第1章第9話「少女の記憶」
依頼が終わった夜
彼女は考えていた
人間と同じように作られたこの肉体も所詮は物であることを
知識的な成長があったとしても決して老いることはないこの肉体が
これから数十年先に起きる未来さえも予知している
そして、彼女は思い出していた
とある大賢者との記憶だ
―――――――――――――――――
彼女が作られたのは数百年前
彼がヒューゲル=エイジスと呼ばれる様になってからだった
ヒューゲルはイングラシア王国に雇われ、研究に没頭してた
そう、後の彼女である
通称【
「ついに、試作機が完成したぞ、、、、、」
「名前はどうしようかな」
「とりあえず
「お前の名前は―――」
【Eizi’s Series Type 00】
「略してEST00だ!」
「相変わらず酷いネーミングセンスだな俺、、、」
「だが!!!」
「ふふ、、、」
「ふふふ、、ふはははは!!」
彼は怪しげに笑う
「ついに、、ついにこの段階まできた、、」
この頃のボディにはまだ生身ではなく、骨格フレームの機械の体が採用されていた
「
コン コン
「ヒューゲル様、国王陛下がお呼びです」
「至急謁見の間までお越しくださいませ」
1人の兵士が訪れ要件を言う
「【
もう少し余韻に浸りたかったが
「まぁ、いいか。わかったすぐに行く」
「はっ!」
兵士は敬礼をするとその場を立ち去った
謁見の間にて、王は顔をしかめながら彼に問う
「して、ヒューゲルよ」
「あの計画はどこまで進んだのだ?」
「はっ、試作品の完成に至りました」
王は睨みつけながら続けた
「余が問おておるのは、どこまでの性能が見込めるというものである」
「現段階ですと、、魔法の行使と兵士程度の力でしょうか」
「進行が遅いではないか!!!ヒューゲルよ!何のために余は貴様に【ヒューゲル】の名と研究室を与えたと思っているのか!!!」
王宮魔法師になると国王から貴族の名前を貰え、彼は【ヒューゲル】の地位と計画進行の為に必要な研究室を与えられていた
「余が求めているのは不屈の戦士、量産出来る戦士だ」
「御言葉ですが陛下、下準備をせず計画を進行してしまいますと何らかの形で問題が発生してしまう可能性があります。」
「ですので―――」
「黙るが良い、ヒューゲルよ」
「我が国には時間がないのだ」
この時、イングラシア王国は隣国である、アドミニア帝国と戦争状態であった
「この言葉の意味がお主には理解ができるであろう?ヒューゲルよ」
それは計画の工程をスキップして完成品を作り上げろということであった
「かしこまりました、、、」
「それで良い、もう下がって良いぞ」
「はっ!」
この時、もう少し反論をし計画の進行を遅らせてばよかったと彼は後悔する
数ヶ月後
【それ】は完成した
【
運用可能となった初号機だ
そして、王の監視下で起動実験が行われ、王国に最強の兵器が誕生する
筈だった、、、
「な、なんだこれは、、、!!」
1人の魔法研究員が叫んだ
「コ、、コ、、、ココ、、ロ、、ス」
「コロス、コ、ロス」
そのユニットの顔が笑った気がした
【自我の芽生えと暴走】である
その時には既に手遅れだったのだ
「う、うぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
「くるな、、来るなぁあ、、!」
王を含めその場にいた人々は
「な、なんて事だ、、、だから問題がおきると、、、!」
彼は悔しかった
そして、何より自分の子供であるこの哀れにも暴走してしまっている子を自分の手で破壊しなければならない事を悲しく思った
ヒューゲルは防御に徹していたが、ここで攻撃に切り替えた
「すまない、、、我が子よ、、!」
その瞬間EST-01は消滅した
「もう、ここはダメだ、、」
国王が居なくなった今、この国はアドミニア帝国に滅ぼされるだろう
研究室に戻り逃げる準備をした
その時、彼の目の端に一体の【物】が見えた
【自律型戦闘人形 試作機 EST-00】であった
「こいつを作った時には、、喜んでたっけな、、、」
!!!!
「そうだ、、、まだ遅くない、、!」
――――――――――――――――――――――
数日後
国王が死んだ事はすぐに広まり大混乱が起きた
今は戦時中、他の街に移動すること自体にも危険が伴う
国民は死を待つばかりだった
その時だ
「聞くんだ!!!皆の者!!!」
1人の男が立ち上がった
そう、他でもないヒューゲル=エイジスだ
彼の横には白い髪の小さな少女がたっていた
「この国はまだ終わりではない!」
「な、何を言ってるんだ!この国はもうおわりだよ!」
「そうだ!アドミニア帝国に滅されるんだ!」
「そうやって、何もせずに死んでいくのか?」
国民達は押し黙った
「いいか!立ち上がるんだ!」
「戦えないものは兵士のために尽くし!戦えるものは武器を待て!」
「俺の名前は賢者ヒューゲル=エイジス!」
「お前達を導く者だ!」
「で、でもどうやって!」
「見るがいい!これが俺が作り上げた兵器!【自律型戦闘人形兵器 EST 00-β】だ!!」
彼はこの数日間で試作機を完成形へと改造し起動に成功していたのだ
「そんな女の子でなにができるの!?」
「ふざけてるのか!」
「愚か者ども!!見せてやろう、、」
「やれ」
その言葉に応じその少女は手を前にかざした
「はい、マスター」
その瞬間、王国から見える山の一つが無くなった
ドオオオオォォオオン!!
国民は唖然としヒューゲルと少女を見た
「い、いけるぞ、、、」
1人が呟き、2人、3人とその数は増えていきく
「うおおおお!やってやる!見てろよアドミニア帝国め!」
「イングラシア王国に栄光あれ!!」
「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」」」」
その後間も無く戦いは起きた
戦績は上々見事イングラシア帝国から勝利を勝ち取り
賢者ヒューゲルは大賢者や英雄と呼ばれるようになった
しかし、王国の被害も
その国は地図から姿を消すことになった
それから数百年後
その跡地に魔力の龍脈が見つかり【王都アーデンシア】が誕生した
ヒューゲルと少女は町外れの森の奥にある住処にひっそりと住んでいた
「マスター、、、、」
「なんじゃ、【00】」
すっかりとヒューゲルは年老いていた
もう長くはないであろう
この数百年で【00】にも自我が芽生えた
それなりに心配をしているようだ
【人間の命は有限】なのである
「私はもう長くない、、お主の次のマスターの為に、、、準備をせねばならぬ」
「その為に、お主を停止せねばならない、、、それを私に許してくれるか?【00】よ」
「はいマスター」
「そうか、、すまないな、、」
部屋の奥に進み、【00】を台に乗せると
この数百年で、
《ファスタ/シャドア/ストプ》
彼の世界の言葉を使ったもので、
「さらばだ、、、我が最愛の娘よ、、」
【00】の意識は途切れ、ヒューゲルはその場を去った
その後、大賢者ヒューゲル=エイジスを見た者は居ないという
――――――――――――――――――――――
さらに数百年の時が流れた
【00】が目を覚ますとそこには一人の男がいた
どうやら彼が新しいマスターのようだ
ヒューゲルの最後の言葉を思い出す
【最愛の娘よ】
そうか、、なら―――
「おはよう、ぱぱ」
「お、おはよう」
次はこの人の
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