賢者の孫

春アニメの問題作の一つ、賢者の孫最終回がニコニコで放送されたので感想をば……。

私これでも原作はそれなりに好きです。

ストレスフリーで読めるというのはいいなぁというのが原作に対する感想。


その上で他作品も交えて個人的な考察を加えて、諸々まとめていきたいと思います。


まずアニメとしての出来上がりはどうなのかと言われると、ここ数年の中ではしっかりと作られていたのではないでしょうか。

普段総評で使っている5点評価を用いるならば。

作画:☆☆☆☆☆

声優:☆☆☆

原作再現:☆☆☆☆

アニオリ:☆☆☆☆☆

こんな感じの分布。


ただし、あくまでも映像作品としての評価であって作品そのものの評価ではないことをご留意ください。


まず上記で点数のいい作画ですが、これは始終安定して崩れる事がなかったという事。

動きや迫力を持たせるために、NARUTOみたいに首が変な方向向いている!とかそういうのは一切見受けられなかったのも良し。

アニオリに関しても作品の世界観を壊さず、かといって無意味な尺稼ぎというわけでもない。

しっかりとしたシーンとして作品に溶け込んでいました。


逆にアニオリを入れたからこそ原作再現の点数を少し下げていますが、まぁこの辺りは「アニオリがあろうと原作再現は満点だろ」というご意見も理解しています。

その上で、キャラクターの心境が原作と比べて少し変化しているという点から減点しました。

声優に関しては若干一名を除いて満点です。

誰とは明言しませんが、何名かの視聴済みの方はこのキャラかな?くらいはあるかもしれません。

それほどに違和感がある、そして耳に悪い演技だったとだけ……。

これは特定個人を誹謗中傷するものではなく、私には合わなかったという意味で受け取ってください。

だから誰?と思う方も当然いらっしゃるかもしれません。


さてさて、それでようやく本編に関する感想なのですが……。

ストレスフリー系はアニメには合わない、と言うのが答えです。

わかりやすく言うならば「スマホ太郎」なる蔑称をもつ「異世界はスマートフォンとともに」の系列として数えられる本作賢者の孫。

主人公が転生、あるいは転移してチート無双してモテモテだぜという系のアニメですね。


この手の作品は始終主人公の成長が「見えにくい」という特徴があります。

どんな作品、どんなキャラであれ話が進むにつれて心境の変化や新たな力を手に入れて成長するのはあります。

しかし周りがレベル10代で強弱を競っている所に、いきなりレベル1000の主人公が現れて、その主人公のレベルが10上がったところで誤差です。

だから成長を見ていて掴むことができない。

故に、惰性的に見る事になってしまう。

かといって日常アニメのようにそこに何かしらのメッセージがあるわけでもなく、主人公が強くて凄くて頼りがいがあるという側面をただひたすらに見せられることになる。

というのが現実。


これが小説であればするりと飲み込める、気が付けば読み終わっている、手慰みや暇つぶしには持ってこいの作品です。

が、アニメと言うのは20分ほど「拘束」されるためこの時間が楽しいかと言われれば答えはNOでしょう。

強い主人公を持ち上げる周囲の人間、それを毎回見せられるというのは……まぁ退屈です。

ついでに主人公が出てくれば大体のトラブルは解決してしまうので、先も読みやすい。

結果的に面白いアニメではない、と評価せざるを得ません。


つまり原作のコンセプトであるストレスフリーが、アニメには向いていない。

先に挙げた日常系と並べると土俵が違うためなんとも言い難い所。

例えば「らき☆すた」は話の展開はなく、オタクJKとその周りの日常を描くだけの作品です。

しかしそこにはギャグや、オマージュが盛り込まれているため見ていて飽きない。

けれど、このまとめ方は個人的に嫌いですがあえて使います。

なろう系と呼ばれる、ストレスフリー作品は盛り上がりどころは「どうせ主人公が勝つ」と分かっているため潰れてしまい、逆に凹むようなシーンがあればそれは既にストレスフリーではなくなっているためあらかじめ排除されてしまっていることが多い。

結果起伏のない平坦な話になってしまいがちなのだと思います。


これらの考察を踏まえたうえで、アニオリが用いられた最終回の緊張感は素晴らしい出来栄えでした。

キャラクターの表情や、感情がありありと伝わってくるようで思わず見入ってしまう程に。

逆に言うと、そこ以外は原作通りだったので「まぁこんなもんだよね」という冷たい感想しか出てこなかったわけです。


さて、真面目に考察加えてあらかたの批評を終えたところで……。

アリス可愛い……!

ロリっ子いいですよねぇ……。

最終回では4分30秒辺りでいい表情を見せてくれました(ニコニコでその場面で固定しながら執筆中)。

まさに金かわ!

金髪の子可愛いと金髪の子可哀そうの合わせ技とはこれまた卑怯な……。


と、性癖を暴露した所で真面目に総評に移ります。

映像作品としては決して悪い出来ではなかった。

むしろ近年まれにみる安定感だった。

ただし安定しすぎてストーリーの起伏まで失われているので、雑味が欲しくなる。

そんなアニメです。


先に述べた事を繰り返して、改めてはっきり言うと原作とアニメとの相性が悪くて退屈な物に見えてしまった。

如何に作画が良くて、声優さんの演技が良くて、原作の再現率も高く、アニオリに至っては満点をと言いたい作品でも盛り上がりがないからなぁ……と言う事で2点。


本当は3点付けたいんですが、とあるキャラの演技が本当にきつかったなぁと、あと声優さんの演技が良くてと言いましたがたまに棒読み入っていたのが気になったりとかも有ったので減点しました。

それとやっぱりストーリーの起伏。


むしろ加点方式では演出や作画、アニオリ回のみの評価となってしまうのでアニメの総評にはできないという事での減点方式でした。


総評:☆☆


やっぱりアニメでも評価を得ようとするならば原作の段階からそれを見越して、というバクマンは正しかった……。

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