91Days

えー、アマゾンプライムでサイコパス見た後におすすめされた作品でした。

うん、自動昨日のおすすめで。


まずあらかじめ言っておくと、この作品好みがはっきり分かれます。

好きな人は「大好き!」とガッツポーズ決めながら、煙草スパー酒ウマーとなる事でしょう。

嫌いな人は唾を吐き捨てるでしょう。

そんな作品です。


ちなみに私は好物なんだけど、一味余計だったかなという感じの感想。

あれです。

唐揚げにレモンかけたような……は少し違うかな。

唐揚げレモン好きなんで。

酢豚パインですかね、作品的にも。


と、少し話がそれましたが……材料に関していえばこれ以上ない大好物という感じです。

舞台は1900年代初頭のアメリカ。

禁酒法の時代、マフィアに家族を奪われた少年が青年となり復讐に走るという物語。

もうね、禁酒法とマフィアというだけでご飯三杯行けます。


この辺りで有名なのは血のバレンタインのアルカポネでしょうか。

彼は密造酒で莫大な利益を上げて、チンピラから一躍マフィアのドンにまで上り詰めた人物ですから。


この作品でも密造酒は重要なキーワードになっていますが……実は現代のアメリカでも密造酒って結構出回っているんですよね。

YouTubeのドキュメンタリーで取り上げられているので興味がある方は一度見てみるのもいいかもしれません。


さて、要約本題ですが本作。

復讐劇という事でネタバレは皆無で行きたいと思います。


主人公のアヴィリオという青年(本名アンジェロ)は家族を失い、生きる希望を失っていました。

ある日届いた一通の手紙を見るまで。

そこには家族を奪った相手の名前が書かれており、この手紙をもとに復讐のためマフィアの一員となります。

そのマフィアに乗り込むために、旧友であり家族を失った後に「今日からは俺が兄弟だ」と言ってくれた青年の作る密造酒を利用するのですが、この密造酒こそが本作のキーワードであり醍醐味。


先程書いた通り密造酒にも種類、レシピがあり美味い物は高値で取引されます。

当時のアメリカは禁酒法、酒の売買を禁止していたので国内では高純度高品質で味のいい酒なんてものは手に入りませんでした。

アルカポネはこの辺り、海外から輸入していたとかなんとかで凍った湖の上を通って密輸していたとか。

下戸な私はお酒がなくても全然平気なのですが、好きな人にはとんでもない法律だったでしょう。


実質、禁酒法成立後はあちらこちらで違法酒場が出来上がり、有力者だろうが政治家だろうが、警察官までもが違法酒場に出入りしていたという話です。

おまけに禁酒法によって酒が違法になったため、マフィアの資金源としても有力だったそうです。

今でいう麻薬などと同じですね。

違法な物ほど儲かる、とか言ったら問題になりそうですが現実がそうなので仕方ないという事で一つ。


ともあれこの密造酒を使いマフィアの懐にもぐりこんだアヴィリオは復讐を始めます。


というのが最序盤。

目算3話までが怒涛の展開でとても楽しく、ついでに目が離せない展開でした。

なぜ3話までと強調したかというと、このあと少し中だるみするんです。

復讐の相手が誰であるかなどは早々に明かされますが、そこから色々派生したり、いろいろな人物の思惑が交錯したり、いかれた兄ちゃんの暴走が止まらなかったりとそれはもう脳みそが追い付かないほどに。

こう書くと中だるみというのは少し表現が違ってくるかもしれませんが、ともあれ中盤はだいぶ忙しい展開で視聴者を振り落としかねない勢いです。

正直、寝起きで見ていた私は「待て待て……」と何度かリピートしました。


しかしながらこの作品、イタリアンマフィアやらなんやらの映画のオマージュが含まれており台詞回しが洗練されています。

名言が次々と飛び出すので、見ていてほぅと感心することもしばしば。

アクションは少なめですが、やるときはやるという動きをしていました。

作画は遠くからの撮影による表情などは多少崩れているように見えましたが、バストアップなどの映像は綺麗な物でしたので作画が原因で話が頭に入らないという事はありません。


細かい時代背景なんかも綺麗に纏められて、なおかつそれがしっかり描かれていたのもいい点です。


雰囲気はかなり暗い感じですね。

マフィア作品と言えば皆さんは何を想像するでしょうか。

アニメをよく見る、ラノベ大好きという人はバッカーノ!でしょうか。

バカ騒ぎを意味するバッカーノ!とは違い始終落ち着いた雰囲気で淡々としている節もありました。

とにかく大人しい、しかし粛々としたマフィアという様子。


では文豪ストレイドッグス2期の黒の時代なんかはどうでしょう。

来れもまた違います。

強いていうならば復讐を決意した瞬間の織田作之助のシーンが続くようなイメージをしていただければと思います。

バトルなどはほぼないので、アクションという意味でも別ですし特殊能力持ちなんかもいません。


時代背景に合わせてクトゥルフ神話やラブクラフトを想像した人は仲間です。

が、一切出てきません。

だってマフィア関係ないし……。


てなわけで本作は陰鬱とした、マフィアを中心とする復讐劇ととらえていただければと思います。

大人向けアニメですね。


さてさて、そんなこんなでそろそろ総評に移りたいと思います。

先述の通り、少し余計なスパイスを加えてしまったというのは最終回の事です。

終わり良ければ総て良しといいますが、この終わり方が賛否を分けるところに至ったわけです。

ちなみに私は否です。

理由は書きませんが、これはこれでありと思う自分と、そこはもっとこうしてくれよという自分がせめぎ合っています。

ただ通して見ると長編映画を一本見たような充実感があるのも確か。

よって4点です。


とてもおいしくいただきました……。


総評:☆☆☆☆


余談ですが、この作品のキャラたちは本当にうまそうに煙草を吸うのでつられて吸いたくなります。

おかげでのどが痛い……。

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