けものフレンズ2

感想

えー……非常に申し訳ない話ですが、今回だけは多分にネタバレ含ませていただきます。

同時にちぐはぐな解釈を含んでいる可能性が多分にあります。

というのも私けものフレンズ1期を触り程度しか見ていないのです。

具体的には1話と11話、12話。


なんかはじまったなー、絵が合わないなー。

と言うのが1期1話の感想。

11話でたつきショックなんて言われていたのでほーん、と思いながら見てみたらあれ面白い……。

12話でなんで見ていなかったんだちくしょう!となり12.1話でほのぼのした。

と言うのが流れでした。


言うなればにわかファン。

その後たつき監督降板からごたごたしていた騒動も一通り知っております。

が、それはアニメの感想には不要なので割愛。


えー、結果としてはどうしても1期との比較をせざるを得ないのですが先に言うと評価1点です。


順繰り説明します。

1話、これが新しいけものフレンズかとワクワクしていました。

多少の違和感はありましたが、にわかのフレンズだった私は気のせいかなと言う事にしておきました。


続けて2話3話と話が進んでいくうちにある思いが芽生えました。

『……これ、話進んでなくね? 』

その思いは徐々に強くなっていくものの1期も似たり寄ったりだったのかなぁと思いながら、5話でかばんさんが登場したことで「おっ」と思いました。

直後にボスの扱いやら、バス型セルリアンの上に載っておきながらの「近づけない」発言には首をひねったもののまぁいいかなと放置。

サーバルとの関係性も気になるところ!


と意気込んでいたらフェードアウトしてなんやかんや進んでいき9話のイエイヌちゃんの話です。

愛犬家の私はショックを受けました。


この話は方々で酷評されていますが、一部の視聴者からはそんなに悪くないという声も聞こえてくるのです。

これを分析した人がいまして、曰く9話だけを見た場合健気なイエイヌの話という結末に至るわけです。

ですが通しで見ると主人公のキュルルという視点が定着しているため、健気なイエイヌの気持ちを察することなく、どころか手当てをすることもお礼を言う事もせず一人イエイヌを帰したという後味の悪さだけが残る結末となったのでした。


そして10、11と来てフレンズ型セルリアンという心躍る強敵の予感が!

しませんでした、出てきたはいいけど戦闘シーンもなく倒されてました。

かばんさんがうっかりさんになってました。


そしてニコニコ生放送で良かった2.6%と過去アニメ放送ワースト記録を出した12話。


ビーストであるアムールトラさんをフレンズ型セルリアンとフレンズたちの戦場になっているホテルへと連れて行きます。

その力はすさまじく……いや、すさまじいんですけど見境ないんです。

ゲームですがスーパーロボット大戦でいうイエローユニット。

敵であるレッドユニット(この場合セルリアン)にも攻撃を仕掛けるけどブルーユニット(フレンズ)も攻撃してくるという暴れん坊。


それに関しては過去の話、9話などでも散々描かれていたのですが問題はその後です。

キュルルの思い入れが最も強いサーバルとカラカルの姿をしたセルリアン。

思いの強さが戦闘力に比例する二体を倒して、崩れかけているホテルから脱出だ!という段階でアムールトラさんは佇んでいます。

それを気に留めるサーバル。

しかしカラカルの急いでという言葉に逃げるサーバル。


そして屋上なのになぜか降ってくるガラス片を輝かせながら空を仰いでいたアムールトラビーストさんは、これまたなぜか空から降ってくるがれきに押しつぶされてしまいました。

生死は不明ですが、使い捨てにしたと言われても致し方ないでしょう。


その後PPPという作中のアイドルユニット、動物園ではグレープ君というペンギンがこのPPPの看板が大好きだった事で一部界隈では有名になりましたね。

このユニットが崩れたホテルのヘリポートでライブをするという話になります。


ニコニコで視聴していた大半の人は同じことを思ったようです。

「え?アムールトラさんの遺体があるかもしれない場所の真上でライブすんの?」


その後かばんさんとサーバルの会話も経て、満を持して1期OPようこそジャパリパークが流れ始めます。


けものはいても、のけものはいない。


アムールトラさん、使い捨てされた彼女はのけものですよね。

全員集合してフレンズ型セルリアンと戦っていた中で一人おうちにいたイエイヌちゃんものけものですよね。

プロンズホーンとチーターのかけっこの時に絵に描かれなかったG・ロードランナーってフレンズがいませんでした?


そして12話終了後に公式が出したイラストではかばんさんとラッキービーストだけがポツンと真ん中にたたずんで、他の皆は前の方に書かれている。

かばんさんまでのけものにしましたね?


と、酷評になってしまっていますがやはり私はにわかのフレンズ。

1期のたつき監督が手腕を振るったけものフレンズをほとんど知らないため、その頃からのファン程のダメージは受けませんでした。

あくまでも、深刻なダメージを受けなかったというだけでショックは受けました。


では少し私の考察を入れさせていただきます。

この作品はいくつかのミスがあったのだと思います。

まず一つ目のミスは尺の配分。

あくまでも「けものフレンズ1期」と時系列が繋がっている作品として描かれているのでかばんさんとサーバルの、俗称サバンナコンビについてもっと掘り下げるべきだったと思います。

そのためには3話ほどの話数が必要ではなかったかと思うので、かばんさんと出会う5話、かばんさんの掘り下げに1話、サーバルの記憶のかけらに触れる事でさらに1話尺を用いる事ができれば一味変わったでしょう。


あるいはそもそもかばんさんを出すべきではなかった。

時系列は地続きでも構いませんが、サーバルの記憶は消えていても残っていても構わないというのが実情。

これはかばんさんの有無にかかわらず共通です。

それを掘り下げるのであれば、と言う話ですが少なくともカバンさんをださなければ1話分の尺が取れてそこで掘り下げる事もできたでしょう。


続けて二つ目のミスは細かい配慮を欠いてしまったこと。

G・ロードランナーが書かれていない絵を渡すシーンや、イエイヌちゃんに対するお礼などのわずかな失礼が重なり主人公の評価がどんどん落ちていきましたのでその点で気を使えていればと言うのが思う所です。

アムールトラさんのビーストに関してもサーバルが声をかけたり腕を引いたりと言った描写があればまた別物になっていたでしょう。


三つ目、主人公キュルルのおうち探しというコンセプト。

はっきり言ってしまうとこのコンセプトは難しいと思いました。

荒廃したパークを見て、これ回収できるのか? と思った次第。

ただ、このコンセプトは最終回で無理に回収する必要のない物でした。

最終回では「ここが、みんながいる場所が僕のおうちなんだ」というエンディングにするよりも「おうち探しはまだ途中だけど、2人ともてつだってくれるかな」と言ったような俺達の戦いはまだまだ続く形式、いわゆる俺たたENDで十分だあったと思います。


四つ目、キャラの言動。

炎上騒動の理由の一つにフレンズ同士のギスギスとした関係が挙げられます。

一番やらかしてしまったのは最終回で「ヒトの手下」というセリフが飛び出してしまったこと。

動物ファーストを唄うにはあまりにもなセリフです。

加えてPPPに対する暴力まがいの行為だったりとこちらも主人公の言動同様積み重ねによって不満が爆発してしまった形でした。

やはりこれも細かい配慮をしていればと言う点ですね。


五つ目に、キャラクターの扱い。

リョコウバトさんに絵を渡すシーンがありますが、その中にはアムールトラさんが描かれています。

しかしそのアムールトラさんの扱いは前述の通り散々な物。

そしてやはり皆さん同じことを思うかもしれませんが、イエイヌちゃんの扱いですね。

最終決戦の時にもイエイヌちゃんは出てくることなく、9話でボコボコにされてその後一人おうちで寂しくしているシーンが描かれ、最終回では現役だったパークに

訪れた人たちのお礼の手紙を見るシーンがありましたが、そんなのはどうでもいいから最終決戦に参加させてくれと。

犬はご存知の通り水を怖がる個体もいれば平然と泳ぐ個体もいます。

ホテルまでの距離はそれなりにありましたが、かばんさん一行とは別に一人でキュルルを助けに海を泳いで助けに来たという描写があればのけもの扱いはされなかったでしょう。

個人的にはアムールトラさんとイエイヌちゃんが背中合わせでセルリアンと戦うシーンとか見たかった……。


六つ目、キュルルの発見。

なんぞや? と思う人もいるかもしれませんが話が進まないと感じた原因です。

基本的にアニメは12~13話で1クールと言うくくりですが、これを4分割すると起承転結に別ける事が出来ます。

そして分けると3話ごとにわかれ、この3話はさらに序破急に別ける事が出来ます。

いわゆる3話切りや、3話ショックという出来事が発生するのはこれが一因です。

3話と言うのは一つの区切りになるので、キュルルは3話ごとくらいのペースで何かを思い出す素振りなどを見せればよかったのではないでしょうか。

「ここ、見覚えがある……」みたいなことを言わせてちかちかと何かがフラッシュバックする描写があれば話が進んでいると思わせることができたでしょう。


七つ目、前作の読みこみの甘さ。

お前が言うなと言われるかもしれませんが、かばんさんのフレンズ呼び捨てやボスの扱いからまるで別人になってしまっていましたね。

それ自体は時間の流れと言う事で構わないのですが、だとすれば先に触れたようにやはり掘り下げをするべきでした。

それをしない、なのにキャラの内面が変化してしまっている。

サーバルのキャラももっとこう……うまく言えませんが生き生きとした感じだったのではないかと思います。

そういった細かい点をなあなあで済ませてしまった結果、これじゃないと思わされたのでしょう。


八つ目、セルリアン

例えばフレンズ型セルリアン。

これはとてもいい設定だと思います。

思い入れの強さがそのまま戦闘力になるというのは実に素晴らしい。

けど、流石に弱すぎませんか……?

いや、それまでのセルリアンもワンパンで倒せるほど弱い物でしたがフェネックのチョップで爆散する程度の思い入れって何でしょうか。

かばんさんの思い入れの強いバスの形をとったセルリアンは強敵のように描かれていましたが、これは後程言及する問題点九で詳しく。

とにかくセルリアンが一撃で倒されるため緊張感が全くなかったという点は大問題だと思います。


九つめ、とにかく雑。

もはやただの悪口じゃねえかと思われるかもしれませんが、説明させてください。

先述のバス型セルリアン、その上に載っておきながら「近寄れない」という発言。

明らかにおかしいですよね。

そこは「隙が無い」とかにしておけばよかったのではないでしょうか。

合わせてフレンズの戦い方。

主にサーバルとカラカルが戦う事が多いですが、なんでパンチなんでしょう。

カラカルのキックはまぁ良いとしてもなんでサーバルは猫パンチで戦ってひっかくことはほとんどないのでしょうか。

動物を描くならば拳よりも爪の方が説得力があると思います。

そして最終回、描かれていないフレンズ型のセルリアンまで出てくる始末。

チェックはしていたのでしょうか。

過去ガンダムの戦争シーンでボルテスVがちらりと移っているとかそういう制作陣のいたずらや、グリッドマンでアニメなのに飛行機を吊るしている糸が描かれているなどのサービスはありました。

しかし倒すべき敵として出てきたセルリアンに描かれていないフレンズを出す意図が見えませんでした。


以上九つが私がこの作品を通して考えた修正点でした。

私はアニメ制作に関してはど素人ですから「それは違うよ! 」と言う事もあるかもしれませんがご容赦ください。


さてこれ以上は個人的な、とはいえただの批判になってしまうのでまとめさせていただきます。

けものフレンズ1期を愛していたら致命傷を負いかねないダメージを受ける作品。

にわか程度でも知っているとショックを受ける作品。

予備知識なしでも雑な作品。

先程書いた通り評価1としてこの感想をしめさせていただきます。


評価:☆

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