第10話 男たちと美少女と
「あ、中田の奴が帰ってきた」これは高岡さんです。
トゥクトゥクは2台とも大きな縦縞模様のビニールバック(バイヤーの間では華僑バッグと呼ばれる仕入れ用のバッグ・・これは後に知るのですが)を満載しており、1台には日本人らしい男性・・私と同年代くらいでここにいる他の人たちと違い身ぎれいな服装をしており、髪もきれいに刈り込んでいる人・・が乗っておりました。
この人が中田とよばれる人物らしい。
「*******!」
中田さんはタイ語らしい言葉で、なにか叫んでおります。
するともう1台の車からタイ人らしい女性・・これはハッとするような美少女といっていいでしょう。
後藤久美子に似ているかな?という感じの女の子が降りてきて、つぎつぎに荷物を車からおろしはじめました。
中田さんも車から降りて荷物を両手で引きずるようにしてホテルの中へ入ってきました。
荷物を引きずったまま私たちのいるほうへやってきます。
「おや、皆さんこんばんは。ちょっとエレベーター使わせてくださいね」
中田さんがていねいに頭をさげると、
「おお、勝手に使えばいいだろ」
高岡さんはなぜか苦虫を噛み潰したような顔で答えます。
「では失礼します」
中田さんがエレベーターに乗り込むとそのあとに美少女やトゥクトゥクの運転手までもが荷物を引きずって後につづきます。そしてエレベーターの扉が閉まりました。
「高岡さん。今の女の子、あれレックちゃんじゃないですか?なんであんなことしてるんですか?今の男の人はいったいなんなんですか?」
水口くんが聞きます。
「それは後で話すよ。それより冨井くん。教えてほしいことって何?」
・・・ああ、そうだった。
「実は、生意気な質問かもしれないんですが・・・3日でバンコクに慣れる方法ってないですかねえ?」
今考えればムチャクチャ言っておりますが、私の本当の目的地は次のスリランカなので、バンコクにあまり時間をかけていられないという気持ちがあったのです。
「3日で・・バンコクになれるってかあ・・う~ん。まあやってやれないこともないかなあ?」
半ば呆れ顔の高岡さんですが、「よしっ。俺のいう通りやってみろ」
・・・おおっ!方法があるのか。
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