第5話 探索開始
サーニャとロゼッタは近くの喫茶店で休憩する事にした。
ロゼッタに今日が結婚式なのはわかったが気をつける意味を教えてほしいと聞くと午前中に旅人から金銭を盗み、式が行われている午後は町人の大半が城の前に集まる。それを狙って盗みを働くものが多いとロゼッタは耳打ちで言う。
サリソウ町の剣の生産技術、品質はずば抜けており高値で売れるからだ。
結婚式という事もあり町には普段の倍以上は人がいる。魔道書を探すタイミングは午後しかないとロゼッタは言う。
「でも、バレたら…」
サーニャはそれが一番の不安だった。
「大丈夫!エリシアには許可取ってあるから!」
「でもエリシア以外の人にバレたら…」
「…まあそん時はどうにかするよ!」
ますます不安が増した。
そんな事を話していると数分で結婚式の始まる時間に近づいていた。
サーニャとロゼッタは店を出た。
町人は続々と城の方に向かっており二人もその流れにのり途中の路地に入り人集りから離れる。
「はい、サーニャにも一応渡しとくね」
「何これ指輪…?」
「うん魔道書が近くにあると反応する指輪なんだ。でも一定の距離じゃないと反応しないからね〜」
「ふーん」
「じゃあ行こうか!」
二人は古い地図を見つつ指輪の反応を確かめながら魔道書を探した。
もちろんすぐ見つかるわけない。
地図を頼りに歩いて行くと人が増えてきた。
悪い予感がすぐ思いつく。
するとロゼッタは急に立ち止まり地図を見た。
サーニャはロゼッタにぶつかる。
「…あーまじか…」
サーニャはロゼッタに地図を見せてもらうとサーニャの悪い予感が的中してしまった。
円は城の周りを囲っていて指輪の反応も城の方に微かにした。
魔道書を取るには城の中に入らなければならない事がわかった。
二人の間には諦めモードがたっていた。エリシアが近くにいる事に気付くまでは。
「エリシア〜助けて〜…」
「おっおい!?どうした!?」
半泣き気味なロゼッタでは話を聞く事は出来ないと判断したエリシアはサーニャに事情を聞いた。
「あぁ…なるほど…それは難しいな…協力出来ない…」
エリシアは諦めろと言っているかのように言った。サーニャは仕方ないと思った。
だがロゼッタはそうはいかない。
「いや〜!絶対いやだー!」
エリシアとサーニャはロゼッタの態度にドン引きした。
ロゼッタは子供のように地面に寝そべりじたばたした。
「ごめんな、こんなやつで…」
「大丈夫です…最初からなんとなくわかってました…」
二人は小声で言った。
結婚式の会場から離れた路地だったのが救いだ。
大人が子供みたいにじたばたしているのを見られたら恥ずかしくてたまらない。
「ううぅ…エリシアの小さい頃のあの話をするぞ…」
「…っばかお前!」
ロゼッタが半泣きでボソッと言うとエリシアは慌てた。
「うぅ言っちゃうもーん…」
「…っああ!分かったよ!通すよ!そのかわりその後はどうなっても知らないからな!」
エリシアは顔を真っ赤にして言った。
「わーい!ありがとう!エリシア!」
さっきまでの行動が嘘のようにロゼッタはいつも通りの様子に戻った。
サーニャはうわぁ…という顔でロゼッタを見る。
エリシアは二人を比較的警備の手薄な所へ案内し窓から城の中へ入れエリシアは急いで持ち場に戻った。
「よしここからは手分けして探すかな」
二人は広い城を手分けして探すことにした。
サーニャはあまりにも広い城の中で道に迷ってしまう。
「どうしよう…反応も弱くなってきてるし…とりあえず反応のする方に戻ってみようっと…」
指輪の反応を頼りに長く広い廊下を歩いてみる。部屋もたくさんあり探すのに苦労するほどだ。
「あなた、誰ですの?」
後ろから声が聞こえた。後ろを振り返ると誰が見ても姫だと分かる格好をした人がいる。
サーニャはまずい…叫ばれて警備を呼ばれたら終わりだ…逃げなきゃ…と思ったが体が言うことを聞いてくれない。
逃げるのは絶望的だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます