたねーっと手を振った。
そして二人はマーガレットの後をついていった。
「マーガレットさん…聞きたい事あるんですけど…」
「あ?何?」
サーニャは気になったので聞いてみる事にした。
「この町の宿ってそんなにも酷いんですか?」
マーガレットはポケットからタバコを取り出し吸い始めた。
「宿?ああひでぇさ。値段の割にボロいし汚ねぇ、出される飯はゴミと同じさ。一番ひでぇところだと一泊15万払って飯抜き、そして雨降ったら雨漏りし放題だ。それで経営成り立ってるのが逆に尊敬するわ。」
サーニャとロゼッタは話を聞いてうわぁ…と思った。
たしかに町人が宿を勧めない理由がわかる。
「それで、今度はこっちが質問するけど。あんたら魔法使いなのか?」
「ううん。私だけが魔法使いでサーニャは見習いだよ〜」
ロゼッタは何故かドヤ顔しながら言った。
マーガレットは表情一つ変えずふーんと言った。
「お前、サーニャ…だっけか…」
「あっはい。」
マーガレットはサーニャに近づき肩をポンと叩くとタバコの煙をサーニャにかからないようにはぁーっと息を吐いた。
「お前…大変なんだな…色々と…」
マーガレットは苦笑いをしながら言った。
そして歩いて20分程経ちマーガレットが足を止めた。
「ここだ。」
小さな一軒家の前に着いた。
「ここだ、ちょっと待ってな…」
ガチャガチャ…とマーガレットは鍵を回すがドアが開かない。
マーガレットはあーくそ、またかよ…と言いながら鍵を回したりドアノブを回す。
サーニャは少し不安になった。
ドン…ドン…ガチャ…ギィィ…
「よし、開いた。入っていいぞ。ここドアだけ建てつけ悪いんだよ…」
「お邪魔しまーす…」
部屋はあまり広くはなく一人で住むには丁度いい広さた。
サーニャとロゼッタは家の中に入り、マーガレットはここにでも座っとけとソファをポンポンと叩いた。
「あー座り心地のいいソファー♪疲れたから寝るねー」
ロゼッタはソファに座ると一言そう言った後すぐ寝てしまった。
「あいつ…ほんと遠慮なくやるな…」
「はは…」
マーガレットは飽きれた様子で言った。サーニャも苦笑いするしかなかった。
マーガレットは机の近くにある椅子に座り吸っていたタバコを灰皿に捨てた。
「それで、あんたは魔法使いなの?」
「いえ、違いますけど…魔法使えないんで…」
「…ふーん」
………
数分無言が続いた。気まづい。サーニャは何か話題を振ろうとするがマーガレットと出会ってすぐだ。
部屋に掛けられてる時計の針がチクタクと響く。
「…なあ」
「…はっはいっ!」
サーニャは突然話しかけられ驚いた。
マーガレットはそれを見て落ち着け…と言った。
「あんたらに聞きたいけどなんでこの町の場所分かった?ここ霧すごいから分かりにくいし」
「えーと…話すと長くなるんですけど…」
サーニャはこの町に来る前の出来事を話した。
矢の事、箒が突然折れた事。
マーガレットはすっと立ち上がりサーニャの話を聞きながらコーヒーを淹れた。
淹れたコーヒーをサーニャに渡しマーガレットは元の場所に座って少し飲んだ後マグカップを机の上に置いた。
「そうか…色々あったんだな…いや、魔法使いって聞いてさあれと関係あるのかなって思ってさ」
「あれ?あれってなんですか?」
「これ」
マーガレットは謎の石を手に取りサーニャに渡した。
その石はその辺に落ちていそうな見た目だが異様に軽い。持っていないに等しいぐらいに軽い。
周りをぐるっと見てみると気にしながら見ないと分からないぐらい小さな割れ目がありそこから青い宝石らしきものが見える。
「思ったより軽くないか?それ」
「はい…渡された時あれ?って思いましたもん。しかも割れ目のこれ…」
「割れ目?」
マーガレットはサーニャに近づき石を見た。
「なんだこれ…サーニャ、なんか分かるか?」
「いえ…何も…」
「そっか…あいつが起きなきゃわからねぇか…」
マーガレットはロゼッタを見た。
「それよりもあいつ本当に遠慮がないんだな…自分家かのように寝てやがる…」
「はは…」
ロゼッタはよだれを垂らしながら幸せそうに寝ていた。
「…えへへ〜」
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