第1章第8話「幽霊屋敷」

「助手よ、、」




顔の前に手を置き中二病全開でいってみる




「なーにハルト?大丈夫?」




せっかくの探偵ごっこは流され終わった




俺たちは俺たちの次期マイホームに依頼の為来ている




「んー、、、来たはいいものの、、」




はっきりいって幽霊など信じてないのでどうしたものかと悩んでいた




「こういうのって体験しないと分からないからなぁ」




「ハルトひろーい!」




ハクは広くて大はしゃぎ




「あんま離れるなよー?」




「わかってるわかってるー!」




とてとてとてとて




走っていった




「まったく、、」




まぁあいいか遊ばせておこう




周囲を見渡し怪しそうなところを探す




さながらシャーロックホームズだ




改めて被害届を見る




部屋に動く影を見た。視線を感じる。夜になると呻き声が聞こえる。夜中の時間だけ時計が変な時間に鳴る。地下なんて無いはずなのに床下から何か聞こえる。




「ほんと、学校で聞く七不思議的なやつだよなぁ」




こういうのは大抵が錯覚を起こして恐怖したに過ぎない




「一個一個潰していくか」




とりあえず部屋の影ってなんだろうなぁ




被害届に書かれた部屋へと向かった




二階の1番奥の物置になっている部屋だ


この家は、家具備え付けで、のこりの家具たちがこの部屋に置いてある




「ふむ、、変わったところはないように見えるな」




「もう少し探してみるか」




「おっ!」




小さな動物が目の前を横切っていった


どうやら一つ目の原因が分かったようだ


部屋の隅に小さい穴が空いている




「ネズミか」




影の正体はどうやらネズミのようだ




「この依頼大した事なさそうだな」




1つ目がが分かったところで、ハクの様子を見に行くことにした




一階に降りリビングに行くとハクはソファーでスヤスヤと寝ていた




よく食って良く寝る子だ


寝ているなら安心か




次に移ろう




「謎の視線と呻き声かぁ、、これに関しては本当に幽霊がいてもおかしくないやつだな」




「でも、これだけだと情報が足りなすぎる、、、」




「保留っと」




「あと残ってるそれっぽいのは、時計と床下か」




呻き声に引き続き、時計も夜中か




「今夜はここに泊まってみるかな」




―――――――――――――


そして深夜




1時15分をまわった所だろうか




階段下にある時計が鳴った




ゴーン ゴーン ゴーン




「きたか、、」




同時に




【ウゥゥゥゥ ウゥゥゥゥ ウゥゥゥゥ】




不気味な呻き声のような物が鳴り始めた


しかも報告通り地下からだ




「ビクッ」




ハクがびっくりしている




「はは、、流石に怖いな」




時計に近づき調べる




「ビンゴだ」




この時計、針が鍵になっており動かすと


時計の仕掛けが作動し時計を動かせるようになった




時計の針をずらして作動させる為


変な時間に時計がずれて鳴っていたようだ




それにしても、、、




「階段下の時計の裏が地下の階段の入り口か、、、」




ここは忍者屋敷か、、?




「なんかかっこいいねハルト」




などと子供心をくすぐる作りらしい




時計を動かし開けると風が流れてきた


どうやらどこかと繋がっているらしい




多分呻き声と床下からの物音の正体は時計の音や風が地下の空間で反響してそのように聞こえていたようだ




2人は慎重に地下へと降りた




「きをつけてな」




「ん」




ハクは俺の袖を掴んで離さなかった




《ファスタ/フェイム/トータ》




魔法で辺りを照らす




どうやら古い地下水路に繋がっていたようだ。もう使われていないようだが水は流れている。


第一区画は王都建国時にできた筈なので、その時に使われていた物なのだろう




水が流れる方向へ進んでみる




すると




ギィ!!!ギギィ!!!




どうやら敵さんが出迎えてくれたようだ


ゴブリン数体がこちらを見るなり遅いかかってきた




短剣を抜き応戦する




「くぅ、、!」




キンッ!!




「私も戦う!」




《ウォテア/フロス/スピエ/シュト》!




指輪の力で省略したおかげで五節呪文を短縮できた。


ハクが使ったのは氷の槍で水の上位魔法だ




発動した魔法は1匹のゴブリンを貫いた




ギイァィィイァア!!!




ハクが仲間になった事により、随分と戦闘が楽になっている




よし、おれも、、、




短剣を押し切り、ゴブリンに斬りかかる




「うぉおおおお!!」




ズシャ!




浅い!!




ゴブリンが二手目を繰り出してきたので


バックラーで止める




ガン!!




その隙にトドメをさした




「うぉりゃぁあ!」




ギィエァア!




「ハク!今度は俺が止めてる間に詠唱を!」




「ん!わかた」




ガン!!




「いまだ!!」




「ん!」




《ウォテア/フロス/スピエ/シュト》!




グシャ!




氷はゴブリンの頭を吹き飛ばし


声を上げることもなく絶滅した




「ふぅ、、、」




ハクとなら今後の依頼も安心できそうだ




「お疲れ様だな」




頭を撫でてやる




「んんん、、くすぐったい、、」




可愛いやつめ




「さて、先に進むか」




歩きながら




ヒューゲルの書いた本の内容を思い出す


【魔物は何処からともなく湧いてくる】




「まさか王都の地下にも居るなんてなぁ」




ギルドに帰ったら報告だな、城壁内で住宅と繋がってるんだ、今まで被害がなかっただけで幸運だ




「ん、行き止まりか?」




数十分後歩いた所で道がなくなっていた




「あ、壁!」




ハクが何かに気づいたようだ




壁を照らすと、かんぬきがかかった扉がある


外からは開けられないようになってるらしい




「よいしょっと」




閂を外し扉をあけてみる




「外じゃないか、、、」




城壁の外側へと抜けられた


扉の外側は岩へとカモフラージュされており自然に溶け込んでいる




なるほどな




「緊急時の避難経路か」




「これで謎は解決だな」




水路に長い間いたようで、すっかり夜明けが訪れていた




扉を閉め閂を戻し、来た道を戻った




――――――――――――――――――


ギルドにて




「ニーナ、報告に来たよ」




「おはようございますハルト様ハクちゃん」




いつも笑顔だなぁ




「あの家の依頼なんとか解決したよ」




「すごいです!何が原因だったんですか?」




「んー、実は―――」




夜にあった出来事をニーナに話した




「―――以上が報告かな」




「驚きです、、地下水路があったなんて、、、」




「しかも魔物まで、、、」




ニーナがいつになく真剣な顔をしている




「わかりました、とりあえずこの件に関しては上に報告してみますね」




どうやら流石に手に負えないようだ


それもそのはず、鉄壁の城壁内に魔物が現れたんだから仕方ないか




「改めて依頼完了おめでとうございます」




「前にお渡しした控えを出してもらえますか?」




「わかった」




控えを出すと、文字を記入をして返してきた




「では、これを依頼人さんに見せて、下の部分にサインを頂いてください」




「サインをして頂いたら、また私に渡してください」




指名依頼は結構手続きがいるんだな




「わかった、今から行ってくるよ」




「はい、お気をつけて!」




ギルドを後にしラチェスの不動産に向かった




「いらっしゃいませ、おや?ハルト様どうなされましたか?」




「えぇ、依頼の方が終わったからサインを頂きにきました」




「なんと!もう解決してくださったのですね!」




「して、原因はなんだったのですか?」




「それは―――」




ラチェスにも同様に説明をした




「なるほど、、確かに第一区画には地下水路が通っていました」




どうやら、不動産業界にはその情報自体はあったらしい




「しかし、ほかの住宅ではこの様な報告はありませんでした」




多分あの家の時計を使った仕掛けが特殊だったのだろう




「多分、時計を使った仕掛けはあそこだけなんだと思います」




「なるほど、、、それにしてもありがとうございます!」




「約束通りあの物件は当初の値段でお売りしましょう」




ついでに契約もしていくか




「今から契約できますか?」




「もちろんです!ありがとうございます」




家の契約をし王章金貨一枚と金貨五十枚を支払い、依頼書にサインを貰った




今日からあそこがマイホームだ




しかし宿は後1日分借りており荷物の移動もあるので引っ越しは明日だ




「明日から、あの家だぞハク、寝る部屋分けるか?」




「嫌だ!」




「広いんだからべつに一緒じゃなくても、、」




「いーやーだー!」




怒られた




ギルドに行き依頼書を渡すと


報酬を受け取るのは後日だと聞きその場を後にした




あぁ




「そういえば、【どこからか視線を感じる】ってやつだけ分からなかったなぁ」




ふと解決できなかった被害届を思い出す




「まぁ、いいか」




霊感の全くないハルトに




その視線の正体が分かるのはまだまだ先のおはなしである

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