第8話 魔法のお勉強
ロゼッタとサーニャは箒で空を飛び家へ向かった。
「いやー楽しかったねー」
「うん」
ロゼッタはサーニャのネックレスを見る。
「これエリスから貰ったの?」
「うん」
サーニャは嬉しそうに頷く。
ロゼッタもそれを見て嬉しそうになる。
そんな事をしていると気付いたら家の前まで来ていた。
二人は家の前で箒から降り家の中へ入った。
「ロゼッタ、私に魔法教えて」
サーニャはそう一言いうとロゼッタは魔道書の位置がわかる古い地図を広げる。
少し考えた後古い地図を丸めた。
「魔道書の反応はないしいいよ。まずはこの羽を浮かせてみようか。」
ロゼッタは魔法で白い羽と杖を取り出しサーニャに渡す。
サーニャは渡された物を見て少し考えた。
「ロゼッタって杖使わないの?」
「うーん前までは使ってたけどいちいち出すのめんどくさいしね〜」
「へー」
サーニャは納得した。魔法に慣れているのなら杖をいちいち出すよりそのままやったほうが早いからだ。
「さーってと、まずは羽を机の上に置いて杖を羽の方に向けて〜」
「こっこう…?」
「そうそう、そして頭の中で浮かべと強く願うの。」
サーニャは頭の中で白い羽よ浮かべと願い集中する。
だが白い羽はピクリとも動かない。
「…あれ?」
サーニャは不思議そうな顔で羽を見る。
気を取り直して二回目をやってみる。反応は同じだ。
「まあ最初はそんなもんだよ。逆に一発で浮く方がおかしいしね。ちょっといい?」
ロゼッタはサーニャに抱きつくかのように寄り添う。
そして右手を杖を持つサーニャの手の上にそっと置いた。
「サーニャ、一回ゆっくり深呼吸して〜リラックス〜」
サーニャは言われた通りゆっくり深呼吸をする。
「そう、サーニャ力入り過ぎてるから肩の力を抜いてもう一回願うの。」
サーニャは杖を羽に向け頭の中で白い羽よ浮かべと願う。
最初みたいに力が入りそうになるとロゼッタは大丈夫と小声で言いサーニャを落ち着かせる。
数分願う。
すると白い羽はピクピクと動き始め少し浮き始める。だが反応はそれで終わりパサッと落ちピクともしなくなった。
「動いた…ねえ…ロゼッタ…」
サーニャはポカーンとした顔で羽を見た後ロゼッタを見る。ロゼッタはうんと頷く。
「やったー!」
ロゼッタは大喜び、サーニャに抱きつく。
「よくやったよサーニャ!」
「…ロゼッタは何もしてないんだよね…?」
サーニャは今起きた事が信じられずにいた。
「何もしてないよ?サーニャがやったんだよ!」
サーニャはその言葉を聞いて少しずつ笑みが溢れ始め目元がうるうるし始めた。
「やったー!」
サーニャは大声で叫んだ。
「と、まあとりあえず落ち着いてサーニャ。大体なんとなくわかった?」
「うーんわかったようなわかんないような…」
サーニャは羽を浮かせることは出来たが感覚が掴めずにいた。
「えっーとね、焦らないで気持ちを羽を浮かす事に集中するの。力を抜いてまたやってみな?」
「うん」
サーニャは杖を羽に向けロゼッタに言われた通り浮かべと願う。今回はロゼッタは少し離れた場所で見守る。
羽はさっきと同じ反応をしたが浮いてる時間が少し長かった。
「…なるほど…なんとなくわかった…」
「慣れてくるとこんなことも出来るよ。」
ロゼッタはサーニャに指を向けすいっと上にあげる。
するとサーニャは少しずつ浮き始めた。
そして指を下にすっと下げるとサーニャは落ち始め床に足をつく。
「人なども浮かせまーす!」
「おー…」
「コツを忘れないでやっていけばどんどん上手くなっていくからね〜忘れないようにね!」
ロゼッタはそう言いながら書斎へ向かい1冊の本を持ってきてサーニャに渡す。
「なにこれ…?」
「魔法のやり方が書いてある本。この本が一番わかりやすいからこの本見ながらやってみるといいよ。」
本をパラパラと開いてみると物の浮かせ方、水の出し方、光の出し方など段階ごとに分けられてありイラストも描いてありわかりやすい。
「この本を見ながらいろんな魔法を練習してみな?私は書斎でやることがあるから何かあったら呼んでね。」
ロゼッタはそう言い残すと書斎に入って扉を閉めた。
サーニャは言われた通りいろんな魔法をやってみた。物を浮かす魔法を復習し、気分が変わったら火を出す魔法、砂を出す魔法、光を出す魔法…
少しずつでまだ完全ではないが出来ていくのが楽しくて気づいたら夜中になっていた。
物を浮かす魔法は羽なら大丈夫というレベルになっていた。それ以外はまだ出来ない。
部屋の明かりは何もしていなくてもついたからロゼッタが最初の段階で魔法をかけていたのだろう。
「はー…疲れたー…」
サーニャが休憩がてら椅子に座ると腹が鳴った。夢中のあまり空腹なのも忘れていた。
「そういえばロゼッタ見てないな…夕飯にしようって思ったし呼ぼうかな」
サーニャは書斎の扉の前に立ちノックを二回した。
反応はない。
「ロゼッター?…入るよー?」
サーニャはそう言い扉をゆっくり開ける。
書斎に入ると薄暗く本棚には大量の本があり床にも収まりきらない本が山積みになっていた。この部屋に入るのは初めてで思ってたものと違っていた。
一か所だけ灯りがおり大きめの机と椅子があるのがわかる。そこで椅子に座り机に向かいながら本を読んでるロゼッタがいた。
サーニャは声をかけようとしたがいつもと様子が違った。ロゼッタは眼鏡をかけとても真剣な顔で本を見ている。話しかけれるような様子ではない。
だがサーニャはその姿に見覚えがあった。誰だかわからないが確かに覚えている。
サーニャの中にロゼッタに対する疑問が出来た。
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