ブギーポップは笑わない

感想


原作は電撃文庫

著作 上遠野浩平

初版は1998年2月25日

有名な話ですがFateや月姫、空の境界で有名な那須きのこ先生や、物語シリーズや戯言シリーズで有名な西尾維新先生が影響を受けた作品として名前を挙げていますね。


放映前、実は私はこの作品に触れた事がありませんでした。

そこで急遽、放送開始直前に本屋さんで購入してきて読んでみました。

ところが、一度目読んでもさっぱりわからない。


アニメについての情報を集めるとキャラクターデザインが変更したという事で一部では荒れそうな雰囲気が漂っていました。

大丈夫なのかな……という不安が襲い掛かってきたのですが、その不安は放送開始後も抱えたままでした。


1話は竹田という青年がブギーポップという不思議な存在に出会い、そして分かれる話です。

この竹田青年はストーリーには大きく関わってこないため、彼とブギーポップの対談は実に短い間の出来事でした。

主人公と、本編に関わらないキャラクターですからね。

1話に収まる程度の会話しかないというのも致し方ない話ですが、この1話は伏線や謎を散りばめるための物だと、初見の私は気付くことができなかったのです。


急にいなくなった友人女子生徒、家出少女が連続している、嫌に厳しい学校、そして竹田青年の恋人である宮下藤花そっくりのブギーポップと多重人格という証言。


これらすべてが回収されるのは次の話から。

詳しくは割愛しますが、ブギーポップと言うキャラクターは死神として少女の間でだけで語られる都市伝説です。

何処で歪められたのか、女が一番美しい時にこれ以上醜くならないように殺す存在として語り継がれていますが

実際は「世界の敵」を殺す死神です。


そんな自動的な死神がわずかな間、武田青年と語り合う事で友情を芽生えさせ

霧間凪という女性と共闘し

人々の知らないところで世界の危機を退けていく。


こうして感想を書くだけでもかなり難解な内容ですが、それをアニメ映像としてしっかり描写してくれた作品でした。


個人的に好きなシーンは1話のラストで学校の屋上で竹田青年を待っていたブギーポップ、敵は倒したから消えるよというブギーポップに対してまだ危機は去っていないんだと自身の不安や心残りを吐露した竹田青年に言い放つ一言。


「竹田君。

 夢が見られない、未来を思えない、そんな世界は間違っている。

 でもそれと戦うのは、残念ながら僕ではない。

 君たち自身なんだよ。

 世界は誤りで満ちているんだ、竹田君」


この言葉はブギーポップの声を当てている悠木碧さんの演技力も相まってずしんと響くような気がしました。

直後、ブギーポップは屋上から消えて竹田青年も屋上を後にするとそこには恋人の宮下藤花が。


ここでも悠木碧さんの演技力による演じ分けを見事に見せつけられました。


基本的にブギーポップは出てきたら事件は解決して物語は終息へ向かう、まさしく死神にふさわしいキャラなのですがその本領が発揮されるのはアニメにはならなかったパンドラでした。

vsイマジネーターではその圧倒的な戦闘力をありありと見せつけ

夜明けのブギーポップではその誕生秘話から初仕事までが描かれ

オーバードライブ歪曲王ではあらゆる危機に対応できるという姿を見せてくれました。

16話で助けた子供の寝言で「すげぇやブギーポップ……」という言葉に「そりゃどうも」と朗らかに返すというワンシーンも見逃せません。


以上脳みそが焼け付くような感覚を訴えるなか頑張って書きだしたブギーポップの感想でした。

わかりにくかったら申し訳ない次第……。

というわけで評価は5点!

満点ですね。


キャラデザの変更やら難解な話が多いけど大丈夫だろうかなどと言う不安を全て、まさにブギーポップが世界の敵にそうするようにばっさり切り捨ててくれました。


評価:☆☆☆☆☆


西尾維新先生や那須きのこ先生が好きと言う方におすすめです。

直死の魔眼や羽川翼の原点がここに詰まっています。

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