第1章第1話「本で読んだ世界」

王都についてからが大変だった


衛兵止められ身分証、通行許可証と滞在手数料を求められたがもちろん持ってない


この世界でそんな奴居るはずもなく、危うく牢屋にぶち込まれる所だったが、ゲイルのおっさんが今回の通行料と滞在手数料を立て替えてくれた


しかし、おっさんが立て替えてくれた滞在手数料は1日分


その期限を越えると不法滞在で捕まるらしく、期限が切れる明日までに役所で更新しなければならない


滞在するのにも金がかかるのかと思ったがこの王都だけらしい。王族が住んでる事もあってか他にも暗殺防止などの為、色々と規制がかかっている様だ




「どうしたものか、、」




昨日までサラリーマンだった春人もこの世界では無職。なんとかして働かなければ食べる事すらままならない


幸運なことになぜか言葉が通じる。ならば



「よし、、!まずは他の街にも入る事もあると思うしギルド証と通行許可書の発行をしに行こう。ギルド証を発行すれば身分証と同価値で、さらに冒険者ギルドで仕事の斡旋をして貰えるらしいしな」




この世界なんと、漫画とかである通りの魔法やらが存在している世界だという

街灯など文明力にしては発展してると思ったが、驚く事に魔力で動いているとの事だ。この王都は魔力溜まりの龍脈の上に建てられており、その力を使って電力のような仕組みを作り上げたという


当然、そんな世界にはあの狼のような魔物が数多く存在しておりその討伐依頼や薬草採取などの依頼がギルドに来るそうだ


王都を歩いていてわかったことは、31歳にしては見た目は若く見えるらしい


ゲイルのおっさんと別れる前に聞いた事によると、あのおっさん髭面でムキムキのくせに俺と同い年で、俺の見た目はせいぜい二十代前半との事だ




「それにしても、こんな社畜ボディのひょろひょろな俺が冒険者か、、、先が思いやられるな、、」




そう思いながら道を歩く春人であった



しばらく歩いていると




「そ、そこのお方!!」




1人の老紳士に話しかけられた。


いきなり話しかけられるような事はしてないとは思うがとりあえず話を聞くことにした。




「な、なんですか?」




「貴方様がお召しになられてる服が珍しかったもので、、、申し訳ありません」




ただのスーツだがどうやらこの世界では目立つらしい




「して、素材はどんなもので作られているのですか?」




このスーツは○山のセールで買った安物だ、たしか、、、




「えーと、、100%ポリエステルですね確か」




「聞いた事もない素材ですね、、宜しければお譲りしていただく事は可能ですか?もちろん!無償でと言うわけではございません!」




「でも、これしか服の持ち合わせが無いもので、、」




そして老紳士はこう続けた。




「私はラドナーと申します。この王都で服屋を営んでおりまして。それ相応のお金と代わりのお召し物をご用意させていただきますゆえ」




ふむ、、これからの金もないし目立たない服も欲しい、、ありだな




「わかりました。お願いします」




―――――――――――――――――――――――






「ささ、着きました」




ラドナーに馬車に乗せられ着いたのは、装飾が行き届いた豪華な店だった。元の世界なら安物スーツをきた男が似合うはずもない場所だが、ここは異世界、関係ない




店に入ると、奥の商談室へと通された




(お、落ち着かない、、)




店の外装から内装まで豪華すぎて息がつまる。うるさい、貧乏人なんてそんなものだ。




数分後、ラドナーが入室し交渉が始まった




「さて、私の予想では貴方様のお召し物は世界に一つしかないと考えてます」




「長年生きていてこういった物は数点見てきていますので」




ん?どう言う事は以前にも俺と同じ様な人がいたと言うことか、、?




「数点なのに世界に一つなのですか?」




思った疑問をぶつけてみた。




「はい、その数点を身につけていたのはどれも白骨化していて、、ひどく劣化していたのです」




思わぬ回答が返ってきてゾッとした。




(俺もそうなる所だったのか、、ありがとうゲイルのおっさん)




「お客様の経歴などはお聞きしません。私も良い取引が出来れば良いので」




ラドナーはにっこりと笑って見せた




「それならありがたいです」




「世界に一つと言いましたが、服ではです、武器を合わせるなら2つめですね」




武器?


そしてラドナーは形を紙に書き始めた




「こういった形をしていてその反った形から【反剣】と言う名前で模造品が出回っております。残念ですが元の剣は錆などが酷かったので使う事は出来ず寄贈されています。」




「服などの布とは違い金属なので劣化してはいたものの形は保てていたのです」




その絵を見て驚いた、日本刀だ。


という事は俺の前に来た人は江戸時代より前の人たちなのか、、、?




「この話を聞いただけでもその服がとても珍しい物だと分かったと思います」




どうやらラドナーは、おれにこの世界の物の価値を遠回しに教えてくれていた様だ、ありがたい




「はい、ありがとうございます。」




なら、その話に乗りつつ交渉しよう




「その剣なんですが。最初は幾らぐらいで取引されたんですか?最初に見つけた人が寄贈したわけでは無いですよね?」




寄贈といっても、最初に見つけたのは商人ではなく、冒険者のはずだ。


自体が白骨化するような所に商人が行くとも思えない。




ラドナーはにっこりと笑い嬉しそうに話し始めた。




「えぇ、たしかに。寄贈される前に何度か取引され、最終的に寄贈されたと聞いております。寄贈される前は王章金貨5枚で取引されていたと聞きました。金貨でいうと500枚といった所でしょうか」




どうやら当たったようだ




「この服の価値はどれくらいと見ますか?」




「ふむ、状態が良いようなので同じぐらいで買い取らせて頂きたいところですが、衣服の素材には価値がありますが、今後の模造品としての技術的価値は武器程ではないので王章金貨4枚といった所でしょうか」




金の価値もまだあやふやでまだまだ学ぶ事も多い、、今は値段交渉なんて出来はしないだろう今後勉強していたい。とりあえず今はその値段で良いだろう。




「わかりました、その値段でお譲りしたいと思います。」




「交渉成立ですな!それでは係りの者に採寸してもらい新しいお召し物をご用意いたしましょう、お金の受け渡しはその後に」




「はい」




俺はラドナーと握手を交わした




そして採寸が終わり、体に合った服を着た所で、ラドナーがお金が乗ったトレイを持って商談室に現れた




「王章金貨だけでは何かと不便でしょう、少しだけ使いやすいように崩しておきました。」




「ありがとうございます、たすかります」




そこには王章金貨3枚、金貨90枚、銀貨1000枚があった




(絶対に重い、、、)




ここに銅貨もそのうち増えると思うとしんどそうだ


細かいのからちゃんと使っていこう




「王都での今後の予定はどうお過ごされるのですか?」




「ギルド証と通行許可証を発行しようと考えています」




「ほほう、ギルド証はギルドでしか発行できませぬが、通行許可証でしたら王家に認められた商店なら発行できますぞ?」




すると、あらかじめ分かっていたかの様にラドナーが胸ポケットから通行許可証を出した




「珍しい商品を譲ってもらった縁だと思って受け取ってくだされ」




読めない人だ。


だが、余裕がない俺にはありがたい




「何から何までありがとうございす」




お礼を言うとラドナーは高々と笑った。




「ふぉっふぉっ!また何かあれば訪ねてくると良い、その時は力になるぞい」




王都にきた当初はどうなるかと思ったが悪くない。




「滞在手数料はこれでなんとかなりそうだな。だが安定したわけじゃない。物価はまだ分からないが宿代や食事代の事を考えるとまだまだ足りないはずだ。」




そんな事を呟きながら


服屋を後にしギルドへと向かった春人であった








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